今の仕事に将来が見えない。手に職として簿記を取ろうと思っている。でも、2級まで取れば本当に転職できるのか、3級で足りるのかが分からない。何百時間もかけて意味がなかったら怖い。
先に結論を言う。簿記2級は入場券。それだけでは席は取れない。求人が実際に求めているものから逆算して書く。
先に一文で。簿記2級は未経験可の経理求人の応募条件になっていることが多いので応募できる求人は増えるが、経理は実務経験が効く職種で、求人が見ているのは日次・月次・年次のどこまで1人でできるかであり、未経験に開いているのは日次と月次の一部、勉強時間は3級100時間・2級250〜350時間だ。
この記事の要点
- 2級は応募できる求人を増やす。受かる資格ではない
- 求人が見るのは日次・月次・年次のどこまで1人でできるか
- 3級は経理職の条件としては弱い。事務職で経理も触る求人まで
- 勉強時間|3級100時間前後、2級250〜350時間(工業簿記で質が変わる)
- 経理職以外の道|事務職から寄せる/中小企業の管理部門
経理の求人が見ている3段階
| 段階 | 中身 | 未経験に開いているか |
|---|---|---|
| 日次 | 仕訳、伝票の起票、経費精算、請求書の処理 | 開いている |
| 月次 | 月次決算、試算表の作成、残高の照合 | 一部 |
| 年次 | 決算、税務申告の補助、監査対応 | ほぼ閉じている |
求人票の「経理業務全般」は、この3段階のどこを指すのかを面接で必ず聞く。日次だけなら、3年いても年次は身につかない。
簿記2級が効く3つの場面
| 場面 | 効き方 |
|---|---|
| a. 応募条件 | 未経験可の経理求人でも「日商簿記2級以上」と書かれていることが多い。ないと応募できない |
| b. 書類選考 | 勉強を続けられる人だという説明が要らなくなる。異業種からだとここが効く |
| c. 入社後 | 月次を任されるまでの速度が上がる。仕訳の意味が分かる人と丸暗記の人は3ヶ月で差がつく |
3級で止める判断
| 目的 | 判断 |
|---|---|
| 経理職を本気で狙う | 2級まで取る。3級では応募条件を満たさない |
| 事務職の中で数字も扱えることを示したい | 3級で止めて、その時間を職務経歴書と応募数に回す |
3級で通るのは、事務職の中で経理も少し触る、という求人までだ。ここを取り違えると、3級を取った後で「応募できる求人がない」ということになる。
勉強時間
| 級 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 3級 | 100時間前後 | 商業簿記の基礎 |
| 2級 | 250〜350時間 | 商業簿記+工業簿記(ここで質が変わる) |
1日1時間なら1年弱、1日2時間なら5〜6ヶ月。簿記の経験ゼロから2級だけを狙うのは効率が悪いので、3級を通ってから2級に進む。教育訓練給付の対象講座なら受講料の一部が戻る(教育訓練給付金の記事)。在職のまま学ぶ制度も2025年10月から使える(教育訓練休暇給付金の記事)。
経理職以外の2つの道
| 道 | 入りやすさ | その後 |
|---|---|---|
| 事務職から寄せる | 一般事務・営業事務で入り、請求書処理や経費精算を引き受ける | 月次の一部を任される |
| 中小企業の管理部門 | 総務・経理・労務の兼務。専任より応募のハードルが低い | 幅広く触れる。2〜3年で専任に移れる |
求人の競争が緩いほうから入る。これはデザイナーやマーケターでも同じで、肩書きのある求人は競争が激しく、「担当」「アシスタント」は緩い(未経験からWebデザイナーになる順番の記事)。
入った後に記録すること
| 記録するもの | 次の転職で効く理由 |
|---|---|
| 月次のどこを担当したか | 段階が伝わる |
| 使った会計ソフトは何か | 求人の条件になっていることが多い |
| 決算のどこまで関わったか | 年次に触れたかどうかで評価が変わる |
| 扱った規模(売上、拠点数、仕訳の件数) | 会社の規模感が伝わる |
これが職務経歴書の中身になる。入った時点で記録を始める。
資格をどう位置づけるか
資格は、応募できる求人の範囲を広げる道具であって、受かる理由にはならない。経理の簿記2級、ITの基本情報、不動産の宅建。どれも同じで、条件を満たすためのものだ。だから、資格を取る前に「その資格が条件になっている求人が、自分の通える範囲に何件あるか」を数える。0件なら取らない(資格は転職に意味がないのかの記事)。
私の場合
私は美容業界のブラック企業を1年以内に辞めて、フリーター期間を挟み、50万円払ってスクールに通ってWeb業界に入った。あの時に取ったのは資格ではなく、作れるものだった。未経験の転職で効くのは、条件を満たすもの(資格)と、できることを見せるもの(実績)の2つで、職種によってどちらが重いかが違う。経理は資格が条件になりやすい職種で、Web系は実績が重い職種だ。自分が狙う職種はどちらかを、先に見る。
よくある誤解
「簿記2級を取れば経理に転職できる」。応募できるようになるだけ。実務経験が効く職種だ。
「3級でも経理に入れる」。事務職の中で経理も触る求人までだ。専任は2級から。
よくある質問
何歳までなら未経験で経理に入れますか?
年齢より、入口の選び方で決まる。30代以降は、事務職から寄せる道と中小企業の管理部門を優先したほうが早い(30代の未経験職種への転職の記事)。
経理に入った後、つまらなくなりませんか?
日次だけを何年もやると、そうなる。だから入る前に、月次と年次に関われるかを確認する(経理を辞めたい・つまらないと感じる時の記事)。
転職の資料をLINEで無料配布中
狙う職種で資格と実績のどちらが重いかを判定し、勉強時間と応募のタイミングを決める記入表を公式LINEで無料配布している。資格は入場券。席は別に取ろう。



