会議で発言できない。報告がうまくまとまらない。雑談の輪に入れない。そのたびに、自分は人として欠けていると感じる。
まず切り分けをしたい。あなたが困っているのは、性格ではなく技術の部分だ。そして技術は練習で変えられる。場面別に分解して、今日から使える型まで書く。
この記事の要点
- 直らないのは性格、直せるのは技術。困っているのは後者であることが多い
- 全部を直そうとするな。困っている場面を1つに絞る
- 場面ごとに型がある。型を覚えると、言葉を探す時間が消える
- 職種で解決する道もある。ただし最低限の型は持った上で選ぶ
切り分け|性格の話と技術の話を混ぜない
「話すのが苦手」という一言に、実は別のものが混ざっている。
性格・性質の部分(変わりにくい)
- 人前で緊張する
- 大人数の場が疲れる
- 話すより聞く方が楽
技術の部分(練習で変わる)
- 結論から話せない(話が長くなる)
- 主語や目的語が抜ける(何の話か伝わらない)
- 間が持たず、埋めようとして早口になる
- 質問の意図を確認せずに答え始める
仕事で支障が出ているのは、ほぼ後者だ。そして後者は、性格を変えなくても直せる。
逆に言うと、性格を直そうとするから苦しくなる。「明るく社交的にならなければ」という方向に努力すると、消耗するだけで結果が出ない。変えるのは中身ではなく、出し方の型だけでいい。
場面1|会議で発言できない
一番多い悩みだ。原因は勇気ではなく、準備と型の不足であることが多い。
型:発言は3つの箱に入れる。
- 立場——「賛成です」「懸念があります」「確認させてください」
- 理由——「理由は◯◯だからです」(1つでいい)
- 提案か質問——「◯◯してはどうでしょうか」「◯◯はどうなりますか」
この3つを埋めるだけで、発言として成立する。長く話す必要はない。
そして準備の話。会議の前に「この議題で自分が言えること」を1行だけメモする。その場で考えると出てこないが、事前に1行あれば言える。発言できる人は、頭の回転が速いのではなく、準備している。
もう1つ、確認の質問は最も安全な発言だ。「確認させてください。◯◯という理解で合っていますか」。これは誰も否定できないし、場の理解も進む。発言の1回目は、これでいい。
場面2|上司への報告がうまくできない
「で、何が言いたいの」と言われる人は、この型で解決する。
型:結論 → 理由 → 相談。
- 「結論から申しますと、◯◯の納期が2日遅れそうです」
- 「理由は、△△の確認に時間がかかっているためです」
- 「ご相談したいのは、このまま進めるか、優先度を変えるかです」
多くの人は、経緯から話し始めて結論にたどり着かない。聞く側は結論を待つ間ずっと「何の話だ」と考えていて、そこで評価が下がる。
そして、悪い報告ほど早く・短く。遅れそう、ミスした、間に合わない。これを言い出せずに抱えるのが一番のダメージになる。結論を先に出す型は、言いにくいことを言うための道具でもある。
質問しづらい空気の職場でどう聞くかは質問しづらい職場での聞き方に書いた。
場面3|雑談ができない
先に言っておくと、雑談は仕事の必須スキルではない。ただ、できると人間関係の摩擦が減るのは事実だ。
型:聞く7割、話す3割。
雑談が苦手な人は、「面白いことを言わなければ」と思っている。逆だ。聞く側に回る方が、圧倒的に楽で、しかも好かれる。
使う道具は2つだけでいい。
- 具体化の質問——「それってどんな感じなんですか」「いつ頃からですか」
- 感想の一言——「それは大変でしたね」「いいですね」
この2つを交互に出すだけで、会話は続く。自分の話を用意する必要がない。
場面4|電話が怖い
これは独立した悩みとして大きいので、別記事にまとめてある。
- 電話対応が怖い人への記事——克服の型と、電話のない仕事へ移るという正解の両方
- 電話が苦手な人に向く仕事——職種で解決する道
電話は、型(メモの取り方・折り返しの言い回し)で相当楽になる領域だ。
練習の順番|1場面を10回
全部を同時に直そうとすると、必ず挫折する。
- 一番困っている場面を1つ選ぶ
- その場面の型を覚える(上に書いたもので足りる)
- 10回使う——型は使った回数でしか身につかない
- 1場面を越えたら、次の場面へ
