入社書類にマイナンバーの提出があった。個人番号を会社に渡すことに抵抗がある。拒否はできないのか。拒否したらどうなるのか。

先に構図を言う。会社には収集の法的義務があり、あなたに提出の罰則はない。だが拒否で得るものは実質ない。この非対称の正体と、安全に渡すための確認まで書く。

マイナンバーとは、税と社会保険の手続きに使われる12桁の個人番号で、会社は収集を法律で義務づけられている。

この記事の要点

  • 会社は税・社会保険の書類にマイナンバーの記載を法律で求められている
  • 提出を拒否しても、あなた個人への罰則はない
  • 拒否しても手続きは番号なしで進むが、事務が増えるだけで実益がない
  • 抵抗があるなら、拒否でなく利用目的と管理方法の確認で解消する

会社が求める理由。法律の義務だからだ

まず、なぜ会社がマイナンバーを求めるのかを押さえる。会社は、あなたに関する次の書類へマイナンバーを記載することを法律で義務づけられている。

  • 源泉徴収票などの税務書類
  • 雇用保険の資格取得の手続き
  • 健康保険・厚生年金の手続き

つまり収集は、会社の興味や管理欲ではなく、税と社会保険の事務に必要な法定の作業だ。利用できる目的もこの範囲に法律で限定されていて、会社が番号を他の用途(人事評価など)に使うことは禁じられている。この前提が分かると、提出の意味が変わって見えるはずだ。

拒否するとどうなるか。正直に書く

では拒否したら何が起きるか。事実を並べる。

  • あなたへの罰則はない。提出しないこと自体に法的な制裁はない
  • 会社は経緯を記録して、番号なしで書類を出す。行政側も、提供を受けられなかった場合の取り扱いを用意しており、手続き自体は止まらない
  • 入社が取り消される理由には、基本的にならない

ここまで見ると拒否できそうに読めるが、続きがある。拒否で得られる実益が、ほぼない。あなたの番号は既に行政の各手続きで使われており、会社に伝えないことで守られる何かが具体的に増える訳ではない。一方で、事務のやり取りは確実に増え、入社直後の担当者との関係に余計な摩擦を作る。費用対効果の出ない抵抗というのが、正直な整理になる。

抵抗の正体へ。確認すべきは渡すかでなく、渡し方だ

提出への抵抗感の中身は、多くの場合「番号を知られること」ではなく「どう管理されるか分からないこと」だ。それなら、確認すべきは拒否の可否ではなく管理の中身になる。聞いていいことを並べる。

  • 利用目的|「税と社会保険の手続き以外に使われませんか」(法律上、使えない)
  • 提出方法|専用システムか、書面か、メールか。平文メールでの番号送信を求める会社には、別の方法を相談していい
  • 保管と廃棄|番号つき書類の保管ルールがあるか

会社にはマイナンバーの安全管理措置が義務づけられているから、この質問にまともに答えられない会社の方が問題だ。拒否の交渉より、管理の確認の方が、あなたの守りたいものを実際に守る。

よくある誤解。「カードを渡す・コピーされる」

もう1つの誤解も潰す。提出するのはカードという物でなく、12桁の番号という情報だ。

  • マイナンバーカードを持っていなくても、番号つき住民票などで番号は示せる
  • 本人確認とセットで、カードの写しや免許証の写しを求められるのは通常の手続きだ
  • カードを会社に預けることはない

年金(基礎年金番号)や雇用保険(被保険者番号)と混同されやすいが、制度ごとに番号は別で、年金手帳の廃止と転職で書いた通り、マイナンバーが他の番号の代わりを兼ねる場面も増えている。入社書類の全体の中での位置づけは入社書類は何が必要か一覧で確認できる。

副業がバレる不安との関係。ここも正確に

マイナンバー提出への抵抗の裏に、「副業が会社に知られるのでは」という不安が隠れていることがある。ここも正確に書いておく。

マイナンバー自体で会社が副業を照会することはできない。会社が使えるのは法定の手続きだけで、あなたの所得情報を番号で覗く仕組みは存在しない。副業が知られる主経路は昔から住民税の通知であって、マイナンバーではない。不安の対象を取り違えたまま番号提出を拒否しても、守りたいものは守れない。正しい心配は正しい場所に向けるのが、この種の話の鉄則なんよ。

提出後の話。退職時と、番号が変わる場合

提出した番号のその後も知っておくと、不安の残りが消える。

退職時。会社は法定の保存期間が過ぎたマイナンバー関連書類を廃棄・削除する義務を負う。退職したら永久に保持される建て付けではない。

番号の変更。マイナンバーは原則一生同じだが、漏えいして不正利用のおそれがある場合に限り、変更の手続きが存在する。つまり万一の事故にも、制度上の出口は用意されている。

紛失・漏えいが疑われる時。マイナンバー総合フリーダイヤルと市区町村の窓口が相談先だ。カードの機能停止も24時間受け付けられている。

ここまで知った上で、利用目的と管理方法を確認して提出する。それが、この書類との一番落ち着いた付き合い方なんよ。

よくある質問

家族の分のマイナンバーも求められました。正当ですか?

扶養家族の社会保険や税の手続きに必要な範囲なら正当な収集だ。扶養に入れない家族の分まで求められたら、用途を確認していい。

退職した会社は私のマイナンバーをいつまで持ちますか?

法定の保存期間が過ぎた書類は、廃棄・削除することとされている。永久に保持される建て付けではない。

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