地元に帰りたい。あるいは、都会を離れて暮らしたい。でも検索すると出てくるのは「田舎 仕事ない」「移住 後悔」の文字列だ。

私は沖縄に移住して、東京の会社の仕事をフルリモートでやってきた。移住は成立する。ただし、成立する形と後悔する形は、移る前からほぼ決まっている。その分かれ目を、実体験と仕組みの両方から書く。

この記事の要点

  • 田舎に仕事がないのではなく、職種と給与の幅が狭い
  • 後悔の最大パターンは、仕事を決めずに移って収入が崩れること
  • 道は2つ。仕事を持って移るか、現地の仕事に就くか
  • どちらの道でも、移住前に仕事の目処を立てるのが原則だ

「仕事がない」の正確な中身

まず、実態を正確にする。

地方に求人がないわけではない。医療・介護・建設・運送・小売・サービスの求人は、地方にも実在する。人手が足りていない領域すらある。

薄いのは——

  • 都市部の水準の給与が出る仕事
  • 事務職・企画職・IT職などのオフィスワーク
  • 同じ職種の中での、選べるほどの選択肢

つまり「仕事がない」の実態は、「自分の職種と希望年収に合う仕事がない」だ。ここを正確にすると、対策も正確になる。職種と年収をどうするかを決めずに移住だけ決めるから、現地で詰む。

後悔する移住の共通パターン。2つある

移住の後悔談には、はっきりした共通パターンがある。

パターン1、仕事を決めずに移って、収入が崩れる。「向こうに行けば何かあるだろう」で移り、現地の給与水準に直面する。生活費は確かに下がるが、家賃が3万下がって収入が10万下がれば、生活の余裕はむしろ減る。車が必須になる地域では、車の維持費で生活費の差はさらに縮む。

パターン2、生活を観光の印象で見積もる。旅行で好きになった土地と、生活する土地は別物だ。人間関係の距離の近さ、店や病院の選択肢、冬の気候。仕事が回っても、生活が回らない形の後悔がこれになる。

どちらも、移る前の確認で潰せる種類の失敗だ。移住は勢いでやるものだと言う人もいるが、仕事と金の部分だけは、勢いでやると取り返しに時間がかかる。

道1、仕事を持って移る。私はこちらだった

都市部の仕事と給与水準を、リモートのまま持って移る道だ。私は沖縄に移住して、東京の会社にフルリモートで勤めた。収入の水準を保ったまま、生活の場所だけを変える形になる。

実体験から、成立の条件を書く。

  • 職種がリモートで完結すること。私はWebの職種だったから成立した。エンジニア・デザイナー・マーケ・サポートなど、成果がオンラインで完結する職種に偏る
  • 会社がリモート前提であること。制度としてあるだけでなく、実際にフルリモートの社員が存在する会社を選ぶ
  • 時差ならぬ「場所差」の摩擦を自分で埋めること。出社できないことで失う情報を、意識的に取りに行く働き方が要る

この道の具体的な会社の探し方は沖縄からフルリモートで東京の会社に勤める方法に、移住とリモートの生活の実際は地方移住×リモートワークの記事に書いた。

今の会社にリモートの制度があるなら、転職せずに移れないかをまず確認してほしい。移住のために転職が必須とは限らない。制度がないなら、リモート前提の会社への転職が先で、移住はその後になる。順番は、仕事→移住だ。逆にしない。

道2、現地の仕事に就く。再設定の覚悟とセットで

リモートが成立しない職種の人、地域に根ざして働きたい人は、現地の仕事に就く道になる。

この道の原則は3つだ。

1、収入の再設定を先にやる。現地の給与水準を、求人サイトで具体的に見る。その数字で家計が回るかを、移住前に計算する。計算が成立しないなら、移住の計画の方を直す。

2、職種の翻訳を考える。都市部での経験は、地方で希少になる場合がある。営業管理の経験は地場企業の管理部門に、ITの経験は地方企業の社内システム担当に翻訳できる。都市部では埋もれる経歴が、地方では貴重になる逆転は実際にある。

3、移住前に応募まで進める。現地のハローワークやエージェントは、移住前から使える。地方の求人の探し方の実際は地方転職でハローワークとエージェントをどう使うかに書いた。内定か、少なくとも具体的な目処を持ってから移る。