10回やる前に「自分には向いていない」と判断しないでほしい。最初の3回は必ずぎこちない。それは型のせいでも、あなたのせいでもなく、単に回数が足りないだけだ。
学ぶ選択肢|独学で足りない場合
型を知っても、実際に使う場が怖くて練習できないという人はいる。その場合、練習の場を金で買う選択肢がある。
話し方・ビジネスコミュニケーションを体系的に扱うスクールは実在する。独学との違いは、フィードバックをもらえることと、練習の場が用意されていることだ。
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申込後の流れ|① 無料の説明会・体験に申し込む → ② 内容と費用の説明を受ける → ③ 受講するかは、説明を聞いてから決めればいい
ただし、全員に必要とは言わない。上に書いた型を職場で10回使ってみて、それで足りるなら金を使う必要はない。有料の講座が意味を持つのは、独学では練習の場が作れない人と、フィードバックがないと直せない人だ。この線引きはAI講座の記事で書いた判断と同じになる。
職種で解決する道もある
そもそも、対人の即興性が求められない仕事はある。
- 技術職・制作職——エンジニア、デザイナー、ライター。文章での正確な伝達が主になる
- 分析・管理系——経理、データ分析、品質管理
- バックオフィス——文書作成、事務
完全に話さない仕事はほぼない。だが、求められる話し方の種類が変わる。即興の場を回す力より、内容を正確に伝える力が評価される職種は実在する。
自分の適性がどの方向かを数字で見たいなら、測定型から入る手もある。
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登録後の流れ|① 質問に答えて経歴を登録する(10分弱) → ② 想定年収が表示される → ③ 経歴に興味を持った企業からスカウトが届く
逃げではない。自分が力を出せる形の仕事を選ぶのは、戦略だ。事務職はスキルがつかないという不安でも書いた通り、静かに正確に進める仕事には、それ固有の価値がある。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
会議で意見を求められると頭が真っ白になる
その場で考えようとするから固まる。対策は準備の一点になる。議題が事前に共有されるなら、1行のメモを作っておく。共有されない会議でも、「確認させてください」の型を1つ持っておけば、真っ白になった時の逃げ道になる。そして、その場で答えられない時は「少し整理してから改めてお伝えします」で問題ない。沈黙を埋めるために中身のないことを言うより、遥かに印象がいい。
話し方を直したら評価は変わるのか
変わる場面は実際にある。特に報告の型は、周囲の評価に直結しやすい。同じ仕事をしていても、進捗が見えない人は不安に思われ、簡潔に報告する人は信頼される。仕事の中身が変わらなくても、伝え方だけで評価が動くのは、理不尽なようで現実だ。逆に言えば、ここは投資対効果が高い領域になる。
人と話さない仕事に逃げたら、キャリアが詰まらないか
詰まらない。むしろその職種で専門性を積む方が、市場価値は上がりやすい。対人が主戦場ではない職種でも、上のポジションに行けば説明や調整の場面は出てくるが、その頃には型が身についている。苦手な土俵で消耗し続けるより、力が出る土俵で実績を作ってから、必要な分だけ型を足す方が順番として正しいんよ。
よくある質問
話すのが苦手なのは性格だから直らないのでは?
直らないのは性格、直せるのは技術だ。結論から話す・主語を明確にするといった型は練習で身につく。仕事で困っているのは技術の部分であることが多い。
何から練習すればいいですか?
場面を1つに絞る。会議・報告・雑談・電話のうち一番困っている場面を選び、型を覚えて10回使う。全部同時にやると挫折する。
話すのが苦手な人に向いている仕事はありますか?
ある。技術職・制作職・分析職・バックオフィスは、即興性より正確な伝達が主になる。ただし最低限の型は持った上で選ぶ。
話し方の型シートをLINEで無料配布中
場面別の言い回しをまとめたシートを、公式LINEで無料配布している。変えるのは性格ではなく、出し方の型だけでいい。


