日曜の夜や、ふとした残業帰りに来る。「このままでいいのか」。答えは出ない。出ないまま月曜が来て、また日常が始まる。これを何年か繰り返している。
この不安の厄介さは、漠然としていることそのものにある。対象が曖昧だから、打ち手も決まらない。だから分解する。3つの質問に答えるだけで、霧の正体はだいたい見える。
この記事の要点
- 漠然とした不安は、漠然としたまま扱うと何年でも続く
- 3つの質問で、時間の問題か、環境の問題か、停滞の問題かに分かれる
- 5年後の試算が、動くか残るかの判断材料になる
- 2年考えて結論が出ないなら、材料不足だ。考える時間ではなく材料を足す
質問1、この不安は何年前からあるか
最初の質問がこれだ。思い出してほしい。この感覚は、いつからあるか。
ここ数ヶ月なら、きっかけがあるはずだ。同期の転職、上司の交代、評価への不満、SNSで見た誰か。最近の出来事への反応なら、まずそのきっかけを特定する。一時的な揺れの可能性もあるし、揺らされて気づいた本音の可能性もある。
1年以上前からなら、話が変わる。それはもう一時的な気分ではなく、恒常的な状態だ。そして1年以上、同じ不安を持ったまま何も変わっていないという事実自体が、2つ目の質問の材料になる。
質問2、5年このままだったら、何が困るか
ここが分解の中心になる。今の延長線を、具体的に試算する。
5年後のあなたは、今の会社で5年分年を取っている。そのとき——
- スキルはどうなっているか。今の業務を5年続けて、できることは増えているか。市場で通用する何かが積み上がっているか
- 年収はどうなっているか。この会社の5年上の先輩が、その答えだ。先輩の年収と働き方が、ほぼあなたの5年後になる
- 選択肢はどうなっているか。5年後の年齢で、今と同じ幅の選択肢が残っているか
この試算で何も困らないなら、不安の正体は環境ではない。比較や焦りから来る一時的な揺れの可能性が高い。今の場所で積むことに集中すればいい。
試算して困ることが出てきたなら、不安は正しい警報だ。漠然とした不安に見えていたものは、実は「このまま行くと詰む」という予測を、頭のどこかで既にしていたことになる。
質問3、困ることのうち、今の会社で解決できるものはどれか
警報が正しいと分かったら、打ち手の場所を決める。転職は選択肢の1つであって、唯一ではない。
- スキルの停滞——社内の異動や新しい業務への立候補で解決できる場合がある。できないなら環境の問題になる
- 年収の停滞——今の会社の昇給の仕組みで、5年後にいくら変わるかを見る。仕組み上、上がらないなら社内では解決できない
- 選択肢の縮小——これは時間の問題なので、どこにいても進む。唯一の対策は、市場で通用する経験を今から積むことになる
社内で解決できるものが多いなら、動く前にやることがある。社内で解決できないものが中心なら、外を見る段階に入っている。
判断の材料を外から入れる。2つの道具
ここまでの3問は、頭の中だけで答えられる。だが頭の中の材料には限界がある。特に「自分の市場価値」と「外の選択肢」は、外から入れないと分からない。
道具1、市場価値の測定。今の経歴に市場がいくらの値段をつけるか。この数字があると、質問2の試算が推測から事実に変わる。
*クリックすると公式サイトが開く。質問に答えると想定年収と、経歴を求める企業からのスカウトが見られる。*
登録後の流れ|① 質問に答えて経歴を登録する(10分弱) → ② 想定年収が表示される → ③ 5年後の試算の材料に使う
測って想定年収が今より高ければ、市場はあなたを今の会社より高く評価している。低ければ、今の環境で積むべきものがまだあるという情報になる。どちらに転んでも材料だ。測り方の全体は市場価値の測り方にまとめた。
道具2、第三者との整理。3つの質問に一人で答えられない場合や、答えは出たが確信が持てない場合は、話しながら整理する方が速い。
