「やりたいことを仕事にしよう」と言われ続けて、30代になった。まだ見つかっていない。同世代は専門を固めたり、転職で年収を上げたりしているように見える。自分だけが空欄のまま走っている気がする。
先に結論を書く。やりたいことが分からないのは、遅れではない。そして、見つからないのは探し方が逆だからだ。頭の中を掘っても出てこないものを、掘り続けているだけなんよ。
この記事の要点
- やりたいことが明確な人の方が少数派だ。空欄は遅れではない
- 内省だけでは出てこない。判断材料が頭の中にないからだ
- 順番は引き算が先。やりたくないことを消すと、残った範囲が見える
- 決まっていない段階の相談先は、エージェントではない
「やりたいこと」が見つからないのが普通である理由
まず前提を直す。
やりたいことが明確で、それに向かって一直線に進んでいる人は、実際には少数派だ。多くの人のキャリアは、目の前の仕事をこなす中で、後から振り返ると形になっていたという順番で出来ている。
私自身、美容業界のブラック企業から逃げた時点で、やりたいことなんてなかった。あったのは「この環境から出たい」だけだ。Webの仕事も、最初からやりたかったわけではない。やってみたら手応えがあった、の積み重ねが後からキャリアと呼ばれるようになっただけになる。
問題は、やりたいことが分からないことではない。分からないことを遅れだと感じて、焦って考え込み、考え込んで動けなくなる——この連鎖の方が実害を生む。
内省では出てこない。仕組みの話をする
「自己分析をしても何も出てこない」という相談は多い。出てこないのには、はっきりした理由がある。
やりたいことの判断材料は、経験の中にしかない。やったことがないものを、やりたいかどうか判断することはできない。頭の中を掘る作業は、すでに持っている材料を並べ替えているだけで、新しい材料は1つも増えていない。
だから、考える時間を増やしても答えは出ない。材料を増やすか、既にある材料を見えるようにするかの、どちらかしかない。
- 材料を増やす — 小さく試す。副業、社内の別業務、学習
- 材料を見えるようにする — 過去の経験を棚卸しして、言葉にする
このどちらも、机の上の内省とは別の作業になる。
順番は引き算が先。3ステップで書く
実際の手順を置いておく。
ステップ1、やりたくないことを先に書き出す
やりたいことは出てこなくても、やりたくないことは即答できるはずだ。
- 毎日同じ作業の繰り返しは無理
- ノルマで詰められる環境は無理
- 深夜まで働くのは無理
- 人と一日中話し続けるのは無理
10個書けば、消去法で残る範囲が見えてくる。この範囲が、あなたが消耗せずにいられる領域だ。やりたいことが空欄でも、避けるべきものが明確なら、会社選びはできる。
ステップ2、過去から「時間を忘れたもの」を拾う
次に、過去の経験から材料を拾う。聞く質問は1つでいい。
「気づいたら時間が経っていた作業は何か。」
資料を作り込んでいたとき。数字の原因を調べていたとき。人に教えていたとき。楽しかったかどうかではなく、没入していたかどうかで拾うのが要点になる。楽しさは記憶で歪むが、没入は事実として残っている。
棚卸しの具体的な手順はキャリアの棚卸しのやり方に分けて書いた。紙とペンでできる。
ステップ3、小さく試して材料を増やす
拾った材料は、まだ仮説だ。試して初めて、判断材料になる。
試すといっても転職する必要はない。社内で近い業務に手を挙げる、週末に小さく副業してみる、講座の無料体験に行ってみる。数千円と数時間で試せる形に小さくするのが実験の作法になる。
3ヶ月試して手応えがなければ、それはそれで「違うと分かった」という材料になる。外れた実験は失敗ではなく、消去法が1つ進んだという成果だ。
一人で整理しきれないときの選択肢
ここまでの手順は、全部一人でできる。ただし、一人でやると止まりやすい場所が2つある。
1つ目は、ステップ1と2の言語化そのもの。自分の経験は自分にとって当たり前すぎて、何が材料なのか自分では見えないことがある。
2つ目は、拾った材料の解釈。没入した経験が何を意味するのか、どの仕事に繋がるのかの翻訳は、選択肢を知らないと難しい。
