会社を辞める。退職金は中退共から出ると言われた。会社からもらうのではないのか。いつ、どうやってもらうのか。いくらなのか。3年しか働いていないが、出るのか。
先に言う。中退共の退職金は、会社でなく本人が請求する。会社から退職金請求書をもらい、自分で中退共に送る。振込は請求から約4週間。掛金の納付が12か月未満なら出ない。仕組み、請求の手順、いつもらえるか、いくらか、調べ方、一時金と分割、税金、転職先での通算、会社が手続きをしない時、倒産した時を書く。
先に一文で。中退共の退職金は会社が掛金を払い中退共から本人に直接支払われる仕組みで、会社が退職届を出して本人に渡す退職金請求書を自分で記入して中退共に郵送し受付から約4週間で振り込まれ、額は掛金月額×納付月数で決まって12か月未満は不支給、12〜23か月は掛金総額を下回り、転職先も中退共なら3年以内の申出で通算でき、退職から1か月経って請求書が届かなければ会社に催促し、会社が動かなければ中退共に直接問い合わせるのが正解だ。
この記事の要点
- 本人が中退共に請求する
- 請求から約4週間で振込
- 掛金月額×納付月数。12か月未満は出ない
- 転職先も中退共なら3年以内に通算
中退共の仕組み
中小企業退職金共済(中退共)は、中小企業が単独で退職金制度を持つ代わりに使う、国の制度だ。会社が毎月の掛金(5,000〜3万円)を中退共に払い、社員が辞めた時に、中退共から本人の口座に退職金が直接振り込まれる。
会社を経由しない。だから、会社の資金の状況に関係なく支払われ、会社が倒産しても出る。掛金の額と加入の有無は、雇用契約書や就業規則の退職金の項に書いてある。
請求の手順
| 順 | 誰が | やること |
|---|---|---|
| 1 | 会社 | 中退共に被共済者退職届を出す。退職後すぐ |
| 2 | 会社 | 本人に退職金請求書(退職届の控えと一体の用紙)を渡す。会社の記入と押印済み |
| 3 | 本人 | 請求書に氏名・住所・振込先の口座・マイナンバーを記入。本人確認書類のコピーを添付 |
| 4 | 本人 | 中退共本部に郵送 |
| 5 | 中退共 | 受付から約4週間で本人の口座に振込。振込の通知が届く |
請求書は、会社が中退共に届け出た後に会社経由で来る。自分で中退共から取り寄せる形ではない。
いつもらえるか
| 経過 | 状況 |
|---|---|
| 退職日 | 会社が退職届を中退共に出す |
| 退職後1〜2週間 | 会社から請求書が届く |
| 請求書を送ってから約4週間 | 振込 |
| 合計 | 退職後1〜2か月 |
遅くなるのは、会社が退職届を出すのが遅い時と、請求書の記入漏れや書類の不足があった時だ。退職から1か月経って請求書が届かなければ、会社の総務に催促する。退職金全般の振込時期は退職金はいつ入る・いつ振り込まれるかに書いた。
いくらか
基本退職金は、掛金の月額と納付月数で決まる。中退共が公表している基本退職金額表で分かる。
| 掛金月額 | 5年(60か月) | 10年(120か月) | 20年(240か月) |
|---|---|---|---|
| 5,000円 | 約31万円 | 約60万円 | 約130万円 |
| 1万円 | 約62万円 | 約120万円 | 約260万円 |
| 2万円 | 約124万円 | 約240万円 | 約520万円 |
目安の額で、運用の状況で付加退職金が少し足される。会社が掛金を途中で変えていれば、その分で変わる。
| 納付月数 | 支給 |
|---|---|
| 11か月以下 | 支給されない |
| 12〜23か月 | 掛金の総額を下回る |
| 24〜42か月 | 掛金の総額とほぼ同じ |
| 43か月以上 | 掛金の総額を上回る |
1年未満で辞めると、退職金は出ない。1〜2年でも、会社が払った掛金より少ない。退職金の相場との比べ方は退職金の相場、勤続10年でいくらかに書いた。
金額の調べ方
