年初や4月に立てた目標が、気づけば跡形もない。手帳を開くのが嫌になっている。

9月前後は、この状態の相談が増える時期だ。先に言っておくと、上半期の空振りは、下半期の敗北を意味しない。むしろ9月は、1年で一番立て直しに向いた時期になる。やり直しの手順を書く。

この記事の要点

  • 空振りの原因を、量の問題か方向の問題かに先に仕分ける
  • 下半期の目標は1つに絞る。残り期間の自由時間は思ったより少ない
  • 立て直しは気合いではなく、月1回の点検日で運ぶ
  • 方向から分からなくなっている場合は、目標の前に棚卸しが要る

なぜ9月が立て直しの適期なのか

理由は3つある。

1、区切りとして機能する。多くの会社で下半期が始まり、評価の対象期間も切り替わる。心理的にも制度的にも、仕切り直しの言い訳が立つ時期だ。

2、年末まで約4ヶ月という長さがちょうどいい。1年の計画は長すぎて中だるみするが、4ヶ月は1つのことを形にするのに足りて、だれるには短い。

3、上半期という実測データがある。年初の目標は願望で立てたはずだ。いまのあなたは、自分が実際にどれだけ動けるかの実績を半年分持っている。願望ではなく実測で立て直せるのが、年初との最大の違いなんよ。

だから、上半期を悔やむ時間はもう要らない。あの半年は、あなたの実力と生活の実測値を取るための計測期間だったと思えばいい。

手順1。空振りの原因を2つに仕分ける

立て直しの最初の作業は、新しい目標を書くことではない。空振りの検死だ。上半期の目標を並べて、それぞれ「量の問題」か「方向の問題」かを付けていく。

量の問題。やる気はあったが、時間と体力が足りなかった。残業、家庭の事情、突発の業務。この場合、目標は正しい。計画が現実の生活を無視していただけだ。

方向の問題。時間はあったのに、手が伸びなかった。資格の勉強を開くのが億劫だった。よく考えると、その目標は上司や世間の受け売りで、自分の気持ちが乗っていなかった。この場合、続ける努力より、目標そのものを疑う方が先になる。

この仕分けをせずに「下半期こそ」と気合いを入れ直すと、量の問題の人はまた潰れ、方向の問題の人はまた放置する。同じ半年をもう一度やることになる。

手順2。量の問題なら、半分に削る

量で空振りした人の立て直しは単純だ。目標の数と水準を半分に削る。

  • 目標は1つ、多くて2つ。仕事の目標と自己投資の目標を1つずつ、が上限だ
  • 水準も実測に合わせる。上半期に週2時間しか作れなかったなら、下半期の計画は週2時間で組む。週5時間の計画を書き直しても、また破綻する
  • 9〜12月は、行事・締め・評価面談で自由時間が削られる前提で組む

削ることに抵抗があるはずだ。目標を下げるのは負けに感じる。だが逆で、5つ掲げて全部が中途半端だった半年より、1つに絞って形にした半年の方が、評価も自信も確実に上に行く。目標は掲げた数ではなく、完了した数でしか、あなたを助けてくれないんだわ。

手順3。方向の問題なら、目標の前に棚卸し

方向で空振りした人は、新しい目標を探す前にやることがある。自分の現在地の棚卸しだ。

気持ちが乗らない目標は、大抵、自分の実態と接続されていない。誰かの受け売りの資格、なんとなくの英語、意味を感じない社内の数値目標。接続し直すには、材料が要る。

  • これまでの業務を書き出して、成果が出たもの・苦でなかったものに印をつける
  • 5年後にこうなっていたら嫌だ、のリストを書く。やりたいことより先に、避けたいことを固める
  • 残った方向の中から、下半期で試せるサイズの目標を1つ切り出す

棚卸しの具体的な手順はキャリアの棚卸しのやり方に全部書いた。「このままでいいのか」という漠然とした不安が根にある場合は、このままでいいのか不安の整理から入る方が早い。

手順4。月1回の点検日で運ぶ

立て直した目標を年末まで運ぶ仕組みは、1つで足りる。月末の点検日15分。

見るのは3つだけだ。

  1. 進んだか(完了したことを書く。ゼロでも書く)
  2. ずれたか(計画と実際の差。理由も1行)
  3. 削るか(残り期間で無理が見えたら、その場で水準を下げる)

ポイントは、崩れを失敗扱いしないことだ。目標は立てて終わりの彫像ではなく、月ごとに直しながら運ぶ荷物になる。10月に一度崩れても、点検日があれば11月から絞り直せる。点検日がなければ、崩れたことに12月に気づく。この差が、年末の景色を分ける。

1人で立て直せない時。相談先の分岐

ここまでの手順を読んで、「そもそも何を目標にすべきかから分からない」が残った人へ。その状態は、手帳の問題ではなくキャリアの方向の問題だ。1人で棚卸しが回らないなら、人と整理する選択肢がある。

転職の意思が固まっている人なら、エージェントとの面談が整理の場になる。求人という具体があると、方向の話が速い。動く時期の相場観は転職時期のカレンダーで先に掴んでおくといい。

動くかどうか自体が決まっていない人は、エージェントだと求人の話が先行して焦りが増す場合がある。求人を紹介しない型のキャリアコーチングなら、下半期の目標どころか、そもそもどの方向に進みたいかの整理から話せる。

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あわせて検索される疑問に、先に答えておく

会社の目標設定(MBO)と自分の目標がずれています

ずれていて普通だ。会社の目標は評価のための約束で、自分の目標は人生のための計画になる。無理に一本化せず、重なる部分を探して、そこに力を集めるのが現実解だ。会社の目標の中で、自分の市場価値にもなる項目はどれか。その1つを下半期の主戦場にすれば、評価と自己投資が同じ時間で進む。完全に重ならない場合は、会社の目標は合格点狙い、自分の目標に残りを回す、と配分を決めてしまえばいい。

下半期からの頑張りは、冬のボーナスや評価に間に合いますか

会社の評価サイクルによるが、多くの場合、冬の賞与の査定対象は夏〜秋の実績で締まる。つまり9月からの立て直しは、冬より次の期の評価に効くと考えておくのが現実的だ。だから「もう間に合わないから頑張らない」ではなく、間に合う対象を正しく知って動く方がいい。査定の締め時期の仕組みは冬のボーナス査定はいつ決まるかに書いた。

目標がそもそも思いつきません。無理に立てるべきですか

無理に立てなくていい。ただし、目標の代わりに避けたい状態のリストだけは書いておいてほしい。3年後もこの業務だけをやっていたら嫌だ、この上司の下のままは嫌だ。避けたいことは、やりたいことより誰でも書ける。そのリストは、次に目標が要る局面(異動・転職・昇進の打診)で、判断の物差しとして働く。目標ゼロの期間があっても、物差しゼロの期間は作らない方がいいんよ。

よくある質問

上半期の目標が全然達成できませんでした。下半期はどう立て直せばいいですか?

空振りの原因を量の問題か方向の問題かに仕分けてから動く。気合いだけの再出発が一番失敗しやすい。

下半期の目標は何個くらいに絞るべきですか?

1つ、多くて2つだ。9〜12月の自由時間は削られる前提で、実測に合わせた水準で組む。

目標を立て直しても、またすぐ崩れそうで怖いです。

月末15分の点検日を先にカレンダーへ入れる。崩れは失敗ではなく調整の対象になる。

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