職務経歴書を書きながら、手が止まる。この空白期間、少し縮めて書いたらバレるのか。年収、少し盛って伝えたら条件のいい求人が来るんじゃないか。

先に答えを言う。バレる。特に年収と在籍期間は、書類で機械的に照合される項目で、隠し通せる仕組みになっていない。どこでバレるか、どこまでが正当な見せ方か、境界線ごと書く。

この記事の要点

  • 照合経路は3つ。入社時の書類・リファレンスチェック・面接のフィードバック
  • 年収と在籍期間は書類照合でほぼ確実にバレる。危険度が最も高い
  • バレた時の実害は、紹介停止・選考終了・内定取り消し・最悪は入社後の解雇事由
  • 事実の範囲で見せ方を選ぶのは正当なアピール。境界は「深掘りに答えられるか」

バレる3経路。仕組みで見る

経路1、入社時の書類。内定して入社すると、雇用保険被保険者証・源泉徴収票・年金手帳などを提出する。雇用保険の記録には前職の加入期間が、源泉徴収票には前職の収入が載っている。在籍期間の水増しと年収の盛りは、この時点で書類と自己申告の差分として機械的に見つかる。

経路2、リファレンスチェック。外資やハイクラス求人を中心に、前職の上司・同僚への事実確認が入ることがある。役職・担当範囲・実績の盛りはここで割れる。仕組みはリファレンスチェックとは何かで書いた。

経路3、エージェント自身の照合。担当は面接後に企業からフィードバックを受け取る。あなたが面接で話した内容と、エージェントに伝えていた内容の食い違いは、この往復で浮かび上がる。面接での嘘の危険性は面接の嘘はバレるかが担当だが、エージェント経由の場合は照合者が1人増えると考えていい。

項目別の危険度。年収と期間が最凶

年収。危険度最大。源泉徴収票で照合される上に、盛った年収を基準に年収交渉が進むと、入社後の実際の給与記録との差で説明がつかなくなる。しかも年収を盛る実益はほぼない。エージェントは現年収より「希望年収」で求人を探すからだ。現年収は正直に、希望は強気に。これで足りる。

在籍期間・空白期間。危険度大。雇用保険の記録と照合される。空白期間は隠すより、空白期間の説明の仕方の型で正面から短く説明する方が、選考の通りは良くなる。

役職・担当範囲。危険度中。書類照合はされにくいが、面接の深掘りとリファレンスで割れる。「リーダーでした」と言って、チーム人数・意思決定の範囲を聞かれて詰まると、その瞬間に他の全発言の信用も落ちる。

退職理由。危険度は低いが、扱いに注意。事実の中でどの面を語るかは選んでいいが、事実と逆のこと(自己都合を会社都合と言う等)は書類で割れる。

バレた時に起きること。時系列で重い

  • 選考前にバレたら、エージェントからの紹介が止まる。虚偽申告をする求職者を企業に出すことは、エージェント自身の信用問題だからだ
  • 選考中にバレたら、その企業の選考は終わる。エージェント経由の他社選考にも影響が出る
  • 内定後にバレたら、内定取り消しの正当な理由になる
  • 入社後にバレたら、経歴詐称として懲戒・解雇の事由になりうる。ここまで来ると転職の失敗では済まない

つまり嘘は、時間が経つほど実害が重くなる時限装置だ。盛った瞬間が一番得に見えて、後は損しか増えない。

正当な見せ方。事実の範囲で強くする

嘘がダメという話は、地味に語れという話ではない。事実の範囲で見せ方を選ぶ技術は、むしろ全力で使うべきだ。

  • 選択はしていい。10の業務のうち、成果の出た3つを中心に語るのは編集であって嘘ではない
  • 数字は実測ベースの概算までOK。「約20%改善」が記録に基づくならいい。記録のない創作数字はダメだ
  • 判定基準は深掘り耐性。その話を5分深掘りされて、具体的なエピソードで答えられるか。答えられる話だけを書く

そして、経歴に自信がない時の最強の戦略は、盛ることではなくエージェントに正直に相談することだ。担当は経歴の弱い候補者を通した経験を山ほど持っていて、弱点を知っていれば、それをカバーする求人選びと書類の書き方を組んでくれる。面談で何をどこまで話すべきかはエージェント面談で何を話すかで書いた。担当はあなたの検察官ではなく、あなたを売る営業だ。正確な情報を渡すほど、売り方の精度が上がる。

よくある誤解

「みんな多少は盛っている」。見せ方の工夫と虚偽を混同した言葉だ。編集は全員やっている。事実の捏造をやる人は少数で、その少数は照合の仕組みで定期的に発覚している。

「エージェントは味方だから、嘘も一緒に隠してくれる」。逆だ。エージェントの商売は企業への信用の上に成り立っていて、求職者の虚偽が発覚した時に守るのは自社の信用の方になる。味方でいてもらうための条件が、正直さだ。

よくある質問

前職の年収を少し多めに伝えてしまいました。今から訂正すべきですか?

すぐ訂正した方がいい。「先日お伝えした年収ですが、確認したところ正確には◯◯万円でした」で済む。この段階の訂正は記憶違いとして処理されるが、内定後の発覚は虚偽として処理される。同じ差分でも、タイミングで意味が変わる。

短期離職が多くて、正直に書くと書類が通らない気がします

削って空白にすると、雇用保険の記録との差分でかえって説明が難しくなる。全て書いた上で、理由を1行ずつ添える方が通る。短期離職の扱いに慣れた第二新卒特化のエージェントを使うのも手だ。経歴の弱さは、隠すものではなく、扱い方を知っている人と組むものだ。

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