退職届を出したら、突き返された。「書式が違う」「日付を変えて書き直せ」「理由はこう書け」。書き直せば済むのか、それとも何かを失うのか、判断がつかないまま紙だけ戻ってきた。
先に線を引く。形式の修正は応じていい。中身を変えさせる書き直しは断れる。そして書き直しに応じなくても、あなたの退職は有効のまま進む。要求の種類別に見ていく。
この記事の要点
- 誤記・書式・宛名の修正は応じて問題ない。手続きが速くなる
- 退職日を遅らせる書き直しは、交渉であって命令ではない。断れる
- 会社都合→自己都合への書き換え要求は、失業保険に直結する。断る
- 書き直しを拒否しても退職の意思表示は有効。届の再提出で進められる
要求は3種類。応じる・交渉する・断る
種類1、形式の修正。応じていい。日付の誤記、宛名の間違い(社長名が正式でない等)、「退職願」と「退職届」の取り違え。これは事務の話で、直す方があなたの手続きも速い。誤字の直し方や訂正印の作法は退職届の訂正の書き方にまとめてある。二重線での訂正が増えるくらいなら、書き直した方が印象も揉め事も少ない。
種類2、退職日の変更。交渉であって命令ではない。「引き継ぎがあるから退職日を1ヶ月延ばして書き直せ」。これは会社の希望の表明で、あなたに従う義務はない。法律上、期間の定めのない雇用は2週間前の意思表示で終了できる。引き継ぎへの誠意として応じるかは、あなたが選ぶ交渉だ。次の入社日が決まっているなら、「入社日が確定しているため変更できません」で終わる話になる。
種類3、退職理由の書き換え。断る。実態が退職勧奨・ハラスメント・賃金不払いなのに「一身上の都合と書け」という要求は、会社都合退職を自己都合に見せかける操作で、あなたの失業保険の給付開始と日数に実害が出る。ここだけは絶対に飲まない。
断る言い方。喧嘩にしない型
断ると決めた時の言い方だ。対立の言葉を使わず、事実だけ置く。
退職日の変更を断る|「次の予定が確定しているため、記載の日付での退職とさせてください。引き継ぎは残りの期間で最大限対応します」
理由の書き換えを断る|「退職に至った経緯と異なるため、この記載のままとさせてください」
繰り返し要求される時|「書き直しの根拠となる規程を教えていただけますか。確認した上で対応を検討します」
3つ目が案外効く。根拠を聞かれると、根拠のない要求は続けにくい。実際、退職届の書式を法律は定めておらず、会社の規程にも書き直しを強制できる条文はまずない。
やり取りは口頭で終わらせず、メールで「先ほどの件、こういう理解で良いですか」と残す。この記録が、揉めた時のあなたの証拠になる。
書き直しを拒否したら受け取らないと言われた
種類2・3を断った結果、「なら受理しない」と言われることがある。慌てなくていい。退職の効力は会社の受理ではなく、あなたの意思表示の到達で発生する。突き返された紙をもう一度出す必要すらなく、内容証明郵便で送る方法が残っている。具体的な手順は退職届を受け取ってもらえない時の対処で書いた。
そもそもの伝え方の段取り(誰に・いつ・どの順で)は退職を伝える時間帯の正解が担当だ。切り出し前の人はそちらから読む方が早い。
書き直し要求が続く会社から、消耗せずに出る
書き直しの押し問答が続く、面談を重ねて引き止められる、理由の書き換えを迫られる。ここまで来ると、手続きの話ではなく消耗戦だ。自分で戦い続ける以外の道も知っておいていい。
*クリックすると公式サイトが開く。退職ジョブズは弁護士監修の退職代行で、退職届の提出から会社とのやり取りまで本人に代わって進められる。*
利用の流れ|① LINEで無料相談する → ② 書き直し要求の経緯を伝える → ③ 以後の会社対応は代行に任せる
よくある誤解
「会社指定の書式で出し直さないと退職できない」。できる。退職の意思表示に法定の書式はなく、会社指定の様式は事務の便宜にすぎない。指定書式への転記に応じるのは構わないが、応じなくても退職は成立する。
「書き直しの間は退職日が延びる」。延びない。最初に意思表示が到達した日が起点で、書類の往復は起点を動かさない。むしろ起点の証拠を固めるために、最初の提出日をメールなどで記録しておくことが大事だ。
よくある質問
「退職願に書き直せ」と言われました。願と届で何が違うのですか?
退職願はお願い(合意退職の申し込み)で、会社が承諾するまで撤回できる。退職届は一方的な意思表示で、到達した時点で効力に向かう。会社が願への書き直しを求めるのは、承諾のタイミングを会社が握る形にしたいからだ。退職日を確実にしたいなら、届のまま出す。
書き直しに応じて日付を変えてしまいました。取り消せますか?
新しい日付であなたが合意した形になっているため、単純な取り消しは難しい。ただし脅しや欺きで書かされた事情があるなら、無効を主張できる余地がある。証拠(やり取りの記録・録音)を集めて、労働基準監督署か弁護士に相談する段階だ。
転職の資料をLINEで無料配布中
退職届のテンプレと、書き直し要求への返答集を公式LINEで無料配布している。紙の書き直しは応じても、人生の書き直しは応じなくていい。


