正社員を続けるのが、もう体力的に限界だ。パートになれば楽になる。でも40代でその選択をしていいのか、決めきれない。

即答する。感情が限界の日に決めるな。先に3つの数字を見ろ。生涯収入の差、厚生年金の差、そして正社員に戻る難度。この3つを見た上でパートを選ぶなら、それは立派な判断だ。見ずに選ぶと、数年後に別のきつさが来る。

この記事の要点

  • パート転換の差は月収でなく、賞与・年金込みの生涯ベースで見る
  • 40代でパートから正社員に戻る道は、狭いという前提を持つ
  • 決める前に中間の選択肢(時短・異動・転職)を全部試す
  • それでも移るなら、期限と再開の条件を決めて移る

数字1と2。生涯収入と厚生年金の差

正社員とパートの差を月収で見ると、数万〜十数万の差に見える。だが実際の差は3層ある。

  • 月収の差に加えて、賞与と昇給が消える
  • 厚生年金の積み上げが細る。パートでも加入できる場合はあるが、報酬比例部分の積み上げは収入に連動して減る
  • 退職金や福利厚生の差が乗る

これらを50代までの10年強で積むと、差は数百万から千万円単位になりうる。脅しではなく、この規模の買い物だと知った上で決めるべきだという話だ。時短勤務との比較なら時短で給料はいくら減るのかで計算した通り、時短の減額の方がパート転換よりはるかに浅い。

数字3。40代で正社員に戻る難度

もう1つ直視すべきは、パートは片道切符になりやすいことだ。子育てが落ち着いた40代後半〜50代で正社員に戻ろうとした時、ブランクと年齢の組み合わせで市場の門は狭くなる。戻れないわけではないが、いまの正社員の座を手放すのとは非対称の難度だと思っておく方がいい。

つまり比較すべきは「いまの正社員のきつさ」と「パートの楽さ」ではない。「いまのきつさ」と「10年後の選択肢の狭さ」の比較なんよ。

決める前に。中間の選択肢を全部試したか

その上で、パートの前に試すべき中間の手を並べる。

1、削る。きつさの正体が家事育児との総量なら、先に外注と分担で削る。両立が限界な時の削る順番の通り、あなたから削るのは最後だ。2、社内で変える。時短の延長、業務量の調整、異動。会社の制度を使い切ったかを確認する。3、会社を変える。正社員のままリモートや柔軟な働き方の会社に移る。きついのは正社員という働き方ではなく、いまの会社の働かせ方かもしれない。40代でも動き方はワーママの転職タイミングで書いた型が使える。

この3つを試してもきついなら、パートへの転換は逃げではなく、心身を守る正当な選択だ。その場合も期限を決めて移ることを勧める。「下の子が小学校に上がるまでの3年間」のように区切り、その間も職務経歴が細らないよう仕事の中身は選ぶ。無期限のパート転換と、期限付きの戦術的なパート転換は、10年後の景色が違う。

よくある質問

心身がもう限界の場合もパートは待つべきですか?

待たなくていい。健康を失う働き方を続ける選択肢はない。その場合はパート転換か休職を先に実行し、キャリアの立て直しは回復してから考える順番になる。

扶養内パートと厚生年金加入のパート、どちらがいいですか?

長期で見るなら厚生年金に加入できる働き方の方が、年金の積み上げと保障の面で有利になることが多い。目先の手取りだけで決めない方がいい。

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