単身赴任が決まった。あるいは、もう赴任先で何年目かになる。家族と離れた部屋で、この生活をいつまで続けるのかと考えている。
先に言っておく。このつらさは甘えではない。そして、我慢し続けるか辞めるかの二択でもない。断る、在宅で働く、勤務地を条件に会社を変える。道は3つある。順番に実務で書く。
この記事の要点
- 単身赴任のつらさは実体のある負荷だ。我慢が標準だった時代の方が特殊になる
- 道は3つ。交渉して断る、在宅の道を作る、勤務地を軸に転職する
- 交渉の土台は、外の選択肢を持っているかどうかで決まる
- 次の会社選びでは、転勤の有無と実績を具体的に確認する
つらさの正体。生活の全部にかかる負荷だ
単身赴任の負荷は、寂しさという一言では足りない。分解すると全方位にかかっている。
- 生活の負荷。食事・洗濯・体調管理を、疲れた状態で一人で回す
- 家族側の負荷。残された側は実質ワンオペになる。あなたのつらさと同時に、家族のつらさも進行している
- 関係の負荷。子どもの成長の場面に立ち会えない。夫婦の会話が事務連絡になっていく
- 金の負荷。二重生活のコストは、手当で全部は埋まらないことが多い
これだけの負荷を「仕事だから仕方ない」で処理してきたのが、これまでの標準だった。だが在宅勤務が現実の選択肢になった今、この我慢は唯一の道ではなくなっている。
道1、断る・交渉する
まず、今の会社の中で解消する道から。
雇用契約や就業規則で転勤が前提になっている場合、単純な拒否は難しいが、交渉の余地はある。会社側にも、家庭の事情への配慮を求められる流れは強まっている。
交渉の実務はこうなる。
- 事情を具体的に伝える。「行きたくない」ではなく、介護・子どもの状況・配偶者の就労など、会社が配慮を検討できる形の事実を出す
- 代替案を添える。赴任時期の調整、単身ではなく家族帯同の支援、在宅併用での勤務。ゼロか百かにしない方が、会社は動きやすい
- 記録を残す。相談の内容と回答は、メールなど形が残る手段で
転勤を断る場合の考え方の全体は転勤したくないから辞めるのはありかの記事に書いた。配偶者側の視点は夫の転勤で仕事を辞めるしかないのかの記事にある。
そして交渉には土台がいる。「ここしかない」と思って交渉する人と、外の選択肢を持って交渉する人では、同じ言葉でも重さが違う。外の選択肢を先に見ておくことが、皮肉だが、今の会社と交渉する力になる。
道2、在宅で働ける形に移る
私はこの道の実例として書ける。私は沖縄に移住して、フルリモートで働いてきた。場所と仕事を切り離す働き方は、実在する。
ただし、正直な注意も書いておく。
- フルリモートの求人は、職種を選ぶ。エンジニア・デザイナー・マーケ・サポートなど、成果がオンラインで完結する職種に偏っている
- 出社回帰の流れもあり、求人の母数は最盛期より絞られている。探し方の効率が結果を分ける
- 今の職種のままリモートに移れるか、職種ごと変えるかで、道の長さが違う
リモート前提の会社の探し方と実際は沖縄からフルリモートで東京の会社に勤める方法に、未経験からの現実は未経験からリモートワークの仕事に就く話に書いた。
IT系の職種で、雇用形態に幅を持たせて探すなら、派遣という形も選択肢に入る。勤務地と時間の条件を先に決めて働ける形だ。
*クリックすると公式サイトが開く。IT系の派遣求人を扱うサービスで、無料で登録できる。*
登録後の流れ|① Web登録する(数分) → ② 勤務地・在宅の条件を伝える → ③ 条件に合う仕事の紹介を受けられる
道3、勤務地を軸に転職する
転勤の可能性が残る限り、同じことは再発しうる。根本から解消するなら、転勤のない会社への転職になる。
選び方の軸は2つある。
- 勤務地限定の働き方がある会社。エリア限定の雇用区分や、地域密着の企業
- 転勤の実績が実際に少ない会社。制度より実態を見る
