入社書類の中に身元保証書があった。保証人2名、親族が望ましいと書いてある。頼める人がいない。これで入社が消えるのか。

先に言い切る。保証人がいなくても、それだけで入社が消える話ではない。条件の確認→相談→代替の順で、ほぼ着地する。順に書く。

身元保証書とは、入社者が会社に損害を与えた場合の賠償を、保証人が本人と連帯して負う旨を誓う書面である。

この記事の要点

  • 保証人の条件は会社ごとに違う。親族限定でない会社が多い
  • 頼めないなら人事へ先に相談する。1名への減員や免除の例は普通にある
  • 身元保証書は法律上の提出義務がある書類ではない
  • 上限額(極度額)の記載がない保証書は、そもそも法的に無効だ

まず条件を確認する。思い込みで詰まない

「親族2名」という思い込みで詰んでいる人が多いが、実際の要件は会社ごとに違う。確認すべきは3点だ。

  • 人数|2名か1名か。1名の会社は多い
  • 続柄の指定|親族限定か、独立した生計の成人なら可か。後者なら友人・先輩・元同僚で足りる
  • 年齢や収入の条件|成人・定収入程度の緩い条件が通例だ

書式の但し書きを読み、書いていなければ人事に「保証人の条件を確認させてください」と聞く。この質問自体はまったく普通の事務確認で、聞くことに不利益はない。

頼める人がいない場合。相談の型と代替案

条件を緩めても頼める人がいない。その場合の動きは1つで、提出期限の前に人事へ正直に相談することだ。文例を置いておく。

「身元保証書について相談です。事情があり、保証人をお願いできる親族がおりません。友人での代替や、他の書類での対応は可能でしょうか」

この相談への会社側の対応として、実際にあるのは次の型だ。

  • 保証人を1名に減らす
  • 友人・知人での代替を認める
  • 誓約書のみで免除する
  • 民間の身元保証代行サービスの利用を案内する(有料。数万円の費用がかかるため、他の道が全部閉じた場合の最後の選択肢だ)

覚えておいてほしいのは、身元保証書は法律で提出が義務づけられた書類ではないということだ。会社の任意の慣行だから、事情に応じた運用の余地がもともとある。天涯孤独、親族と絶縁、家族が高齢。事情を抱えた入社者を、人事は何人も見てきている。

よくある誤解。「保証人は借金の連帯保証人と同じ」

頼む側の心理的ハードルを上げているのが、この誤解だ。身元保証は、借金の連帯保証とは別物で、法律による強い制限がかかっている。

  • 期間の制限|身元保証法により、期間の定めがなければ3年、定めても最長5年で切れる。自動更新はされない
  • 極度額(上限額)の義務|2020年の民法改正以降、賠償の上限額を書面に定めなければ保証契約自体が無効になる。上限の書かれていない保証書は、法的には機能しない紙だ
  • 裁判所による減額|実際に賠償となっても、会社側の監督責任などが考慮され、保証人が満額を負う事例はまれとされる

つまり、極度額と期間が明記されたまともな身元保証書なら、頼まれる側のリスクは限定されている。この説明ごと頼むと、引き受けてもらえる確率は上がるし、逆に極度額の記載がない書式なら、会社に「民法上、極度額の定めが必要ではないでしょうか」と確認する正当な理由になる。

それでも提出を求め続けられたら

相談しても代替を認めず、保証人がいなければ内定取り消しと迫る会社も、ゼロではない。この場合の見方も書いておく。

書類の柔軟性は、入社後の働きやすさの先行指標だ。事情への配慮が一切ない事務対応をする会社は、入社後の運用(休暇・家庭の事情・例外対応)でも同じ顔を見せる可能性が高い。身元保証代行サービスで通す道はあるが、その費用を払ってまで入るべき会社かは、一度立ち止まって考えていい。

なお、誓約書側の署名で迷いがある場合は入社誓約書へのサインは拒否できるか、入社書類の全体像は入社書類は何が必要か一覧、契約書本体の確認は雇用契約書の確認ポイントがそれぞれ担当だ。

頼む時の伝え方。相手の不安を先に消す

最後に、頼める相手はいるが言い出しにくい人向けに、頼み方の型も置いておく。

「転職先に身元保証書が要って、保証人をお願いできないかという相談です。賠償の上限は○万円、期間は○年で法律上それ以上は続かない。形式的な書類で、迷惑をかける予定は当然ないが、内容を見てから決めてもらって構わない」

金額と期間の上限を先に言うのが全てだ。保証と聞いた瞬間の相手の不安は無限責任の想像から来ているから、上限を示せば話は現実の大きさに戻る。書式のコピーを渡して検討してもらう。それで断られたら、前述の会社への相談ルートに戻ればいい。詰みではなく、順路が変わるだけなんよ。

よくある質問

兄弟が遠方にいます。郵送でのやり取りでも成立しますか?

成立する。書式を郵送し、署名・押印して返送してもらう形は通常の運用だ。日数がかかるため、提出期限から逆算して早めに送ることだけ注意すればいい。

保証人の年収や勤務先まで書く欄があります。書かないとだめですか?

書式に欄がある以上、原則は記入を求められるが、保証人側が開示を嫌がる場合は人事に相談していい。極度額が明記されていれば、収入欄の意味は薄いという理屈も通りやすい。

保証人を頼んだ相手に迷惑がかかった実例はあるのですか?

極度額の明記が義務になって以降、保証人が現実に賠償まで負う事例はまれとされる。日常の勤務で保証人に連絡が行くこともない。書類上の後ろ盾という性格が実態に近い。

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