「辞めたい」で検索して、「甘え」という言葉を見つけて、余計に動けなくなる。20代の相談は、だいたいこの順番で止まっている。
先に答えを置く。甘えかどうかは、入社何年目かと辞めたい理由の組み合わせで判定できる。感情論ではなく基準で決めればいい。
金曜の夜に届くことが多い。1週間を耐え切った直後、来週がまた始まる絶望の中で打っている文面だ。まとめるとこうなる。
「入社2年目です。仕事がつらくて辞めたいのですが、まだ2年しか働いていないのに辞めるのは甘えだと親にも先輩にも言われます。たしかにスキルも身についていないし、我慢が足りないだけなのかもしれません。でも朝起きるのがしんどいです」
先に答えを言う。
甘えかどうかは、年齢では決まらない。辞めたい理由で決まる。
この記事の要点
- 判断の軸は3つ。環境が原因か、心身に症状が出ているか、次で何を得たいか
- 「甘え」という言葉を使う側には、使う側の事情がある
- 入社1年目・3年目・20代後半で、動き方の正解は変わる
- 20代は未経験採用がもっとも広い年代で、市場ではむしろ有利だ
*筆者の立場|私は1社目のブラック企業を1年以内に辞めた当事者だ。その経験と、DMに届く相談に基づいて書いている。*
「甘え」という言葉を使う側の事情
まず、あなたを甘えと呼ぶ人たちの中身を見ておく。
親があなたを止めるのは、親の時代の正解が「続けること」だったからだ。終身雇用が機能していた時代には、それは合理的だった。親の助言は愛情から出ているが、参照しているデータが古い。
先輩があなたを止めるのは、自分が我慢してきたからだ。あなたがあっさり抜けると、自分の我慢の意味が問われる。「甘え」という言葉は、あなたの分析ではなく、その人の自己防衛として出てくることが多い。
そして、どちらもあなたの毎日を生きていない。
朝起きるのがしんどいのはあなたで、日曜の夜に胃が重くなるのもあなただ。代金を払っていない人の判定に、人生を預ける必要はない。
判断の軸は3つ。年齢はそこに入っていない
甘えかどうかを自分で判定する軸を渡す。
軸1。原因が環境側にあるか。残業代が出ない、休みが取れない、怒鳴られる、契約と実態が違う。これらは法律や契約の問題で、あなたの忍耐力の問題ではない。環境が原因なら、年次に関係なく離れていい。むしろ若いうちに基準値が壊れる前に離れた方がいい。
軸2。心身に症状が出ているか。眠れない、食欲がない、涙が出る、通勤中に動悸がする。この段階なら、甘えかどうかの議論はもう終わりだ。話は転職より先に、休養と医療機関になる。このセクションに紹介する商品はない。
軸3。次で何を得たいか言えるか。環境も普通、体も平気、でもつまらない。この場合だけ、少し立ち止まる価値がある。いまの不満は言えるのに、次で得たいものが言えない状態で動くと、次でも同じ不満に出会うからだ。
正直に書くと、軸3の人に対しては、私も即答を持っていない。辞めて正解だった人と、あと1年積んでから動いた方が良かった人の両方を見ているからだ。だからこの型の人にだけは、この後の年次別の話を読んでほしい。
入社何年目かで、動き方の正解は変わる
1年目。まず入社1ヶ月で辞めたい場合の考え方にも書いたが、環境に問題があるなら1年目でも離れていい。第二新卒の枠は、短期離職を想定内として扱う市場だ。ただし環境ではなく業務の不慣れがつらいだけなら、半年は様子を見る価値がある。不慣れは時間で解決するが、環境は時間で解決しない。この見分けだけ間違えないでほしい。
2〜3年目。一番相談が多い帯だ。ここで確認すべきは1つで、いまの職場に、まだ取れるものが残っているか。任される範囲が広がっているなら、それを取り切ってから動く方が高く売れる。2年目も3年目も同じ作業の繰り返しなら、残っているものはない。3年目で仕事が向いてないと気づいた人へが姉妹記事だ。
20代後半。未経験の職種や業界に移れる枠が、まだ広く開いている最後の帯だ。方向を変えるなら、ここが一番コストが低い。30代に入ると未経験枠は一気に狭まる。逆に、いまの延長で積み上げたいなら、焦って動く必要はない。