このとき、相談先の型に注意してほしい。行き先が決まっていない段階でエージェントに行くと、求人の話が先に始まる。窓口の仕組み上そうなる。まだ「動くかどうか」の段階なら、求人を紹介しない型の相談が噛み合う。
*クリックすると公式サイトが開く。求人紹介をしないキャリアコーチングで、初回の相談は無料だ。*
相談の流れ|① 無料相談を申し込む → ② 3つの質問の答えと、確信が持てない部分を話す → ③ 続けるかは内容と料金を聞いてから決めればいい
求人を紹介されない=転職を強要されない。「このまま残る」という結論も選択肢に残したまま話せる。本編は有料なので、無料相談で判断すればいい。エージェントとの仕組みの違いはキャリアコーチングとエージェントの違いに書いた。
不安なまま放置すると、何が起きるか
最後に、放置した場合の話を正直に書く。
この不安は、放置しても爆発しない。痛みではないからだ。だから何年でも持ち続けられてしまう。
起きることは1つだけになる。時間が過ぎる。
質問1で「1年以上前から」と答えた人は、既にそれを体験している。1年前のあなたも、同じ日曜の夜に、同じことを考えていた。そして1年分、質問2の試算の残り時間が減った。
不安は、材料にすれば警報として役に立つ。抱えたまま何もしなければ、ただの消耗になる。分解して、測って、決める。残るなら選んで残る。動くなら準備して動く。どちらでもいい。決めていない状態だけが、一番コストが高いんよ。
転職するか迷う状態が続いている人は転職するか迷って1年経った人へ、モヤモヤの正体をもっと広く分解したい人は仕事は嫌いじゃないのに人生がモヤモヤする正体へ。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
5年上の先輩を見ると、正直ああなりたくないと思ってしまいます
その感覚は、質問2の答えが出たということだ。先輩個人への評価ではなく、その会社の仕組みが5年でどこに人を運ぶかの実例として見る。ただし1人だけで判断しないでほしい。5年上を3人見て、3人ともなりたくない姿なら、それは個人差ではなく仕組みの出力になる。逆に1人でもなりたい姿の人がいるなら、その人が何をしてきたかを聞く価値がある。社内にルートが実在するかもしれない。
不安を感じるたびに求人サイトを見て、閉じるのを繰り返しています
その行動パターンには名前をつけていい。見るだけの往復だ。求人を見て、応募せず閉じる。これを繰り返すのは、意志が弱いからではなく、判断の基準がないまま求人を見ているからになる。基準がなければ、どの求人も決め手に欠けて見える。順番が逆で、先に3つの質問と市場価値の測定で基準を作る。基準ができてから見る求人は、受けるか受けないかが判断できる対象に変わる。
家族に相談したら「安定してるんだから続けなよ」と言われました
家族の助言は、あなたの幸せを願って、かつ変化のリスクを避ける方向に偏る。それが家族の役割だから、責める話ではない。ただし、家族はあなたの市場価値も、業界の状況も、社内の実態も知らない。判断材料を持っていない人の結論は、参考意見として受け取るのが正しい距離感になる。家族に必要なのは相談ではなく、決めた後の説明だ。材料を揃えて決めた選択なら、説明はできるわ。
よくある質問
「このままでいいのか」という不安は、どう扱えばいいですか?
3つの質問に分解する。いつからあるか、5年後に何が困るか、社内で解決できるものはどれか。正体が分かれば打ち手が決まる。
不安はあるけど、行動する気力が出ません。
やることが大きすぎるのが原因である場合が多い。市場価値を測る、書き出す、相談を1件入れる。15分の大きさまで割る。
このままでいいのか考え続けて、もう2年経ちました。
材料不足だ。頭の中の材料で出る結論なら2年かからない。市場の数字か第三者の視点を外から入れる。
5年後試算のシートをLINEで無料配布中
3つの質問と5年後の試算をまとめたシートを、公式LINEで無料配布している。不安は、分解した人にとっては警報で、放置した人にとっては消耗だわ。

