正社員として働いているのに、会社が社会保険に入れてくれない。国保と国民年金は自分で払っている。「うちは入れない方針」と言われた。そういうものなのか。
先に言う。加入は会社の義務で、あなたの選択ではない。条件を満たしていれば、会社に拒否する権利はない。違法になる条件、自分が損する額、年金事務所への申し出、転職時の見え方を書く。
先に一文で。法人か常時5人以上の個人事業所で、正社員の4分の3以上の時間働く人は社会保険の加入が会社の義務で、加入させないのは違法なので、年金事務所に申し出れば会社への調査と過去2年分の遡及加入が行われ、未加入の間は将来の年金・傷病手当金・出産手当金で損をし続けるため、申し出るか加入させる会社に移るのが正解だ。
この記事の要点
- 法人と常時5人以上の個人事業所は適用が義務。本人の希望で外れることはできない
- 加入対象は、正社員の4分の3以上の時間働く人。短時間でも週20時間・月8.8万円以上で51人以上の会社なら対象
- 未加入で損するのは、将来の年金、傷病手当金・出産手当金、保険料の会社負担分
- 年金事務所に申し出れば調査が入り、2年分を遡って加入させられる
違法になる条件
| 事業所 | 社会保険の適用 |
|---|---|
| 法人(株式会社・合同会社など) | 強制適用。従業員が1人でも、社長1人でも |
| 常時5人以上の個人事業所(製造・建設・小売・士業など) | 強制適用 |
| 5人未満の個人事業所、農林漁業・一部サービス業の個人事業所 | 任意適用(従業員の半数以上の同意で加入) |
| 従業員 | 加入の義務 |
|---|---|
| 正社員の4分の3以上の所定労働時間・日数で働く人 | 加入。正社員はほぼ全員 |
| 週20時間以上・月8.8万円以上・学生でない・2ヶ月超の雇用見込みで、従業員51人以上の会社 | 加入(短時間労働者の適用拡大) |
| 上記未満 | 対象外。国保・国民年金か家族の扶養 |
「うちは入れない方針」は、法人なら方針の問題ではなく違法だ。悪質な場合、会社は6ヶ月以下の拘禁刑か50万円以下の罰金の対象になる。短時間労働者の適用拡大の今後はパートの社会保険の適用拡大に書いた。
自分が損する額。3つ
| 損するもの | 中身 |
|---|---|
| 将来の年金 | 厚生年金に入らない期間は、老齢厚生年金が増えない。月給25万円で1年未加入なら、老後の年金が年約1.6万円減る目安。10年なら年約16万円 |
| 傷病手当金・出産手当金 | 健康保険の被保険者だけの給付。国保にはない。病気で働けなくなった時の月給の3分の2、産休中の手当が受けられない |
| 保険料の会社負担 | 社会保険料は会社が半分払う。国保と国民年金は全額自己負担で、同じ月給なら手取りが減ることが多い |
国保の保険料が高く感じる理由は国民健康保険が高い理由と対策に書いた。会社が半分負担する仕組みがない分、重く見える。
年金事務所への申し出と、遡及
- 会社に文面で加入を求める。「社会保険の加入条件を満たしていると考えています。加入の手続きをお願いします」とメールで送る。記録が残る
- 応じなければ、年金事務所に申し出る。管轄の年金事務所の窓口か電話で、会社名と自分の労働条件(契約書・給与明細・タイムカード)を伝える
- 年金事務所が会社を調査し、加入を指導する。タイムカードや契約書で加入条件は一目で分かる
- 過去2年分まで遡って加入させられる。遡及した期間の保険料は会社と本人で半分ずつ。本人負担分を会社がまとめて請求してくることがあるので、分割の相談をする
申し出た本人の名前が会社に伝わることはない。ただし会社は推測する可能性がある。在職中に動きにくいなら、退職後に申し出て、過去2年分を遡ることもできる。
遡及した時の、国保と国民年金の扱い
遡って社会保険に加入すると、その期間に払っていた国保と国民年金は二重になる。国保の保険料は市区町村に申請すれば還付され、国民年金は厚生年金の期間と重複した分が還付される。手続きは市区町村と年金事務所で別だ。
転職時の見え方
未加入だった期間は、年金記録に厚生年金の加入がないので、転職先の会社が年金手帳や基礎年金番号で加入履歴を見れば分かることがある。ただし、転職先が前の会社の違法を問題にすることはなく、あなたの不利にはならない。むしろ、転職先で加入する時に「前の会社で加入していなかった」と正直に伝えれば、手続きは普通に進む。労働条件通知書で社会保険の加入を確認する項目は労働条件通知書はいつもらえるかへ。
副業先も含めて2か所で働く場合の加入はダブルワークの社会保険に書いた。
3分で診断:辞めるコスト診断——加入させない会社に残る場合と移る場合を、手取りと将来の年金で比べる。
よくある質問
会社から「社会保険に入ると手取りが減るから入れていない」と言われました
会社負担分を払いたくないだけだ。本人の手取りは、国保と国民年金を全額払うより社会保険のほうが残ることが多く、将来の年金と傷病手当金の分を考えれば差はさらに開く。本人のためではない。
試用期間中は社会保険に入れないと言われました
違法だ。試用期間も雇用契約は成立しており、加入条件を満たせば入社日から加入する。試用期間を理由にした未加入は、年金事務所の調査対象になる。
加入を求めたら、解雇されそうです
社会保険の加入を求めたことを理由にした解雇は、不当解雇として争える。求めた記録(メール)を残し、解雇を示唆されたら労働局に相談する。
出典(一次資料)
- 日本年金機構「適用事業所と被保険者」(強制適用事業所・被保険者の範囲)
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」
- 健康保険法第208条(罰則)
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加入条件の確認項目、会社に加入を求める文面、年金事務所に持っていく書類の一覧を公式LINEで無料配布している。加入は会社の義務だ。あなたの選択ではない。