面接で確認すべきは3つだ。「このポジションに転勤の可能性はありますか」「直近数年で、転勤になった方はどのくらいいますか」「勤務地を限定する働き方はありますか」。求人票の読み方は求人票の読み方にまとめてある。
在職中に、受け身で選択肢を集めておく形が現実的だ。赴任先の生活で転職活動の時間を作るのは難しいから、スカウト型に経歴を置いて、届くものから検討する。
*クリックすると公式サイトが開く。経歴を登録すると、興味を持った企業からスカウトが届く。*
登録後の流れ|① 経歴と勤務地の希望を登録する(数分) → ② 企業からのスカウトを待つ → ③ 条件に合うものだけ返信すればいい
現職の企業に見られない設定(ブロック機能)があるものが多いから、在職中でも動ける。
家族との話し合い。順番だけ間違えないでほしい
3つの道のどれを選ぶにしても、家族との話し合いが土台になる。そして話し合いには、間違えやすい順番がある。
結論から話さないこと。「辞めようと思う」「我慢するしかない」という結論をぶつけると、話し合いは賛成か反対かの二択になって硬直する。
順番はこうだ。
- 現状の負荷を、お互いに出す。あなたの生活の実態と、残された側の実態。両方をテーブルに載せる
- 3つの道を選択肢として並べる。交渉・在宅・転職。それぞれの現実性と、収入への影響
- 期限を決める。「この状態を続けるのは最長◯年まで」という線を、二人で引く
期限が決まるだけで、同じ単身赴任でも心の消耗が変わる。終わりの見えない我慢と、期限つきの我慢は別物だからだ。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
単身赴任手当が出ているので、金銭的には損していない気がします
手当は生活コストの補填であって、負荷の対価ではない。二重生活の実費を埋めた残りが、家族と離れる負荷への値段だと考えると、その金額で家族との時間を売っているのと同じ計算になる。手当の額を、失っているもの(子どもの行事、日常の会話、健康管理)と並べて、割に合っているかを見てほしい。合っていないなら、手当は続ける理由にならないんよ。
赴任を断ったら、出世に響きませんか
響く会社は、実在する。転勤の受諾が昇進の条件と実質的に紐づいている組織はまだある。だからこの問いは、出世と家族のどちらを取るかではなく、転勤と昇進が紐づく会社で昇進を目指すのかという問いに変換して考えた方がいい。紐づかない会社も増えている。今の会社の昇進の条件が自分の生活と両立しないなら、それは会社の型と自分の型のずれであって、あなたの能力の問題ではないわ。
単身赴任の解消を理由にした転職は、面接で不利になりませんか
不利にならない。勤務地の安定を求める転職理由は、面接官に伝わりやすく、疑われにくい部類に入る。要点は、ネガティブな話(単身赴任がつらかった)で終わらせず、次の働き方の希望(この地域で腰を据えて、この業務で貢献したい)に接続することだ。家族と暮らせる場所で長く働きたいという動機は、定着の見込みとして、むしろ採用側への安心材料になるんだわ。
よくある質問
単身赴任がつらいのは甘えですか?
甘えではない。生活・家族・関係・金の全方位にかかる実体のある負荷だ。我慢以外の道を並べて比較していい。
転勤や単身赴任は断れますか?
契約上の前提があると簡単ではないが、事情を具体的に伝えて調整を交渉する道はある。外の選択肢が交渉の土台になる。
単身赴任を解消するために転職するのはありですか?
ありだ。転勤のない会社か、場所に縛られない働き方かの2軸で選び、面接で転勤の実績を具体的に確認する。
3つの道の比較シートをLINEで無料配布中
交渉・在宅・転職の3つの道を条件で比べるシートを、公式LINEで無料配布している。二択にしないことが、最初の一歩だわ。

