内定承諾書に記入していて、ペンが滑った。入社への最初の提出書類を、いきなり書き損じた。この紙は履歴書と同じで書き直すべきなのか、それとも訂正印でいいのか。

答えは履歴書と違う。承諾書は訂正印で直せる。契約性の書類だから、正式な訂正作法が通用する。ただし2箇所だけは書き直した方がいい。区別から書く。

この記事の要点

  • 承諾書は契約性の書類。二重線+訂正印の正式作法が使える
  • 訂正印は署名欄と同じ印鑑で。シャチハタ不可の指定に注意
  • 氏名と日付の誤りだけは、再発行→書き直しが安全だ
  • 用紙の再発行依頼で評価は下がらない。気軽に頼んでいい

なぜ履歴書と扱いが違うのか。書類の性格で決まる

書類のミス対応は、書類の性格で決まる。選考書類(履歴書・ES)は、丁寧さの見本として読まれるから書き直し一択履歴書を書き間違えた時で書いた通りだ)。

一方、内定承諾書は選考が終わった後の、契約性の書類だ。契約書類の世界では、二重線+訂正印は改ざんでない正式な訂正として扱われる。あなたの丁寧さはもう選考済みで、この紙の仕事は意思の記録になる。だから訂正印で直して出しても、実務は普通に流れる。

とはいえ、入社先への最初の提出物という顔もある。訂正1〜2箇所なら訂正印、それ以上なら再発行という運用が、実務と印象のバランス点だ。

訂正印の正しい押し方。3手順

  1. 誤った箇所に二重線を引く。定規を使ってまっすぐ。ぐしゃぐしゃ塗りつぶしは不可だ
  2. 二重線に重なる位置に印鑑を押す。使う印は、署名欄に押したものと同じ印鑑にする。別の印だと訂正の主体が曖昧になる
  3. 正しい内容を近くに書く。上か横の空きスペースに読みやすく

修正液・修正テープは、契約性の書類でこそ厳禁だ。後から書き換え可能な状態は、書類の証拠力を壊す。シャチハタ不可の指定がある書類なら、訂正印も朱肉の印を使う。

なお、金額や条件が印字されている承諾書・労働条件通知書の印字部分に誤りがある場合は、自分で訂正してはいけない。それは会社側が直す誤りなので、指摘して差し替えを受ける(この分岐は雇用契約書のサインを間違えた時で詳しく書いた)。

書き直すべき2箇所。氏名と日付

訂正印で直せるとはいえ、次の2つは再発行→書き直しを勧める。

氏名。本人を特定する核の欄で、ここに訂正跡があると書類の同一性への疑義になりうる。契約書類の氏名は、きれいに書かれていることに実務上の意味がある。

日付(大きな誤り)。承諾の意思表示日は、内定関係の時系列の記録になる。1日ずれの訂正ならまだしも、月や年を間違えた訂正は、後から見た時に混乱の種になる。

再発行の依頼は、メール1通で終わる。

「お世話になっております。内定承諾書の記入を誤ってしまいました。恐れ入りますが、用紙を再発行(データ再送)いただけますでしょうか。お手数をおかけして申し訳ありません」

この依頼で内定の評価が動くことはない。入社前のやり取りは事務であって、選考ではないからだ。むしろ、訂正まみれの1枚よりきれいな1枚の方が、保管する人事も助かる。

提出後に気づいた場合

送ってしまった後に誤りへ気づいたら、誤りの種類で動きを分ける。

  • 氏名・日付・記入欄の誤り→人事へ連絡して、訂正の要否を確認する。「提出した承諾書の◯◯に誤りがありました。差し替えが必要でしたらお送りします」と、判断を相手に渡す形がいい。会社側で訂正処理して終わることも多い
  • そもそも承諾の意思自体を再考したい→書類の訂正ではなく、承諾後の辞退という別の話になる。承諾書提出後の辞退の可否が担当だ

承諾書まわりの記入内容そのものの書き方(添え状・封筒・期限)は、親記事の内定承諾書の書き方にまとめてある。

よくある誤解

「承諾書を書き損じたら、内定の心証が悪くなる」。ならない。選考はもう終わっていて、承諾書は事務手続きだ。書き損じの再発行依頼は、人事にとって日常の対応で、記憶にすら残らない。

「訂正印は認印なら何でもいい」。署名欄と同じ印を使うのが原則だ。違う印だと、誰が訂正したのかの証明が弱くなる。書類全体で印鑑は1本に統一する。

よくある質問

承諾書に添える添え状も書き損じました。こちらも訂正印でいいですか?

添え状は挨拶状であって契約書類ではないので、訂正印の対象外だ。1枚ものの短い書面だから、書き直す方が速くてきれいになる。添え状の型は承諾書の親記事で書いた通り、時候の挨拶+同封物+結びの3段で足りる。

電子サイン形式の承諾書で入力を間違えました

送信前なら入力し直すだけでいい。送信後に気づいた場合は、システム上の取り消しができないことが多いので、人事へ「入力に誤りがありました」と連絡して、再送信の手順を案内してもらう。電子でも紙でも、送信後の対応は「連絡して相手の指示を仰ぐ」が共通の正解になる。

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