面接の3日後、人事から電話が来た。「内定です。来てください」。うれしいが、年収も入社日も口頭だ。書面は来るのか。来なければ、どう頼むのか。電話だけで承諾していいのか。
先に言う。電話の内定は、法律上は成立する。だが承諾は書面を見てからだ。電話の場で「内定通知書と労働条件をお送りいただけますか」と1文言えば、普通の会社は出す。口頭の内定の効力、書面の後に承諾する理由、電話の場の1文、メールの例文、待つ日数、催促、法律の線、2つの書面の違い、出さない会社、小さい会社の代わり、承諾前に揃える物を書く。
先に一文で。内定の連絡が電話だけの時は、その場で承諾せず「前向きに考えている。条件を書面で確認して◯日までに返事する」と伝え、内定通知書と労働条件の書面を頼み、電話から1週間で届かなければメールで催促し、労働条件の明示は労基法15条で会社の義務なので頼んで印象は落ちず、書面の習慣がない小さい会社ならメールで条件を箇条書きにして送ってもらい、年収・入社日・勤務地・業務内容・雇用形態・試用期間が揃ってから承諾するのが正解だ。
この記事の要点
- 電話の内定は有効。承諾は書面の後
- 電話の場で書面を頼む1文
- 1週間来なければメールで催促
- 労働条件の明示は会社の義務
口頭の内定の効力
電話で「内定です」と言われ、あなたが「お願いします」と答えれば、法律上は労働契約が成立し得る。口頭でも契約は成立する。だから、電話の場で軽く「お願いします」と言わない。条件を見ていない状態で成立させる理由がない。
電話の受け答えの型は内定の電話の受け答えに書いた。
承諾を書面の後にする理由
| 理由 | 起きること |
|---|---|
| 条件の証拠 | 口頭の年収と、書面の年収が違うことがある。書面がないと、後で「言っていない」となる |
| 認識のずれ | 入社日、勤務地、職種、試用期間の有無を、電話では全部聞けない |
| 比べる材料 | 他社と比べるには、数字が要る |
| 後で違うと言われた時 | 労働条件通知書があれば、違いを指摘できる。線は内定通知書の労働条件が違うに書いた |
電話の場で言う1文
ありがとうございます。前向きに考えております。条件を書面で確認した上で、◯日までにお返事させていただきたいので、内定通知書と労働条件の書面をお送りいただけますでしょうか。
これで足りる。頼んで印象が落ちることはない。条件を確かめる人は普通だ。
電話の後にメールで頼む
電話で言えなかった時は、その日のうちにメールで。
件名 内定のご連絡のお礼と書面のお願い(山田太郎)
>
株式会社◯◯ 人事部 ◯◯様
>
お世話になっております。本日はお電話にて内定のご連絡をいただき、ありがとうございます。
貴社で働くことを前向きに考えております。
承諾の判断のため、内定通知書と労働条件(賃金・勤務地・業務内容・入社日・試用期間など)を記載した書面をお送りいただけますでしょうか。
書面を拝見した上で、◯月◯日までにお返事いたします。
よろしくお願いいたします。
>
山田太郎
待つ日数
| 経過 | やること |
|---|---|
| 電話から3日 | 待つ |
| 1週間 | メールで催促 |
| 2週間 | 電話で催促。承諾の期限が先に来るなら、期限を延ばしてもらう |
承諾の返事の期限を先に切られていて、書面が来ない時は、「書面を拝見してから返事をしたいので、期限を書面の到着後◯日にしていただけますか」と頼む。
催促の例文
先日お電話で内定のご連絡をいただいた山田太郎です。
◯月◯日にお願いした内定通知書と労働条件の書面について、まだ届いておりませんので、ご確認いただけますでしょうか。
承諾のお返事の期限が◯月◯日と伺っておりますので、書面を拝見した上でお返事したく、よろしくお願いいたします。
法律の線
労働基準法15条で、会社は労働契約を結ぶ時に、賃金・労働時間などの労働条件を明示する義務がある。賃金、労働時間、就業場所、業務内容、契約期間、退職に関する事項などは、書面(本人が望めばメールやPDFでも可)で明示することになっている。
労働条件通知書は、入社日までに出せばいい扱いなので、「内定の時点で出す義務」までは法律にない。だが、承諾の前に条件を知りたいと頼むのは正当で、多くの会社は内定通知書か条件の書面を承諾前に出す。いつもらえるかの線は労働条件通知書はいつもらえるかに書いた。
内定通知書と労働条件通知書の違い
| 内定通知書 | 労働条件通知書 | |
|---|---|---|
| 何か | 採用を決めたという会社からの通知 | 労働条件を明示する書面 |
| 法律の義務 | なし。出さない会社もある | あり(労基法15条) |
| 条件の記載 | 書いてある物と、ない物がある | 賃金・時間・場所・業務・期間を書く |
| 承諾の判断に要る物 | 条件が書いてあれば代わりになる | これがあれば足りる |
両方が来ることも、どちらか一方のことも、内定承諾書と一緒に来ることもある。違いの詳細は内定通知書と労働条件通知書の違いに書いた。
書面を出さない会社の見方
| 対応 | 見方 |
|---|---|
| 頼んだらすぐ出した | 普通。単に電話が先だった |
| 頼んだら「入社日に渡す」と言われた | 承諾前に条件を見せない理由を聞く。条件の一部だけでもメールで出してもらう |
| 頼んでも出さず、承諾だけ迫る | 条件を見せる前に決めさせようとしている。入社後の労務管理も同じ傾向のことが多い |
| 「うちは書面を出したことがない」 | 小さい会社に多い。次の項の代わりで対応 |
小さい会社で書面の習慣がない時
メールで条件を箇条書きにして送ってもらう。
書面のご用意が難しい場合は、以下の項目をメールでお知らせいただけますでしょうか。
1.雇用形態と契約期間 2.入社日 3.勤務地 4.業務内容 5.月給の額と内訳(基本給・手当・固定残業代の有無) 6.賞与の有無と算定 7.勤務時間と休日 8.試用期間の有無と期間中の条件 9.社会保険の加入
メールの文面が、労働条件の明示の代わりになる。労基法15条の書面明示は、本人が望めばメールでも可とされている。
承諾の前に揃える物
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| 雇用形態 | 正社員か契約社員か。契約期間 |
| 入社日 | 日付 |
| 勤務地 | 配属先。転勤の有無 |
| 業務内容 | 職種と担当。求人票との一致 |
| 年収 | 月給と内訳、賞与の算定、固定残業代 |
| 勤務時間・休日 | 所定労働時間、休日の数、残業の見込み |
| 試用期間 | 有無、期間、期間中の条件の違い |
| 社会保険 | 加入の有無 |
これが揃ってから承諾する。承諾のメールの型は内定承諾メールの書き方に書いた。
よくある質問
電話で「来週から来てください」と言われた
条件の書面と、入社の手続きの案内を頼む。来週からと言う会社ほど、条件が口頭で終わる。書面が出るまで、入社日を確定しない。
エージェント経由で、内定は電話で聞いた
エージェントに「企業からの内定通知書と労働条件の書面をもらってほしい」と頼む。エージェントが企業から取り寄せる。
書面をもらったが、電話で聞いた年収と違う
承諾の前に、その場で確認する。「お電話では◯◯万円と伺いましたが、書面では◯◯万円となっています。認識の違いがあればご確認いただけますでしょうか」。書面の方が正式なので、口頭の額を書面に反映してもらう。
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