移住支援の制度も確認する価値がある。自治体によっては移住支援金や就業支援の仕組みがあり、対象の条件が決まっている。移住先の自治体のサイトで、移る前に確認してほしい。

どちらの道でも、先にやること

道の選択の前に、共通の準備が2つある。

1、自分の市場価値を測る。リモートの仕事を取るにも、現地で経験を売るにも、自分の経歴に市場がつける値段を知っておくと計画が具体になる。

*クリックすると公式サイトが開く。質問に答えると想定年収と、経歴を求める企業からのスカウトが見られる。*

登録後の流れ|① 質問に答えて経歴を登録する(10分弱) → ② 想定年収が表示される → ③ 移住後の家計の計算材料にする

ミイダスで移住計画の数字を作る

2、受け身の網を張っておく。スカウト型に経歴と希望勤務地を置いておくと、動く前から選択肢が集まる。リモート可の求人や、希望地域の求人が、待っているだけで届く形は、移住の準備期間と相性がいい。

*クリックすると公式サイトが開く。経歴を登録すると、興味を持った企業からスカウトが届く。*

登録後の流れ|① 経歴と勤務地・リモートの希望を登録する(数分) → ② 企業からのスカウトを待つ → ③ 条件に合うものだけ返信すればいい

マイナビスカウティングで希望条件の網を張る

私の後悔しなかった理由を、再現できる形で書く

最後に、実体験を1つの型として置いておく。

私の移住が成立したのは、勇気があったからではない。順番が逆だっただけだ。

  1. 先に、リモートと制度を重視して会社を選んだ(このとき年収は下げた)
  2. その会社で数年働いて、リモートでも成果が出る働き方を作った
  3. 仕事が場所から自由になってから、住む場所を選んだ

移住が先ではなく、働き方が先。場所の自由は、移住の決意からではなく、働き方の積み上げから生まれた。年収を下げた選択も、この順番の中では投資として回収された。

今すぐ移住できない人も、この順番なら今日から始められる。リモートで通用する働き方と職種を作ることが、数年後の移住の最初の一歩なんよ。

あわせて検索される疑問に、先に答えておく

地元に帰りたいのですが、親の近くに仕事がありません

Uターンの場合、選択肢を3重で見てほしい。①地元の求人(ハローワーク・地場エージェント)②近隣の都市までの通勤圏の求人③リモート可の求人の3層だ。地元の町だけで探すと詰むが、通勤1時間圏まで広げると求人の幅が変わり、リモートを足すとさらに変わる。介護などの事情で時間の制約が強い場合は、その条件ごとエージェントに伝えて探す方が、独力より速い。

移住してから「都会に戻りたい」となったらどうしますか

戻ればいい、というのが実際の答えになる。移住は片道切符ではない。ただし戻れる状態を保つには、市場で通用する経験を移住先でも積み続けることが条件になる。リモートで都市部の仕事を続けている人は、住所が変わっただけなので戻るのも簡単だ。現地の仕事に就いた人も、経験の翻訳を意識して働いていれば戻れる。閉じるのは場所ではなく、経歴の市場性を手放したときだわ。

家族が移住に反対しています

反対の中身は、たいてい収入の不安と生活の変化への不安の2つになる。説得の材料は熱意ではなく数字だ。移住後の収入の目処(内定・リモート継続の確約・現地の求人水準)と、生活費の試算、そして駄目だった場合に戻る条件。この3点が揃った提案は、夢物語ではなく計画として扱ってもらえる。逆にこの3点が自分の中で埋まっていないなら、家族の反対は、準備不足への正しい指摘かもしれないんよ。

よくある質問

田舎には本当に仕事がないのですか?

仕事がないのではなく、職種と給与水準の幅が狭い。自分の職種と希望年収に合う仕事があるかを、移る前に具体的に見る。

移住で後悔する人の共通点はありますか?

仕事を決めずに移って収入が崩れるパターンが最多だ。生活費の低下より収入の低下が大きいと、余裕はむしろ減る。

地方で暮らしたい場合、どういう順番で進めればいいですか?

仕事を持って移るか、現地で就くかの2択。どちらでも、移住の前に仕事の目処を立てる。順番は仕事→移住だ。

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