前の会社の源泉徴収票を見たら、「乙欄」に丸が付いていた。手取りが少なかったのは、これか。乙欄とは何か。なぜ、転職しただけで乙欄になったのか。引かれすぎた税は戻るのか。
先に言う。乙欄は、扶養控除等申告書を出していない会社の給与に付く印だ。税が高い率で引かれ、年末調整の対象外になる。転職先に申告書を出せば甲欄に戻り、引かれすぎた分は確定申告で戻る。甲と乙の違い、税率、転職で乙欄になる原因、年末調整との関係、戻す方法、甲欄に戻す方法、副業、会社にバレるか、源泉徴収票の見る所を書く。
先に一文で。源泉徴収票の乙欄は扶養控除等申告書を出していない会社の給与に付く区分で、甲欄より高い税率で徴収され年末調整の対象外になり、転職で乙欄になるのは申告書の出し忘れ・短期在籍・2社同時の給与・前職の申告書の残りのどれかで、今の会社に申告書を出せば翌月から甲欄に戻り、引かれすぎた税は翌年の確定申告で全部の源泉徴収票を合算すれば還付され、副業で2か所から給与がある人は主でない方が乙欄になるのが正解だ。
この記事の要点
- 乙欄=申告書を出していない会社の給与
- 税率が高く、年末調整されない
- 転職での乙欄は手続きの漏れ
- 確定申告で戻る
甲欄と乙欄の違い
| 甲欄 | 乙欄 | |
|---|---|---|
| 条件 | 給与所得者の扶養控除等申告書を出した会社 | 出していない会社 |
| 税率 | 扶養の人数を考えた低い率。月8万8,000円未満なら0円 | 扶養を考えない高い率。月8万8,000円以下でも3.063% |
| 年末調整 | される | されない |
| 何社で | 1社だけ | 申告書を出した会社以外の全部 |
| 源泉徴収票 | 乙欄に丸なし | 乙欄に丸 |
扶養控除等申告書は、1人につき同時に1社にしか出せない。だから、2か所以上から給与を受ける人は、1社が甲欄、他は乙欄になる。
乙欄の税率
| 月の社会保険料控除後の給与 | 甲欄(扶養0人) | 乙欄 |
|---|---|---|
| 8万円 | 0円 | 2,450円(3.063%) |
| 15万円 | 2,980円前後 | 約1万5,000円 |
| 25万円 | 6,530円前後 | 約3万4,000円 |
| 35万円 | 1万1,000円前後 | 約5万3,000円 |
乙欄は、甲欄の数倍の税が毎月引かれる。だから、手取りが急に減る。ただし、引かれすぎた分は、確定申告で戻る。
転職で乙欄になる原因
| 原因 | 中身 | 直し方 |
|---|---|---|
| 入社時に申告書を出し忘れた | 入社書類の中に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」があり、それを出していない。会社が渡し忘れたこともある | 今すぐ出す。翌月から甲欄 |
| 短期の在籍で会社が申告書を取らなかった | 1〜3か月の契約や試用で、会社が手続きを省いた | 退職済みなら確定申告で戻す |
| 2社から同時に給与を受けた月があった | 退職月の給料と入社月の給料が重なり、後の会社が乙欄で処理 | その月だけ乙欄。確定申告で合算 |
| 前の会社の申告書が残っていると会社が判断した | 前の会社の退職日と今の会社の入社日が重なると、今の会社が乙欄にすることがある | 今の会社に「前の会社は退職済み」と伝えて申告書を出す |
転職しただけで乙欄になるのは、ほぼ手続きの漏れだ。悪意はない。
年末調整との関係
乙欄の給与は、年末調整の対象外だ。今の会社(甲欄)が年末調整をする時、前の会社の源泉徴収票を出せば合算されるが、前の会社が乙欄だった場合も、源泉徴収票を出せば今の会社の年末調整で合算できる。今の会社が受け付けなければ、確定申告で合算する。
今の会社で年末調整をする時、乙欄の源泉徴収票も出す。出さないと、その分の給与と税が計算に入らない。転職した年の年末調整の全体は転職した年の年末調整の書き方に、年内に2回転職した時の扱いは年内に2回転職した年の年末調整に書いた。
引かれすぎた税を戻す方法
| 方法 | やること |
|---|---|
| 今の会社の年末調整で合算 | 乙欄の源泉徴収票を今の会社に出す。会社が合算して精算 |
| 確定申告 | 翌年2月16日〜3月15日に、その年の全部の源泉徴収票を合算して申告。還付申告は1月から受け付け、5年間できる |
確定申告は、スマホとマイナンバーカードで、国税庁のサイトからできる。源泉徴収票の数字を入力する。数か月分の乙欄なら、数万円が戻ることが多い。乙欄の源泉徴収票を捨てない。
今の会社で甲欄に戻す
今の会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出す。人事に「申告書を出していないので、出したい」と言えば用紙をもらえる。出した翌月の給与から甲欄になる。出す前の月の分は、年末調整か確定申告で精算される。
副業がある人
会社員で副業のアルバイトがある人は、本業の会社に申告書を出し(甲欄)、副業の会社には出さない(乙欄)。副業の給与は乙欄で高い税率で引かれるが、確定申告で本業と合算して精算する。副業の源泉徴収票も、確定申告で使う。
乙欄で会社にバレる情報はあるか
乙欄の源泉徴収票を今の会社に出しても、分かるのは前の会社の名前と給与の額と、乙欄だったことだけだ。休職や病歴は分からない。乙欄だったこと自体は、「前の会社で申告書を出していなかった」という事務の話で、評価に関係しない。
源泉徴収票のどこを見るか
| 見る所 | 中身 |
|---|---|
| 右上付近の「乙欄」 | 丸があれば乙欄 |
| 支払金額 | その会社からの年間の給与の総額 |
| 源泉徴収税額 | 引かれた所得税の合計。乙欄なら支払金額に対して高い |
| 給与所得控除後の金額・所得控除の額の合計額 | 乙欄なら空欄(年末調整していないため) |
| 社会保険料等の金額 | 引かれた社会保険料の合計 |
「給与所得控除後の金額」が空欄なら、その会社は年末調整をしていない。乙欄か、年の途中で退職した甲欄の会社だ。源泉徴収票の見方の全体は源泉徴収票の見方に書いた。
よくある質問
乙欄の源泉徴収票を、前の会社がくれない
会社は源泉徴収票の交付義務がある。催促して出なければ、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出す。線は退職した会社から源泉徴収票をもらえないに書いた。
乙欄だった期間の住民税はどうなるか
住民税は、翌年に前年の所得の合計で計算される。乙欄か甲欄かは関係しない。確定申告か年末調整で所得が正しく合算されれば、住民税も正しく計算される。
乙欄で引かれた税が数千円。確定申告する価値はあるか
手間は30分程度で、数千円が戻る。5年間できるので、他の還付(医療費控除など)がある年にまとめてもいい。
転職の資料をLINEで無料配布中
源泉徴収票の見方の図(乙欄・支払金額・源泉徴収税額・空欄の意味)と、転職した年の確定申告の手順表を公式LINEで無料配布している。乙欄は損でなく、精算待ちだ。


