会社が早期退職を募集した。割増退職金は大きい。応募すれば、まとまった金が入る。だが、その後どうするのか。応募した人が後悔したという話も聞く。
先に言う。早期退職は、割増の額でなく、その後の12年で決める。後悔する人の共通点、割増の相場、応募していい人といけない人の線、12年の計算、準備を書く。
先に一文で。早期退職は割増退職金の額でなく、辞めてから年金で暮らせるまでの12年前後の収入と生活を計算して決めるもので、後悔する人は額で決め・再就職の年収を試算せず・所属を失う消耗を見ず・家族と合意していないので、次の収入が見え・大きな支出の山を越え・理由が自分の次にある人だけが応募し、それ以外は残るのが正解だ。
この記事の要点
- 後悔の共通点は4つ。額で決めた、再就職の年収を見ていない、所属を失う消耗、家族の合意なし
- 割増は基本給の12〜24ヶ月分が多い。定年までの総額と比べる
- 応募していいのは、次の収入・支出の山・理由の3つが揃う人
- 辞めた後の12年を、収入と支出で計算してから決める
後悔する人の共通点。4つ
| 共通点 | 中身 |
|---|---|
| 割増の額で決めた | 数千万円の数字で判断し、その後の収入を試算していない |
| 再就職の年収を見ていない | 50代の再就職は年収が下がることが多い。前職の半分以下になる例も |
| 所属を失う消耗を見ていない | 肩書き、名刺、毎日の行き先、人間関係。想像以上に心が削られる |
| 家族と合意していない | 配偶者と収入と生活の変化を共有していない |
経済誌の解説で繰り返し出るのは、額に飛びついて、その後の12年間の収入を作れなかった例だ。
割増退職金の相場
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 割増の加算 | 基本給の12〜24ヶ月分。会社と年齢で幅がある |
| 総額 | 大手の50代で数千万円の例。中小では通常の退職金+数百万円 |
| 定年まで勤めた場合との差 | 55歳で辞めると、定年退職より退職金が減ることが多い(勤続年数の差) |
| 比べるもの | 定年まで働いた場合の給与+退職金の合計と、割増+再就職の収入の合計 |
割増が大きく見えても、定年までの給与を捨てている。辞めることで失う給与の総額を先に出す。退職金にかかる税金の計算は退職金の税金の計算早見表に置いた。
辞めた後の12年を計算する
55歳で辞めた場合、年金が始まる65歳までの10年と、年金だけでは足りない期間を合わせて、12年前後の収入を自分で作る必要がある。
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 必要な生活費 | 月◯万円×12ヶ月×12年 |
| 割増を含む退職金(税引き後) | ◯万円 |
| 資産(預金・投資) | ◯万円 |
| 不足額 | 生活費−(退職金+資産) |
| 再就職で必要な年収 | 不足額÷12年 |
不足額が出て、それを12年間稼ぎ続けられる見込みがあるかで決める。50代の再就職の年収の現実は50代の転職の現実、リストラの場合の動きは50代でリストラされた後に書いた。
応募していい人、いけない人
| 応募していい | 応募してはいけない |
|---|---|
| 次の収入が見えている(再就職の内定・独立の売上・配偶者の収入・資産) | 次が見えていない |
| 住宅ローンと教育費の山を越えている | ローンと教育費が残っている |
| 辞める理由が、自分の次にある | 会社への不満だけで決めようとしている |
| 家族と合意している | 家族に話していない |
| 12年の計算で不足額が小さい | 計算していない |
3つが揃う人だけが応募する。揃わない人は、残る。残った後の役職定年と再雇用の現実は役職定年、その後へ。
後悔しない準備
- 12年の計算を、紙に書く。生活費、退職金の手取り、資産、不足額、必要な年収
- 再就職の年収を、求人で確かめる。自分の経験で応募できる求人の年収帯を、実際に見る
- 家族と、数字を共有する。収入の変化と、生活の変化
- 所属を失った後の毎日を、具体的に描く。行き先、人間関係、時間の使い方
- 応募の締切の前に、転職活動を始める。内定があれば、応募の判断は楽になる
会社に残るという選択も、準備の結果だ。準備をして残るのと、何も見ずに残るのは違う。
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よくある質問
早期退職に応募すると、失業保険は会社都合になりますか?
会社の早期退職優遇制度への応募は、会社都合の扱い(特定受給資格者)になることが多く、給付制限なしで受け取れる。離職票の理由の記載を確認する。
応募しなかった場合、不利になりますか?
法律上、応募は自由で、応募しないことでの不利益な扱いは禁止されている。ただし、実際は配置転換や役職定年で環境が変わることはある。残る場合も、社外で通用する経験を数字にしておく。
割増退職金は、税金でどのくらい引かれますか?
退職所得控除(勤続20年超は800万円+70万円×超えた年数)を引いた残りの2分の1に課税されるので、給与より税金は軽い。勤続30年なら1,500万円まで非課税で、割増を含めても税負担は小さいことが多い。
早期退職の判断シートをLINEで無料配布中
12年の計算の記入表、応募していい人の3つの確認表、家族と共有する数字の一覧を公式LINEで無料配布している。早期退職は、割増の額でなく、その後の12年で決める。


