もう辞めたい。でも貯金がない。辞めたら生きていけない気がして、我慢し続けている。この状態、どう動けばいいのか。
感情の問題に見えるが、実は算数の問題だ。辞めた後に出ていくお金と、入ってくるお金を数字にすると、取れる選択肢が見える。順に計算する。
先に一文で。貯金なしで辞めたい時の原則は在職のまま次を決めることで、貯金の目安は自分で払う税・保険料込みの生活費3ヶ月分、心身が限界の場合だけは休職と傷病手当金が先の選択肢になる。
この記事の要点
- 自己都合退職の失業保険は、入金まで2〜3ヶ月かかるのが普通だ
- 辞めた後も住民税・保険・年金は続く。支出は思うより減らない
- 本命は在職転職。無収入期間そのものを消すのが一番安い対策だ
- 心身が限界なら退職より先に休職。給与の6割前後の手当がある
辞めた後の算数。出ていくお金
退職した月から、会社が半分持ってくれていたものを自分で払うことになる。
- 住民税|前年の所得に課税されるので、収入ゼロでも請求が来る。ここで驚く人が一番多い
- 健康保険|任意継続か国民健康保険。どちらも月数万円の実額になる
- 国民年金|月1万7千円前後
- 生活費|家賃・食費・通信費はそのまま続く
つまり無収入の月も、生活費+数万円が出ていく。これに転職活動の交通費・服飾費が乗る。
入ってくるお金。失業保険の現実
自己都合退職の場合の時系列はこうだ。
- 離職票を受け取り、ハローワークで手続き(退職から数週間)
- 待期7日+給付制限期間
- 最初の入金は、退職からおおむね2〜3ヶ月後
金額は在職時給与の5〜8割水準(上限あり)で、満額ではない。辞めた翌月から失業保険で生活、は制度上できない。この2〜3ヶ月の谷を渡る資金が、貯金3ヶ月分という目安の正体だ。
本命の型。無収入期間そのものを消す
ここまでの算数から出る結論は単純だ。在職のまま次を決めれば、この計算は全部不要になる。
- 収入が続くので、焦りで妥協する事故が起きない
- 「いつでも辞められる」という事実が、現職のストレスを一段軽くする
- 選考でも、在職中の応募者は「計画的に動ける人」として扱われる
働きながらの活動は時間がきついが、週に応募2〜3件の細い活動でも、3〜6ヶ月あれば形になる。活動が長引いた時の立て直しは転職活動が長引いて決まらない時で書いた。
辞めたい気持ちが強い日ほど、退職届でなく求人応募を1件出す。同じ「辞めるための行動」でも、こちらはお金の谷を作らない。
例外。心身が限界に来ている場合
ここまでの算数を無視していい状況が1つある。体か心が壊れかけている時だ。眠れない、朝起き上がれない、食欲が消えた。このサインが出ているなら、順番が変わる。
ただしその場合も、いきなりの退職より先に検討すべき道がある。休職と傷病手当金だ。医師の診断があれば、給与のおよそ6割前後の手当を受けながら会社を離れて療養できる。貯金がない人ほど、この制度の価値は大きい。条件と手続きは傷病手当金の退職後の条件で書いた。
貯金ゼロ×心身の限界という一番苦しい組み合わせでも、無収入で放り出される道しかないわけではない。制度の橋がある。
今日からできる貯金の作り方
在職転職で進めつつ、並行して谷を渡る資金を作る。効果が大きい順だ。
- 固定費を1つ切る|サブスク・保険の見直し・格安SIM化。月1〜2万円は動く
- 先取りで別口座へ|給料日に自動で移す。残った分で生きる順番に変える
- 不用品を売る|数万円の初速がつくと、貯金の習慣に弾みが出る
3ヶ月分は遠く見えるが、目的が「辞める自由を買う」だと思うと、続く人が多い。
よくある誤解
「辞めてから本気で探した方が早く決まる」。時間はできるが、資金の締切が焦りを生み、選択の質が落ちる。統計的にも離職期間が長引くほど条件は不利になりやすい。時間の量より、焦りのない判断の方が結果に効く。
「貯金がない自分はダメだから、辞める資格がない」。資格の問題ではなく、順番の問題だ。いま貯金がないのは事実として、そこから「在職で活動を始める+固定費を切る」を今日始めれば、3ヶ月後のあなたは違う場所に立っている。
よくある質問
実家に戻れば貯金なしでも辞められますか?
家賃と食費が消えるなら、算数は大きく変わる。ただし住民税・保険・年金は実家でも続くこと、離職期間の説明は必要になることは変わらない。実家という資源を使うなら、期限(◯ヶ月で決める)を自分で切っておくと、だらけの沼を避けられる。
退職代行を使いたいのですが、お金がもったいないです
数万円の出費だが、辞めると言い出せずに消耗し続ける月日にも値段がある。心身が削られてからでは働く力ごと失う。値段は、何を守るかで測ってほしい。
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辞める前の算数シート(支出・失業保険・持ち時間の計算式つき)を公式LINEで無料配布している。貯金がないから動けない、じゃない。算数をすれば、今日動ける手が見つかる。



