面接の終盤で、こう言われた。
「では次は役員面接になりますので、来週の日程を後ほどご連絡します」
これはもう通っただろう、と思う。当然だ。次の選考の話をされたのだから。
そして翌週、日程の連絡の代わりに不採用のメールが届く。
この落ち方は、他のどれよりも理不尽に感じる。手応えだけならまだ勘違いで済むが、これは向こうから言ってきた話だからだ。
先に答えを言う。あれは嘘でも手違いでもない。予告と決定が、別の場所で行われているだけだ。
この記事の要点
- 面接官の見立てと、会社の決定は別の工程にある
- 予告が覆る理由は4つ。どれも候補者側では防げない
- 抗議しても得るものはない。内定通知の後なら話は別だ
- 期待を管理する唯一の方法は、他社を止めないことになる
この相談は、怒りとセットで届く
私のDMに繰り返し届く形を、まとめるとこうだ。
「二次面接の最後に、面接官の方から「次は最終面接になります、日程を調整してご連絡します」と言われました。手応えもあり、家族にも報告しました。ところが1週間後、届いたのは不採用の通知です。次の選考の話まで自分から言っておいて、あれは何だったのでしょうか。正直、腹が立っています」
「家族にも報告しました」。
この部分に、この落ち方の本当のダメージがある。自分の中だけで完結していた期待が、外に出てしまった。取り消すのは、落ちること自体よりきつい。
その上で、企業側で何が起きているのかを書く。理解は納得ではないが、次の面接で同じ痛みを繰り返さないためには効く。
予告と決定は、別の場所で行われている
一番大事な構図がこれだ。
面接官は、その場で選考の進行を「見立て」として口にする。目の前の候補者が良ければ、次に進める前提で話す。これは嘘ではなく、その時点でのその人の判断だ。
だが、選考の決定は面接の後に別の工程で行われる。
- 複数の面接官の評価を突き合わせる
- 他の候補者と比較する
- 上位者・人事・現場責任者の合議にかける
この工程で、面接官個人の見立ては覆り得る。
つまりあなたが聞いたのは、「私はあなたを次に進めたい」という一個人の意思であって、「会社があなたを次に進める」という決定ではなかった。
言葉の上では区別がつかない。だから誤解が生まれる。この誤解は、あなたの読み違いではなく、伝え方そのものの曖昧さから来ている。
予告が覆る4つの理由
具体的に何が起きているのか。実際に起こり得るものを並べる。
理由1。別の候補者が先に決まった。
複数人を並行して選考していて、あなたより先に他の候補者が最終まで進み、内定承諾した。枠が埋まった時点で、進行中の選考は止まる。あなたの評価が低かったわけではない。
理由2。合議で評価が割れた。
面接官Aは推したが、Bが懸念を出した。現場は推したが、部長が別の要件を優先した。この種の逆転は普通にある。
理由3。募集そのものが止まった。
予算の凍結、組織変更、社内からの異動決定。採用計画は選考中でも動く。この場合、あなただけでなく全候補者の選考が止まっている。
理由4。条件面で折り合わないと判断された。
面接で伝えた希望年収や入社可能時期が、企業の枠に収まらないと後から判断された。面接官はその場で条件の詳細を知らないことがある。持ち帰って確認したら合わなかった、という流れだ。
4つとも、あなたが面接でどう振る舞っても防げない。ここは断言していい。
抗議していいのか。線引きを書く
腹が立つのは正当だ。その上で、実務的な線を引く。
選考の途中での予告が覆った場合 → 抗議しても得るものがない。
日程の打診は法的な約束ではなく、選考の途中経過にすぎない。問い合わせても「総合的に判断した結果」が返ってくるだけだ。その仕組みは落ちた理由を企業に聞いていいのかに書いた。
内定通知の後に取り消された場合 → これは別の話だ。
正式な内定通知(採用通知書やオファーレターの交付)の後の取り消しは、法的な扱いが変わる。この場合は、労働局の総合労働相談コーナーなど公的な窓口に相談する価値がある。無料で相談できる。
この2つを混同しないでほしい。面接での口頭の予告と、書面での内定通知は、まったく重さが違う。
期待を管理する。唯一の方法
「期待しないようにする」は、助言として機能しない。次に進むと言われて期待しない人間はいない。
代わりに、行動で管理する。
ルール1。予告があっても、他社の選考を止めない。
これに尽きる。止めなければ、覆っても振り出しに戻らない。この落ち方のダメージの大半は、他社を止めていたことから来ている。
ルール2。日程の連絡が来るまでは、進行中とみなさない。
口頭の予告と、メールでの日程確定。この2つの間に線を引く。カレンダーに入るまでは、まだ何も起きていない。
ルール3。家族や友人への報告は、内定の書面が来てからにする。
これは冷たい助言に聞こえるかもしれない。だが取り消しの報告をする痛みを、私は経験として知っている。言わずに済むなら、言わない方が楽だ。
私の話も1つ書いておく
4回の転職の中で、私も同じ経験をした。
面接の場で次の選考の話をされて、その日は妙に足取りが軽かったのを覚えている。帰り道でコンビニに寄って、普段買わないアイスを買った。そのくらい浮かれていた。
結果は不採用だった。
あの時、私が一番堪えたのは落選ではなく、浮かれていた自分の記憶の方だった。アイスを買った自分を思い出すのが嫌だった。
いまなら分かる。浮かれたのは自然な反応で、恥じる必要はまったくなかった。恥じるべきは、他社の選考を止めていた判断の方だ。
とはいえ、これを完全に防げるかというと、正直分からない。予告されて期待しない訓練を、私は誰にも勧められない。できるのは、期待した先で足元が崩れないように、他の足場を残しておくことだけだ。
手応えそのものの読み方は面接の手応えが合否と関係ない理由、最終での落ち方は最終面接で落ちる理由に分けて書いた。連続で落ちている場合の切り分けは5社連続で落ちた時の原因の切り分け方にある。
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よくある質問
面接で次の選考の話をされたのに落ちるのはなぜですか?
面接官の見立てと会社の決定が別の工程にあるからだ。予告は個人の意思であって、会社としての決定ではない。合議や比較で覆ることがある。
日程の打診までされて落ちたのは何かの手違いですか?
手違いではない。複数候補者を並行して見る採用では、別の候補者が先に決まって枠が消えることが標準的に起こる。
こういう落ち方をされたら抗議していいですか?
選考途中の予告なら、抗議しても得るものがない。ただし書面での内定通知の後に取り消された場合は別で、労働相談の窓口に相談する価値がある。
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面接の記録シートと並行応募の管理表をLINEで無料配布している。予告を信じるなという話ではない。信じても崩れない足場を、別に作っておいてほしい。




