年末調整の案内が来て、前職の源泉徴収票を探した。ない。どこにもない。捨てたかもしれない。辞めた会社にもう一度連絡するのか、と思うと気が重い。
気楽にいこう。源泉徴収票の再発行は、前の会社に頼めば普通に対応される事務作業だ。退職済みでも、辞め方が微妙でも、依頼の正当性は変わらない。頼み方から代替手段まで書く。
この記事の要点
- 再発行は発行元の会社へ依頼する。会社には応じる義務がある
- 依頼はメール1通の事務連絡でいい。理由の詳細説明は不要だ
- 応じない会社には、税務署の不交付の届出という行政ルートがある
- 急ぎで待てない場合、課税証明書や給与明細での代替を提出先に確認する
再発行の頼み方。メール1通で終わる
依頼先は、発行元の会社の経理か人事だ。窓口が分からなければ代表アドレスや総務宛てで構わない。
件名|源泉徴収票の再発行のお願い(氏名)
◯◯株式会社 ご担当者様 お世話になっております。◯年◯月まで在籍しておりました◯◯です。◯年分の源泉徴収票を紛失してしまったため、再発行をお願いできますでしょうか。お手数ですが、下記住所へご郵送いただけますと幸いです。(住所)よろしくお願いいたします。
これで足りる。なくした経緯の説明も、深い謝罪も不要だ。再発行は経理システムから出力し直すだけの作業で、企業の事務では日常の依頼になる。到着まで1〜2週間を見ておけばいい。
在籍中の会社の分をなくした場合は、もっと簡単で、経理へ口頭かチャットで頼めば済む。
気まずい相手への頼み方。事務に徹する
円満でない辞め方をした会社への連絡は、確かに気が重い。だが整理してほしい。この依頼は、人間関係の再開ではなく、書類の事務連絡だ。
- 宛先は当時の上司でなく、経理・人事・総務の機能宛てにする
- 文面は上の例文のまま、感情の要素を入れない
- 返信も事務の返信として受け取り、それ以上のやり取りをしない
会社側も、退職者への書類対応は淡々と処理する。あなたが思う気まずさの大半は、向こうの事務担当には存在しない。
それでも応じない・無視されるという会社なら、話は義務違反の領域に入る。税務署への「源泉徴収票不交付の届出書」で行政指導のルートが使える。手順は源泉徴収票をもらえない時の対処で詳しく書いた。そもそも一度も発行されていないケースとやることは同じだ。
会社が倒産していた場合
発行元が消えている場合の道も書いておく。
- 破産管財人が選任されているなら、管財人へ依頼する。会社の事務は管財人が引き継いでいる
- 完全に連絡先が消えているなら、税務署へ相談する。給与明細や振込記録で収入を示しながら、確定申告の進め方を案内してもらえる
詰みではない。窓口が変わるだけだ。
急ぎの場合。用途別の代替手段
再発行の1〜2週間を待てない場面もある。用途によっては、源泉徴収票そのものでなくていいことがあるので、提出先に代替の可否を確認する。
- 転職先の年末調整→再発行を依頼中と伝えれば、期限を調整してもらえることが多い。間に合わなければ翌年の確定申告で精算できる(詰まない理屈は不交付の記事で書いた通りだ)
- 収入証明(賃貸契約・ローン審査など)→市区町村の課税証明書・所得証明書で代替できる場合が多い。役所で即日〜数日で取れる
- 確定申告→原則は源泉徴収票ベースだが、どうしても揃わない事情は税務署に相談できる
つまり、再発行の依頼を出しつつ、急ぎの用途は代替書類で先に進める二段構えが最速になる。
なお、なくしたのが源泉徴収票でなく離職票なら、再発行の窓口がハローワーク側になる。離職票を汚した・なくした時の再発行が担当だ。書類によって復旧ルートが違うと覚えておくと、次に何かをなくしても慌てない。
よくある誤解
「なくしたのは自分の落ち度だから、再発行を頼む権利はない」。権利はある。紛失の落ち度と、書類を受け取る権利は別の話だ。会社側の再発行の手間は小さく、依頼をためらって確定申告や年末調整に穴を開ける方が、実害がずっと大きい。
「再発行版は原本より効力が弱い」。変わらない。再発行された源泉徴収票は正規の書類で、年末調整にも確定申告にも収入証明にも、最初の1枚と同じに使える。摘要欄に再発行と記載される場合があるが、効力には影響しない。
よくある質問
何年前の分まで再発行してもらえますか?
会社の帳簿保存の範囲なら対応されることが多く、税務関係の書類はおおむね7年保存されている。数年前の分でも、まず依頼してみる価値はある。あまりに古い分で会社の記録がない場合は、税務署や市区町村の課税記録の側から証明を組み立てる相談になる。
電子データ(PDF)で受け取っていた場合、印刷し直すだけでいいですか?
データが手元に残っているなら、印刷で足りる場面が多い。メールの添付やマイページからのダウンロード履歴を先に探すと、再発行依頼そのものが不要になることがある。探す場所は、退職前後の時期の受信メールと、給与システムのアカウントだ。
転職の資料をLINEで無料配布中
退職後の書類の保管チェックリストと、再発行依頼のテンプレを公式LINEで無料配布している。なくした書類は、頼めば戻る。頼めない空気は、あなたの想像の中にしかない。


