休職して療養してきたが、復職は難しい。このまま退職したい。でも、どう伝えるのか。手当は。荷物は。休んでいる身で、何から手をつければいいのか分からない。
安心してほしい。休職からの退職は、出社ゼロのまま、電話とメールと郵送だけで綺麗に閉じられる。手続きの順番どおりに書く。
先に一文で。休職からそのまま退職は、電話かメールで伝えて退職届は郵送、有給は退職日までに消化でき、傷病手当金は条件を満たせば退職後も継続できるが、退職日に出社しないことだけは必ず守る。
この記事の要点
- 伝えるのは電話かメールでいい。出社も対面も不要だ
- 順番が大事。傷病手当の継続条件を確認してから退職日を決める
- 残った有給は退職日までに消化できる
- 退職日には出社しない。継続給付の要件を守るためだ
手続きの順番。先にお金、後に退職日
一番大事なことから言う。退職を伝える前に、お金の条件を確認する。順番を逆にすると、もらえるはずの手当を落とすことがある。
- 傷病手当金の継続条件を健保組合に確認する|被保険者期間が継続1年以上あるか、退職日時点で受給できる状態か
- 有給の残日数を確認する|給与明細か人事への問い合わせで分かる
- 退職日を決めてから、退職を伝える|有給消化と手当の条件を織り込んだ日付にする
この3手が済んでいれば、あとは事務作業だ。
伝え方。電話かメールで、短く
療養中のあなたに、対面の義務はない。
メールの文面例
「お世話になっております。休職中の◯◯です。療養を続けてまいりましたが、体調の回復が難しく、復職せず退職させていただきたく、ご連絡いたしました。退職日や手続きにつきましては、ご相談のうえ進めさせていただければ幸いです。」
医師から復職困難の判断が出ているなら一言添える。会社から「一度話を」と言われても、体調を理由にオンラインか書面でお願いして構わない。退職届は郵送で出せる(渡し方と郵送の作法)。
なお、休職の原因が職場にあって連絡すること自体が苦痛な場合は、退職代行という道具もある(恥ずかしさの整理はこちら)。療養を最優先に、負担の少ない経路を選んでいい。
有給。休職中でも消えていない
見落とされがちだが、休職中も有給休暇の権利は残っている。退職が決まったら、退職日までの期間を有給消化に充てられる。
- 傷病手当金と有給の賃金は同時には受けられないので、有給消化中は給与、消化後は手当という切り替えになる
- 有給(満額の給与)の方が手当(約6割)より額が大きいので、残っているなら消化してから退職日を迎える方が得になることが多い
- 会社が「休職中の有給消化は認めない」と言ってきたら、それは法的に怪しい主張だ。健保・労基署か、交渉できる窓口に相談する
傷病手当金の継続。落とし穴は退職日にある
退職後も手当を受け続ける主な条件を再掲する。
- 退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上ある
- 退職日時点で、傷病手当金を受けているか、受けられる状態にある
- 退職日に出勤していない
3つ目が最大の落とし穴だ。最後だから挨拶をと退職日に出社して勤務扱いになると、継続給付の要件を崩す可能性がある。挨拶の義理より、療養を支えるお金の方が大事だ。退職日は家にいる。これだけは絶対に守ってほしい。細かい条件と申請の実務は傷病手当金の退職後の条件で書いた。
荷物・貸与品・挨拶。全部、出社なしで済む
- 会社の私物|着払いでの郵送を依頼できる。取りに来いと言われても応じる義務はない
- 貸与品(保険証・社員証・PC等)|簡易書留など記録の残る方法で郵送する
- 挨拶|義務ではない。世話になった人に個別のメールかLINEで一言送れば十分で、それすら体調と相談でいい。挨拶メールの型は退職挨拶メールの記事にあるが、休職中は簡略でまったく構わない
罪悪感との折り合い
「休んだ挙句、顔も見せずに辞めるなんて」という自責が湧く人は多い。1つだけ視点を渡しておく。
あなたが休職に至ったのは、療養が必要なほど削られたからだ。削られた人が、削られない形で手続きを終えることは、正当な自己防衛であって不義理ではない。会社への手続きは法どおりに、人への感謝は回復してからでも伝えられる。順番を間違えないでほしい。回復が先だ。
よくある誤解
「休職からの退職は、会社都合になる」。原則は自己都合の扱いになる。ただし、休職の原因が長時間労働やハラスメントにある場合、失業保険の手続きで事情と証拠を伝えれば扱いが変わる可能性がある。また、病気ですぐ働けない場合は受給期間の延長手続きを忘れずに。
「復職してから辞めないと、転職で不利になる」。復職を挟む方が回復の証明を作りやすいのは事実だが、体調が復職に耐えない状態で無理に戻る方が本末転倒だ。損得の比較は休職明けにすぐ転職はありかで書いた。復職か退職かでまだ揺れているなら復職が怖い時が先だ。
よくある質問
休職期間の満了が近づいています。満了と退職はどう違いますか?
就業規則の定めにより、満了で自然退職(または解雇)となる会社が多い。満了を待つか自分から退職を切り出すかで、手続きの主導権と日付の決め方が変わる。満了が近いなら、傷病手当の継続条件と失業保険の延長手続きを先に固めることが最優先になる。
会社から退職届でなく退職願を出せと言われました
どちらでも退職の効力に大差はないが、自然退職や解雇の扱いを避けて自己都合退職の形に整えたい会社側の事情があることも。書式より、退職日と離職票の記載(離職理由)を確認する方が実利に関わる。
退職の資料をLINEで無料配布中
休職からそのまま退職する時の手続き順チェックリスト(お金の確認→伝える→郵送の3段式)を公式LINEで無料配布している。出社ゼロで、権利は全部持って、綺麗に閉じられる。療養しながらで大丈夫だ。


