給料に大きな不満はない。人間関係も悪くない。仕事も、嫌いというほどではない。なのに、日曜の夜にふと「このままでいいのか」が来る。

この感覚には名前がつけにくい。不満なら対象があるが、これには対象がない。だから人にも相談しにくいし、検索しても答えが出ない。私のDMにはこの種の相談が繰り返し届く。まとめると「辞めたい理由はないのに、続けたい理由もない」だ。正体を分解する。

この記事の要点

  • 不満と不全感は別物だ。不満は対象があるが、不全感には対象がない
  • 正体は4つのどれかである場合が多い。待遇の問題ではない
  • 対象がないから、転職で待遇を変えても消えないことがある
  • 最初の一歩は言語化。書き出すか、人と話しながら整理する

不満と不全感は、別の生き物だ

まずこの区別をつけると、自分の状態が読めるようになる。

不満は、対象がはっきりしている。給料が低い、上司が合わない、残業が多い。対象があるから、打ち手も決まる。交渉する、異動する、転職する。

不全感は、対象がない。今の生活に大きな問題はない。なのに満たされていない。問題が見つからないことが、逆に苦しさになる。「恵まれているのにモヤモヤしている自分はおかしいのか」という二重の悩みになりやすい。

あなたのそれが不満なら、対象への打ち手を考えればいい。不全感なら、この先を読んでほしい。

モヤモヤの正体は、だいたい4つに分かれる

相談を聞き続けてきた立場から言うと、対象のないモヤモヤの中身は、ほぼこの4つに分類できる。

1、成長の実感が止まっている

仕事には慣れた。回せるようになった。そして、去年の自分と今年の自分の差が説明できなくなった。

人は現状維持を安心とは感じない。できることが増えている実感が止まると、安定はそのまま停滞の感覚に変わる。仕事が嫌いじゃないのにモヤモヤする人の、最も多い型がこれだ。

2、自分で選んでいる感覚がない

今の会社も、今の仕事も、流れで決まってきた。配属も異動も会社が決めた。振り返ると、自分で選んだ記憶が薄い。

この状態は、日々は普通に過ごせる。ただ、ふとした瞬間に「これは自分の人生なのか」が来る。選び直したいのではなく、一度も選んでいないことが引っかかっている。

3、比較の基準が外にある

SNSで同世代の転職や独立が流れてくる。友人の年収を聞く。自分の現在地を、他人の現在地との差分でしか測れなくなっている。

比較そのものは自然な心理だ。問題は、自分の基準が空欄のまま、他人の基準だけで採点していることになる。これだと、何を達成しても次の比較対象が現れて終わらない。

4、生活の全部が仕事の従属変数になっている

住む場所も、起きる時間も、平日の体力の残りも、全部が仕事から逆算で決まっている。仕事に不満はないのに、生活の主導権が自分にない。

この型の人は、仕事を変えても同じことが起きる。変えるべきは仕事ではなく、仕事と生活の力関係の方だからだ。

転職では解決しない場合がある。ここが分かれ目だ

ここが、この記事で一番言いたいことになる。

1と3と4は、転職で解決しないことがある。成長の実感は環境を変えれば一時的に戻るが、慣れればまた止まる。比較の癖は会社を変えてもついてくる。生活の力関係も、次の会社で同じ形を作れば同じになる。

2だけは、転職という行為そのものが答えになる場合がある。一度自分で選ぶ経験が、選んでいない感覚を上書きするからだ。ただしこれも、流されるように転職したら意味がない。

つまり、モヤモヤの型が分からないまま転職に動くのは、診断せずに薬を選ぶのと同じことになる。当たることもあるが、外したときのコストが大きい。

最初の一歩は言語化。方法は2つある

モヤモヤは、頭の中にある間は霧のままだ。言葉になった瞬間に、初めて扱える形になる。

方法1、自分で書き出す。1週間、モヤッとした瞬間をスマホにメモする。会議中か、SNSを見た後か、日曜の夜か。溜まったメモを、上の4つの型に当てはめてみる。どの型に多く集まるかで、自分のモヤモヤの重心が見える。金のかからない、最初にやるべき方法だ。