先に自分の傾向を数字で見たい人は、診断から入ると速い。
*クリックすると公式サイトが開く。質問に答えると、自分の適職タイプと向いている環境の傾向が分かる。*
利用の流れ|① 質問に答える(10分前後) → ② 適職タイプが表示される → ③ 結果をステップ1と2の材料に使う
人と話しながら整理したい場合は、相談先の型に注意してほしい。行き先が決まっていない段階でエージェントに行くと、求人の話が先に始まる。エージェントは求人を紹介して初めて事業が成立する型だから、「やりたいことが分からない」という相談とは噛み合わない。
決まっていない段階と噛み合うのは、求人を紹介しない型の相談になる。
*クリックすると公式サイトが開く。求人紹介をしないキャリアコーチングで、初回の相談は無料だ。*
相談の流れ|① 無料相談を申し込む → ② 今の状態と、整理したいことを話す → ③ 続けるかは内容と料金を聞いてから決めればいい
求人を紹介されないから、転職を前提にせずに話せる。転職しないという結論も選択肢に残る。本編は有料なので、合うかどうかは無料相談で判断すればいい。料金を含めた実際の中身はポジウィルキャリアの評判に書いた。
「やりたいこと」は、後から名前がつくものだ
最後に、この記事の一番の結論を書く。
やりたいことは、見つけてから動くものではない。動いた結果に、後から名前がつくものだ。
私が副業ブログを始めたのは、やりたいことだったからではない。試しにやってみたら数千円稼げて、面白くなって続けただけになる。続いたものが、振り返るとやりたいことと呼ばれていた。順番はいつも逆だった。
だから、空欄のまま動いていい。避けたいことを避けながら、没入できたものを小さく試す。この繰り返しの先にしか、答えはないんよ。
モヤモヤの正体そのものを分解したい人は仕事は嫌いじゃないのに人生がモヤモヤする正体から読んでほしい。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
やりたいことより、稼げることを優先すべきではないですか
二択にする必要がない。実務的な順番としては、やりたくないことを避ける→稼げる範囲で選ぶ→没入できるかを試すになる。稼げるかどうかは市場が決めることで、やりたいかどうかは試した後に分かることだ。両方とも、机の上で悩んでも答えが出ない点は同じになる。稼ぎの軸で選んだ仕事に没入できることも普通にあるから、先に決めつけない方がいい。
30代からやりたいことを見つけて、間に合うのでしょうか
間に合うかどうかは、何と比べるかで変わる。20代から一直線に積んだ人と同じ到達点を同じ年齢で、という比較なら間に合わない。ただしその比較に意味はない。30代は、20代より判断材料が多い。やった仕事の数、見た職場の数、自分の消耗パターンの理解。この在庫は20代には持てないもので、実験の精度を上げる方向に使える。始める時期の遅さは、外す回数の少なさで取り返せる。
家族がいて、試す時間も金もありません
その制約は現実だから、実験の規模をさらに小さくする。週2時間、月数千円まで小さくしても実験は成立する。通勤時間に学ぶ、昼休みに書く、無料体験だけ行く。そして家族がいる人ほど、外れた転職のコストが大きいから、動く前の実験の価値はむしろ上がる。時間がないから試せないのではなく、時間がないからこそ、小さく試してから動く順番が要るんだわ。
よくある質問
30代でやりたいことが分からないのは普通ですか?
普通だ。明確な人の方が少数派になる。問題は分からないことではなく、遅れだと感じて考え込み、止まることの方にある。
やりたいことはどうやって見つければいいですか?
引き算が先だ。やりたくないことを書き出して消し、残った範囲で過去に没入した経験を拾い、小さく試す。
やりたいことがないまま転職してもいいのでしょうか?
必須条件ではない。避けたいことが明確なら会社選びはできる。ただし両方空欄のまま動くと、同じ不満を繰り返しやすい。
引き算のワークシートをLINEで無料配布中
やりたくないことの書き出しと、没入経験の拾い方をまとめたシートを、公式LINEで無料配布している。答えは頭の中ではなく、経験の中にあるわ。

