入社して数週間。何かが違う。試用期間のうちに辞めた方が傷が浅いのか、それとも我慢が足りないだけなのか。
この判定を感覚でやると失敗する。合わないの中身を、事実と感覚に分ける。それで答えはほぼ決まる。
先に一文で。試用期間の合わないは、条件相違や法令違反など事実ベースなら早期離脱が正解で、不慣れや人間関係など感覚ベースなら3ヶ月の保留が正解になる。
この記事の要点
- 判定軸は1つ。合わないの原因が事実か、感覚か
- 事実ベース(条件相違・違法な環境)は時間が解決しない。早く動く
- 感覚ベース(不慣れ・なじめない)は3ヶ月保留。入社直後は誰でも揺れる
- 試用期間でも退職手続きは通常と同じ。即日では辞められない
判定。事実の問題か、感覚の問題か
紙に書き出して、どちらに入るかを仕分けする。
事実ベース(時間が解決しない)
- 求人票・労働条件通知書と、給与や業務内容が明確に違う
- 残業代が出ない、休憩が取れない、休日出勤が常態化している
- 怒鳴る・無視する・人格否定するといったパワハラがある
- 面接で聞いていた配属・勤務地と違う
感覚ベース(時間で変わり得る)
- 業務に慣れず、自分だけできない気がする
- 人間関係の距離感がまだつかめない
- 前職とやり方が違って戸惑う
- 想像していた雰囲気と違う
事実ベースが1つでもあるなら、それはあなたの適応の問題ではなく、会社の問題だ。私は1社目のブラック企業で、我慢を続けた結果1年近くを消耗に使った。事実ベースの問題は、居続けても改善しない。条件相違の確認手順は内定通知と労働条件が違う時で書いた。
感覚ベースなら、3ヶ月の保留が正解
入社直後の違和感は、環境の異常のサインとは限らない。新しい環境に脳が慣れていないだけのことが多い。
- 1ヶ月目|何もかも分からず、自信を失う時期。ここでの判定は精度が低い
- 2ヶ月目|仕事の全体像が見え始める。人の顔と性格が分かってくる
- 3ヶ月目|自分の立ち位置ができる。ここでまだ違和感が残るなら、それは本物だ
保留の間にやることは2つ。違和感を感じた場面をメモに残す(後で事実か感覚かを再判定できる)、そして相談相手を1人作る(同期・年の近い先輩・人事のどれでもいい)。
辞めると決めた時の手続き
試用期間中でも、労働契約は成立している。即日で消えることはできない。
- 退職の申し出|直属の上司に口頭で。民法の原則は2週間前、就業規則に定めがあればできる範囲でそちらに合わせる
- 理由は簡潔に|「一身上の都合」で通る。会社批判を並べる必要はない。事実ベースの問題で辞める場合も、告発は退職とは別の手続き(労基署等)でやる方が安全だ
- 引き継ぎと返却|短い在籍でも、貸与品の返却と作業の引き継ぎはある
- 書類の受け取り|離職票・源泉徴収票・雇用保険被保険者証。次の会社や手続きで要る
なお、退職を切り出したら試用期間の延長を持ち出された、解雇をほのめかされた、という場合は別の話になる。試用期間の延長を言われた時と試用期間でクビは実際あるのかが担当だ。
次の転職で、早期離職をどう説明するか
数週間〜数ヶ月の在籍は、履歴書に書くと目立つ。説明の型は1つだけ覚えればいい。
事実+学び+次の基準。「入社後、労働条件が事前の説明と異なることが分かり、早期に判断して退職しました。この経験から、次は◯◯を面接段階で確認しています」。
会社批判で終わらせず、確認の基準が増えた話に変換する。採用側が知りたいのは前の会社の悪さではなく、うちでも同じことが起きるかどうかだ。基準の話ができれば、早期離職は判断力の証明にもなる。
よくある誤解
「試用期間中の退職は経歴に傷がつくから、何があっても耐えるべきだ」。事実ベースの問題がある会社に居続ける方が、時間と心身の損失が大きい。短期離職は1回なら説明で十分挽回できる。挽回できないのは、消耗しきって動けなくなることの方だ。
「試用期間だから、会社側も自分を簡単に切れるはずだ」。試用期間中でも解雇には合理的な理由が要り、会社側も簡単には切れない。「試用期間=お互いお試しでいつでも解消」という理解は、労働者側にも会社側にも正確ではない。
よくある質問
辞めたいのに「試用期間中の退職は認めない」と言われました
退職は労働者の権利で、会社の承認は要件ではない。民法上、申し出から2週間で契約は終了する。認めないと言われても、書面(退職届)を提出して記録を残せば手続きは進む。揉めそうなら労基署か退職代行という手もある。
試用期間中に転職活動を始めてもいいですか?
いい。特に事実ベースの問題がある場合、次を決めてから辞める方が経済的に安全だ。在籍が短いことは応募時に不利に働き得るが、それでも無職期間を作るよりは選択肢が残る。
転職の資料をLINEで無料配布中
事実と感覚の仕分けシート(試用期間の違和感チェック)を公式LINEで無料配布している。我慢が足りないのかと自分を責める前に、まず仕分けだ。事実の問題なら、悪いのはあなたじゃない。