| 方法 | 中身 |
|---|---|
| 会社に聞く | 掛金月額と加入年月。総務が把握している |
| 中退共の加入者向けサイト | 会社が加入者番号を教えてくれれば、自分の掛金と月数と見込み額を見られる |
| 中退共の基本退職金額表 | 掛金月額と月数から自分で計算 |
| 年に1回届く「加入状況のお知らせ」 | 会社経由で本人に渡される会社もある |
一時金と分割
| 受け取り方 | 条件 |
|---|---|
| 一時金 | 標準。全額を一括 |
| 分割(5年か10年) | 退職時に60歳以上で、退職金が80万円以上(5年分割)か150万円以上(10年分割) |
| 一部を一時金、残りを分割 | 同上の条件で、組み合わせ可 |
転職する人は、ほぼ一時金だ。
税金
中退共の退職金は、税法上は退職所得だ。勤続年数に応じた退職所得控除があり、勤続20年以下なら40万円×勤続年数(最低80万円)まで非課税。掛金5,000円で10年の60万円なら、控除が400万円あるので税はかからない。
請求書と一緒に「退職所得の受給に関する申告書」を出す。出さないと、20.42%が一律で源泉徴収され、確定申告で戻すことになる。会社の退職金と中退共の退職金を同じ年に受け取る場合は、合算して控除を計算する。税額の計算は退職金の税金の早見表に書いた。
転職先での通算
転職先も中退共に加入している会社なら、前の会社の分を引き継げる。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 前の会社で退職金を受け取っていない | 受け取ると通算できない |
| 前の会社を辞めてから3年以内に申出 | 転職先で加入した後、通算の申出をする |
| 前の会社の納付月数が12か月以上 | 12か月未満は通算の対象外 |
納付月数が長くなるほど1か月あたりの退職金が増える仕組みなので、通算した方が有利になることが多い。転職先の総務に「中退共の通算をしたい」と伝え、前の会社の加入者番号を渡す。転職先が中退共でなく、別の企業年金や確定拠出年金の場合は、通算できない(一部の制度は移換できる。転職先に聞く)。
会社が手続きをしない時
退職から1か月経っても請求書が届かず、催促しても動かない時は、中退共本部に直接電話する。「◯月◯日に退職したが、会社から退職金請求書が届かない」と伝えれば、中退共から会社に確認が入る。会社が退職届を出さないと請求できないが、中退共の側から会社に働きかけてもらえる。
退職時に受け取る書類の全体は退職時にもらう書類一覧に書いた。中退共の請求書も、その一覧に入れておく。
会社が倒産した時
中退共の退職金は、会社でなく中退共から支払われるので、会社が倒産しても出る。会社が退職届を出せない状態なら、中退共に直接連絡する。破産管財人や、会社の元の担当者を通す形になることもある。会社独自の退職金制度と違い、倒産で消えないのが中退共の利点だ。
よくある質問
会社が掛金を払っていなかったことが分かった
中退共に加入していると言われていたのに掛金が納付されていなかった場合、中退共からは納付された月数分しか出ない。差額は会社に請求する。雇用契約書や就業規則に中退共加入の記載があれば、それが根拠になる。
掛金を会社が途中で減らしていた
減額は本人の同意が要る。同意していないなら、会社に確認する。減額後の月数は減額後の掛金で計算される。
請求書の住所が引っ越し前のままだった
請求書には現住所を書く。本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)の住所と一致させる。引っ越し直後なら、住所変更を済ませてから送る。
転職の資料をLINEで無料配布中
中退共の退職金の請求の手順表(会社に頼む物・自分で書く物・送る先・振込までの日数)と、退職金の見込み額の計算欄を公式LINEで無料配布している。会社が動かない時は、自分から中退共へ。