自分の傾向を先に数字で見たい人は、診断を挟むと言語化が速くなる。

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利用の流れ|① 質問に答える(10分前後) → ② 適職タイプが表示される → ③ 結果を言語化の材料に使う

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方法2、人と話しながら整理する。書き出しても分類しきれない場合、話す方が速いことがある。人に説明しようとした瞬間に、自分の中で整理が始まるからだ。

ただし相手選びに注意がいる。行き先が決まっていない段階でエージェントに相談すると、求人の話が先に始まる。エージェントは求人を紹介して初めて事業になる仕組みだから、これは担当が悪いのではなく窓口の型の問題だ。

決まっていない段階の相談先は、求人を紹介しない型の窓口になる。

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相談の流れ|① 無料相談を申し込む → ② モヤモヤの中身を話しながら整理する → ③ 続けるかは内容と料金を聞いてから決めればいい

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求人を紹介されないということは、転職を強要されないということでもある。転職しないという結論も選択肢に残したまま話せるのが、エージェントとの一番の違いになる。本編は有料なので、無料相談で判断すればいい。仕組みの違いはキャリアコーチングとエージェントの違いに書いた。

放置するとどうなるか。正直に書く

モヤモヤは、痛みではない。だから放置できてしまう。そして放置の唯一の問題は、時間が過ぎることだ。

1年前も同じことを考えていなかったか。同じモヤモヤを持ったまま、去年と同じ日曜の夜を過ごしていないか。

モヤモヤ自体は悪ではない。現状を疑う感覚は、次の一手の材料になる。材料のまま腐らせるか、言語化して使うかの違いだけがある。

このままでいいのかという感覚そのものの分解は「このままでいいのか」の不安の分解方法に、やりたいことが分からない状態は30代でやりたいことが分からないのは遅れじゃないに分けて書いた。

そもそも誰に相談するかの全選択肢はキャリア相談は誰にすればいいのかに、楽しくなさが我慢の範囲かの判定は仕事が楽しくないのは普通なのかの基準線に分けて書いた。

あわせて検索される疑問に、先に答えておく

モヤモヤの原因が仕事なのか、プライベートなのか分かりません

分けなくていい、というのが実務的な答えになる。会社員の生活は仕事が時間の大半を占めるから、どちらか一方だけが原因であることは少ない。むしろ書き出したメモの発生場面を見る方が正確だ。モヤッとした瞬間が業務中に集中しているなら仕事の比重が高く、休日や夜に集中しているなら生活全体の力関係の話になる。発生場面が、そのまま原因の所在を教えてくれる。

周りに相談したら「贅沢な悩みだ」と言われました

言った側に悪気はないが、その一言でモヤモヤは消えない。恵まれているかどうかと、満たされているかどうかは別の軸だ。他人との比較で上位にいることは、自分の基準を満たしていることを意味しない。贅沢な悩みだと言われて引っ込めた悩みは、消えたのではなく黙っただけになる。相談相手は、状況を採点する人ではなく、整理を手伝う人を選んだ方がいい。

モヤモヤを放置していたら、急に辞めたくなることはありますか

ある。不全感は溜まり方が静かで、あるとき突然「もう無理だ」の形で表面化することがある。そのときの判断は、たいてい質が低い。疲れと勢いで決めた選択は、後から見ると選択肢が狭い。だから元気なうちに言語化しておく意味がある。モヤモヤの段階で整理した人は、動くにしても残るにしても、自分の基準で決められるんよ。

よくある質問

仕事に不満はないのにモヤモヤするのはなぜですか?

不満と不全感は別物だからだ。不全感には対象がなく、成長の停滞・選んでいない感覚・外にある比較基準のどれかが正体である場合が多い。

モヤモヤの正体はどうすれば分かりますか?

1週間メモを取り、4つの型に分類する。自分で分類しきれないなら、第三者と話しながら整理する方法がある。

モヤモヤしているだけで転職を考えるのは早すぎますか?

決める必要はないが放置する理由もない。決まっていない段階なら、無料診断か求人を紹介しない型の相談が順番として合う。

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