内定は出た。承諾の期限は来週。でも年収も勤務地も、面接で口頭で聞いただけで、紙が何もない。労働条件通知書って、いつ来るんだ。

即答する。法律上の期限は労働契約を結ぶ時で、多くの会社では入社日だ。だが承諾前に出す会社が大半で、求めれば出る。いつもらえるか、どう頼むか、もらえない時にどう見るかを書く。

先に一文で。労働条件通知書は法律上は雇入れ時が期限だが、内定承諾前に書面で求めるのが正解で、承諾前に出せない会社はそれ自体を疑っていい。

この記事の要点

  • 法律上の交付期限は労働契約の締結時。実務では入社日が多い
  • 内定承諾前の交付は義務ではないが、望ましい運用として広まっている
  • 承諾前に求める一文は決まっている。失礼にはならない
  • 入社後ももらえない、口頭と内容が違う場合は、辞める権利まで法律にある

法律上のルール。労働基準法15条

労働基準法15条は、会社が労働者を雇う時に賃金・労働時間などの労働条件を明示しなければならないと定めている。明示のタイミングは労働契約の締結時。中途採用では、内定承諾で契約が成立すると解される場面もあるが、実務では入社日に渡す会社が最も多い

つまり「内定通知と一緒に来なかった」は違法ではない。会社は入社日までに出せば法律上は足りる。

時期法律上実務上
内定通知と同時義務なし望ましいとされる。大手や上場企業はここが多い
内定承諾の前(求めた場合)義務なし大半の会社が出す。出さない会社は運用が雑か、条件を固めていない
入社日期限中小はここが多い
入社後違反求めて出なければ労基署へ

内定承諾前に出してもらう頼み方

承諾前に欲しいなら、待たずに言う。文面はこれで足りる。

「内定のご連絡をありがとうございます。承諾の前に、給与・勤務地・労働時間などの労働条件を書面で確認させていただきたく、労働条件通知書または雇用契約書の案をお送りいただけますでしょうか。」

これで「入社日にお渡しします」と返ってくる会社もある。その時はもう一段だけ押す。

「承諾の判断に必要なため、正式なものでなくても構いませんので、条件を記載した書面を事前にいただけると助かります。」

ここまで言って出ない会社は、条件が固まっていないか、書面にできない理由がある。承諾の期限を延ばす交渉と併せて、他社の選考を止めない。期限の延ばし方は内定承諾書の期限を延長する頼み方に書いた。

2024年4月から増えた記載事項。ここまで見る

2024年4月の改正で、通知書に書くべき項目が増えた。もらったら、この4つが入っているかを見る。

追加された項目見るポイント
就業場所・業務の変更の範囲「会社の定める場所」とあれば全国転勤あり。「会社の定める業務」は職種変更ありの意味
更新上限(有期契約)契約社員なら、通算契約期間や更新回数の上限
無期転換の申込機会有期契約が5年を超える時の案内
無期転換後の労働条件転換後の条件が正社員と同じか

従来からの項目(契約期間・就業場所・業務内容・始業終業時刻・残業の有無・休日・賃金・退職に関する事項)の読み方は、労働条件通知書の見方にまとめてある。

口頭の説明と書面が違う時

面接で「年収450万」と聞いたのに、通知書は420万。固定残業代が入っていた、勤務地が違う。この場合、通知書のほうが契約の中身だ。

  • 承諾前なら、書面の内容で判断する。口頭の説明は根拠にならない
  • 入社後に違いが分かった場合、労働基準法15条2項により即時に労働契約を解除できる。試用期間中でも同じ
  • 差額の請求は、口頭の約束を証明できる材料(メール・求人票)があれば交渉の余地がある

もらえないまま入社日を過ぎた時

入社後ももらえないなら違法状態だ。動き方は決まっている。

  1. 人事に文面(メール)で通知書の交付を求める。口頭だと記録が残らない
  2. 1週間で出なければ、労働基準監督署に相談する。会社への指導が入る
  3. 給与明細・シフト・メールなど、実際の労働条件が分かるものを保存しておく

労働条件通知書を出さない会社は、残業代や有給の運用も雑なことが多い。もらえない時の見方と動き方は通知書をもらえない時の記事に分けて書いた。

3分で診断転職の選考タイプ診断——条件確認で止まる人と、面接で止まる人の違いを先に見ておく。

順番で迷うなら内定承諾と退職交渉はどっちが先かだ。

よくある質問

雇用契約書と労働条件通知書は違いますか?

法律で交付が義務なのは労働条件の明示(通知書)で、雇用契約書は任意だ。実務では「労働条件通知書兼雇用契約書」として1枚で両方を兼ねる会社が多い。どちらの名前でも、記載事項が揃っていれば足りる。

メールやPDFでの交付は有効ですか?

有効だ。2019年4月から、本人が希望すればメール・SNS等での交付が認められている。印刷できる形式であることが条件で、口頭やチャットの流し読みでは足りない。

内定承諾後に通知書を見て、辞退できますか?

できる。承諾後の辞退は法的には可能で、条件が事前の説明と違うなら理由としても正当だ。伝え方は内定承諾書提出後の辞退に書いた。

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