退職手続きの案内で、人事に聞かれた。「離職票は必要ですか?」。転職先はもう決まっている。失業保険は使わない。なら、いらないと答えていいのか。

先に答えを言う。手続き上はいらない。でも「お願いします」と答えておくのが正解だ。いらないはずの書類が急に要る場面が、実際にあるからだ。判断の全体を書く。

この記事の要点

  • 離職票は失業保険の手続き用。転職先への提出書類ではない
  • 転職先が決まっていれば使わない。手続き上は確かに不要だ
  • ただし内定取り消し・早期離職・給付金の場面で急に必要になる
  • 発行は退職時に頼むのが一番安い。後からの請求は時間がかかる

離職票の役割。どこで使う書類か

離職票(雇用保険被保険者離職票)は、ハローワークで失業保険の受給手続きをする時に出す書類だ。離職理由と離職前の賃金が記載されていて、給付の額と開始時期の判定に使われる。

つまり使う場面は、離職して次が決まっていない期間だけ。退職日の翌日に次の会社へ入社する人は、この書類の出番がない。

転職先に提出する書類と混同されやすいが、別物だ。転職先が求めるのは雇用保険被保険者証・源泉徴収票・年金手帳などで、離職票の提出を求められることは基本ない。似た名前の退職証明書との違いは退職証明書と離職票の違いで書いた。

それでも、もらっておく理由。3つの場面

手続き上いらないのに「もらっておけ」と言うのは、次の3つの場面が実在するからだ。

場面1、入社前の内定取り消し・入社延期。転職先の経営悪化などで、入社が消えたり延びたりすることは、確率は低いが起こる。その瞬間、あなたは失業者になり、失業保険の手続きに離職票が必要になる。不測の事態の時に、書類の請求から始めるのはきつい。

場面2、入社後の早期離職。新しい会社を短期間で離れることになった場合、失業保険の受給には前職と合わせた被保険者期間の確認が要ることがあり、前職の離職票が手元にあると手続きが速い。

場面3、教育訓練給付などの制度利用。離職後に教育訓練給付金を使う場合など、雇用保険まわりの手続きでは離職の記録の確認が発生する。窓口での照会でも進められるが、書類が手元にある方が話が早い。

3つに共通するのは、必要になるのが常に「予定外の時」だということだ。予定通りに行けば一生使わない。予定が崩れた時だけ、猛烈に要る。保険の書類とはそういうものなんよ。

会社への頼み方と、届かない時

退職時に聞かれたら「お願いします」の一言で終わる。聞かれなかったら、退職手続きの中で自分から言う。

「離職票の発行をお願いします。退職後、自宅への郵送でお願いできますか」

離職票は退職後に会社がハローワークへ手続きして発行されるため、手元に届くのは退職から2週間前後が通常だ。いつまでも届かない場合の催促とハローワーク経由の対処は離職票はいつ届くか離職票をもらえない時で書いた。

なお、59歳以上の退職者には本人の希望に関わらず交付される決まりだが、それ未満は本人が希望しなければ発行されない。「いらない」と答えた瞬間、発行のルートが止まる仕組みだと知っておいてほしい。

後から必要になった場合の請求

「いらない」と答えてしまって、後から必要になった場合も、請求はできる。退職した会社に発行を依頼すればいい。会社には請求に応じる義務がある。

ただし現実には、退職者の依頼は社内の優先度が低く、届くまで数週間かかることも珍しくない。会社が応じない場合はハローワークから会社へ催促してもらう手があるが、そこまでの往復にも時間がかかる。失業状態で収入が止まっている時にこの待ち時間はきつい。だから、退職時の一言で済ませておくのが一番安い、という結論に戻ってくる。

よくある誤解

「離職票をもらうと、失業保険をもらったことになって次で不利になる」。ならない。離職票は受給の前提書類にすぎず、発行された事実も、受給の有無も、転職先に伝わる仕組みはない。もらって保管するだけなら、何の記録も動かない。

「転職先に離職票を出せと言われたから、出さないと入社できない」。転職先が求めているのは、おそらく雇用保険被保険者証か退職証明書の間違いだ。何の確認のために必要かを聞けば、正しい書類が特定できる。離職票そのものの提出が必須になる場面はまずない。

よくある質問

離職票はいつまで保管しておけばいいですか?

最低でも、転職先での勤務が安定するまで(半年〜1年)は保管を勧める。失業保険の受給資格は離職の翌日から原則1年なので、その期間が1つの目安になる。紙で保管しつつ、写真を撮ってデータでも残しておくと紛失に強い。

離職票を失くしてしまいました。再発行できますか?

できる。発行元の会社経由か、ハローワークでの再交付手続きで対応できる。雇用保険の記録自体はハローワーク側に残っているので、紙を失くしても権利は消えない。

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