動くと決めたら。20代の入口は2つ用意されている
20代の転職市場は、経験の浅さを前提とした窓口が既に存在する。1人で一般の求人サイトを回って落ち続けるのが、一番もったいない。
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私の1社目は美容業界のブラック企業で、1年以内に辞めた。当時、周りの全員に甘えだと言われた。いま振り返って、あの退職を後悔したことは一度もない。後悔しているのは、甘えという言葉に怯えて、決断を数ヶ月遅らせたことの方だ。
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周りと比べて焦っている状態そのものの分解は、28歳前後の焦りの正体に書いた。
動くと決めた人と、決めていない人で、次が分かれる
ここまで読んで、次の一手は2択になる。
- 行き先や条件が決まっている人 — 求人と選考の実務は転職エージェントが速い。無料で書類と面接まで伴走してもらえる
- 動くかどうか自体を決めていない人 — エージェントに行くと求人の話が先に始まる。先に基準を作る方が順番として合っている
決めていない側の人は、無料の辞めどき診断で状態に名前をつけるか、求人を紹介しない型のキャリア相談で整理する手がある。
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相談の流れ|① 無料相談を申し込む → ② 迷いの中身を話しながら整理する → ③ 続けるかは内容と料金を聞いてから決めればいい
求人を紹介されない=転職を強要されない。動かないという結論も選択肢に残る場所だ。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
第二新卒はいつまでなのか
明確な定義はないが、市場では卒業後3年以内、年齢で言えば25〜26歳あたりまでを指すことが多い。ただしこの線を過ぎたら終わりではなく、20代後半には20代後半向けの未経験枠がある。期限に追われて焦って決めるより、判断の軸3つで決める方が失敗しない。期限は動く理由にはなるが、行き先を決める理由にはならない。
転職回数が多いと不利になるのか
回数そのものより、説明できるかで決まる。私は転職4回だが、それぞれに理由と得たものを言える。逆に1回でも「なんとなく辞めた」が透ける人は通らない。20代で2回目の転職を怖がる相談をよく受けるが、2回目自体は珍しくもなんともない。怖がるべきは回数ではなく、同じ理由で辞めることの繰り返しの方だ。
次の会社でも辞めたくなったらどうするのか
その可能性はある。だからこそ、辞める前に「今回の辞めたさの正体」を言葉にしておく。人間関係なのか、仕事内容なのか、労働時間なのか。正体が分かっていれば、次を選ぶ基準になる。分からないまま移ると、同じ場所に着地する。この作業だけは、退職届より先にやってほしい。20代後半で年齢を理由に迷っている人は、20代後半の転職は遅いのかで市場の実際を確認してからでいい。
転職理由は統計上も「普通」だ
厚労省の雇用動向調査(令和7年)では、男性は給料の少なさ、女性は労働条件と人間関係が転職理由の上位に来る。年代別の内訳と、面接での翻訳の仕方は転職理由のランキングの記事で整理した。
よくある質問
20代で仕事を辞めたいのは甘えですか?
甘えかどうかは理由と状況で決まり、年齢では決まらない。環境が原因なら年次に関係なく離れていい。物足りなさが原因なら、次で何を得るかを言語化してから動くべきだ。
石の上にも三年は本当ですか?
半分だけ本当だ。3年で得られるのは業務の全体像と説明できる実績で、それ自体には価値がある。ただし心身を削る環境での3年は資産にならない。
20代の転職は不利になりますか?
20代は未経験のポテンシャル採用がもっとも広く開いている年代で、市場では不利どころか有利だ。不利になるのは、理由を説明できない短期離職を重ねた場合だけだ。
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