転職先の健康診断の問診票に「既往歴」の欄がある。2年前にうつ病で休職し、今は治って働いている。書くべきか。書いたら不利になるのか。書かなかったら、嘘になるのか。後でバレるのか。
先に言う。問診票の既往歴は、聞かれたことに嘘を書かないのが線だ。治って通院していない病歴は「特になし」で嘘にならない。今も治療中なら、業務に影響する物は書く。既往歴と現病歴の違い、書く線、うつ病の場合、後で分かる経路、書いた時の取り消し、履歴書の欄との関係、医師との面談、配慮を求める時、相談先を書く。
先に一文で。健康診断の問診票の既往歴は医師が今の健康状態を判断する情報で、今も治療中で業務に影響し得る病気は書き、治って通院も服薬もしていない病歴は書かなくても嘘にならず、「現在治療中」と聞かれて治療中なのに「なし」と書くのだけが虚偽であり、書くなら寛解か通院中かと業務への影響の有無を添え、病歴だけを理由にした内定取り消しは正当な理由にならないと知って、配慮が要るなら入社前に人事と産業医に伝えるのが正解だ。
この記事の要点
- 聞かれたことに嘘を書かないのが線
- 治って通院なしなら書かなくても嘘でない
- 治療中で業務に影響し得る物は書く
- 病歴だけで内定は取り消せない
既往歴と現病歴
| 欄 | 意味 |
|---|---|
| 既往歴 | 過去にかかった病気。治った物も含む |
| 現病歴・現在治療中の病気 | 今、通院や服薬をしている病気 |
| 自覚症状 | 今、体に出ている症状 |
問診票は、この3つを分けて聞いていることが多い。医師が今の健康状態を判断するための情報で、過去の病歴を全部申告する欄ではない。
書く線
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 今も通院・服薬中で、業務に影響し得る | 書く。「◯◯で通院中。業務に支障なし(主治医の見解)」 |
| 今も通院・服薬中だが、業務に全く関係ない(花粉症・軽い持病) | 書いて構わない。書かなくても問題になりにくい |
| 治って、通院も服薬もしていない | 既往歴に書かなくても嘘にならない。書くなら「◯年に◯◯、寛解」 |
| 「現在治療中の病気」と聞かれて、治療中 | 「なし」と書くのは虚偽。書く |
| 入院や手術の経験を聞かれた | 事実を書く。理由まで詳しく書く必要はない |
線は1つ。聞かれたことに嘘を書かない。聞かれていないことを、自分から全部書く必要はない。持病を会社に言うべきかの法律の線は持病があって転職。言うべきかの法的な線引きに書いた。
うつ病・適応障害の場合
| 状態 | 書き方 |
|---|---|
| 寛解し、通院も服薬もなく、1年以上働けている | 既往歴に書かなくても嘘にならない。書くなら「◯年 うつ病、寛解、現在通院なし」 |
| 通院は終わったが、頓服の薬を持っている | 「現在治療中」には当たらないと考えていいが、医師の判断による。迷うなら主治医に聞く |
| 通院中・服薬中で、業務に支障がない | 書く。「通院中。就業に支障なし(主治医の見解)」。主治医に就業可の意見をもらっておく |
| 通院中で、残業や夜勤に制限がある | 書く。制限の中身も。ここで隠すと、配置で問題が出る |
休職の記録が転職先に伝わる経路は休職は転職先にバレるのかに書いた。問診票は、その経路とは別の話で、自分で書く物だ。
書かなかった場合に後で分かる経路
| 経路 | 分かるか |
|---|---|
| 健康保険・年金の切り替え | 分からない。病歴は渡らない |
| 前の会社の傷病手当金の記録 | 分からない。健保組合から新しい会社には渡らない |
| 源泉徴収票 | 分からない。休職で収入が少ないことは見えるが、理由は分からない |
| 入社後の産業医面談 | 本人が話せば分かる |
| 服薬が周りに見える | 見られることはある |
| 入社後に体調を崩した時 | 治療中だったことが分かると、申告しなかったことが問題になり得る |
業務に影響し得る物を書かずに、影響が出た時が一番まずい。「知っていれば配置を変えた」と会社が言えるからだ。
書いたら内定取り消しになるか
病歴だけを理由にした取り消しは、正当な理由にならない。健康診断の結果で取り消せるのは、業務に耐えられないと医学的に判断される場合だ。うつ病の既往があって、今働けていれば、それに当たらない。
現実には、別の理由を付けられることがある。だから書くなら、今の状態を添える。「寛解、通院なし」「通院中だが就業に支障なし(主治医の見解)」。線は健康診断で内定取り消しはあるかに書いた。
履歴書の健康状態欄との関係
履歴書の健康状態欄と、健康診断の問診票は、別の書類だ。履歴書に「良好」と書いて、問診票に「通院中・業務に支障なし」と書くことは、矛盾しない。「良好」は業務に支障がないという意味で使われている。履歴書の欄の線は履歴書の健康状態欄はどう書くかに書いた。
医師との面談で何を言うか
健康診断の医師の問診は数分だ。書いた内容について聞かれたら、事実を短く。「◯年に◯◯で通院し、◯年に治療を終えています。今は症状なく働いています」。医師は、今の状態と、業務への影響を見ている。過去の経緯を長く話す必要はない。
配慮を求めたい時
残業の制限、夜勤の免除、通院のための時間など、配慮が要るなら、問診票でなく、人事と産業医に入社前に伝える。問診票に書いただけでは、配置の担当者に伝わらない。
通院中の病気があり、就業には支障ありませんが、月1回の通院で半日の休みが必要です。配属の際にご配慮いただけますでしょうか。
伝えた日時と内容をメモに残す。伝えた後の不利益な扱いは、労働局の総合労働相談コーナーへ。
相談先
| 状況 | 相談先 |
|---|---|
| 書くかどうか迷う | 主治医。就業に支障がないかの意見と、書き方 |
| 書いた後に取り消しや条件の変更 | 都道府県労働局の総合労働相談コーナー |
| 入社後の配慮 | 人事、産業医 |
よくある質問
既往歴を書かずに入社し、後で悪化した。嘘をついたことになるか
治って通院していなかった物を書かなかったなら、虚偽ではない。再発は別の話で、入社後の病気として扱われる。人事と産業医に、今の状態を伝える。
問診票に「精神疾患の既往」という項目がある
聞かれている。寛解して通院がなければ「過去にあり、寛解、現在通院なし」か、「なし」で嘘にならないかは、寛解の期間と主治医の判断による。迷うなら主治医に聞いてから書く。
家族の病歴を聞かれた
家族歴は、遺伝性の病気の可能性を見るための項目で、書いても選考に使われることはまずない。分かる範囲で。
転職の資料をLINEで無料配布中
健康診断の問診票の書き方の判定表(治療中か・業務への影響・寛解の期間)と、配慮を求める時の伝え方の型を公式LINEで無料配布している。書く線を知れば、隠すか全部書くかの二択から降りられる。

