キャリアをどうするか考え始めると、結婚の話が絡んでくる。出産のタイミングを考えると、今の会社でいいのかが絡んでくる。1つのことを考えているつもりが、気づくと全部が絡まって、思考が止まる。
先に言っておく。複雑なのは、あなたの整理力の問題ではない。30代女性のキャリアは、扱う変数が客観的に多い。多変数の問題を全部同時に解こうとすれば、誰でも詰まる。解き方の順番を書く。
この記事の要点
- 変数が多重に来る時期だ。複雑さは問題の性質であって能力の問題ではない
- 全部同時に解こうとすると詰まる。変数を分けて順番に扱う
- 未確定の変数は、確定させずに幅で扱う
- 相談は中身で分ける。実務はエージェント、整理は利害のない相手
なぜ複雑になるのか。変数を並べる
30代女性のキャリアの悩みを分解すると、だいたいこの変数が同時に走っている。
- 仕事の変数。専門性をどう積むか。今の会社で昇進を狙うか、転職か。若手の看板が外れて、実績で見られる側に移る時期でもある
- パートナーの変数。結婚するか、しないか。相手のキャリアや転勤と、自分のキャリアをどう並べるか
- 出産の変数。産むか、産まないか、いつか。これだけが生物学的な時間の制約を持っていて、他の変数と性質が違う
- 体力の変数。20代と同じ働き方が、少しずつ効かなくなり始める
厄介なのは、これらが独立していないことだ。転職のタイミングは出産の想定に影響され、出産の想定はパートナーの状況に影響され、パートナーの状況は自分の働き方に影響される。1つ動かすと全部が動く。だから全部を同時に考えると、思考が円環して止まる。
男性にも同種の変数はあるが、出産の変数の時間制約と身体への影響が本人に集中する分、30代女性の方が変数の絡み方が濃い。複雑に感じるのは当然なんよ。
解き方の原則。変数を分けて、順番に扱う
多変数の問題の解き方は、実は決まっている。同時に解かず、1つずつ固定して考える。
手順1、変数を紙に分けて書く
頭の中で絡まっているものを、別々の欄に分けて書く。仕事の欄、パートナーの欄、出産の欄、体力・生活の欄。
書き分けるだけで、どの変数が確定していて、どれが未確定かが見える。たとえば「パートナーはいるが結婚の時期は未定」「出産は3年以内には考えたい」のように、確定度がバラバラなことが分かる。
手順2、未確定の変数は「幅」で扱う
未確定のものを確定させようとしない。幅のまま置く。
出産なら「する場合としない場合」の2本を置く。結婚なら「今の関係が進む場合と進まない場合」を置く。幅で置いた上で、どちらの未来でも損にならない選択を探すのが、この手順の中心になる。
たとえば——
- 制度が整い、取得実績のある会社に移っておくことは、産む未来でも産まない未来でも損にならない
- 専門性を1つ固めておくことは、どの変数がどう転んでも市場価値として残る
- 貯蓄を作っておくことは、全ての変数の選択肢を広げる
全変数が確定するのを待ってから動く、が一番の悪手だ。確定を待つ間に、時間の制約がある変数だけが進む。
手順3、時間制約のある変数から優先順位をつける
変数には、待てるものと待てないものがある。待てないものから順番に、自分の希望を仮決めする。仮でいい。仮に決めると、他の変数の検討が動き出す。
会社選びの軸が変わる。確認項目も変わる
変数を幅で扱うと決めると、会社選びの基準も具体的になる。30代女性の転職で見るべきは、求人票の条件より運用の実態だ。
- 産休・育休の取得実績(制度の有無ではなく、直近で何人が取ったか)
- 復帰後の働き方の実例(時短・リモートの併用が実際にあるか)
- 女性の管理職や先輩の実在(5年後の自分の形が社内にいるか)
確認の仕方は産休・育休が本当に取れる会社かの見分け方に書いた。この確認は、遠慮せずやっていい。質問を嫌がる会社は、入った後も同じ扱いになる。
受け身で市場を見ておく手もある。スカウト型に経歴を置いておくと、動くと決める前に、自分にどんな選択肢があるかが見える。
*クリックすると公式サイトが開く。経歴を登録すると、興味を持った企業からスカウトが届く。*
登録後の流れ|① 経歴を登録する(数分) → ② 企業からのスカウトを待つ → ③ 興味のあるものだけ返信すればいい
女性向けの窓口の選び方は女性の転職エージェントの選び方に、出産のタイミングと転職の関係はワーママの転職のタイミングに分けて書いた。
相談先の分岐。ここが一番間違えやすい
変数が多い悩みほど、相談先の型を間違えると消耗する。
転職の実務が相談の中心なら、女性のキャリアに慣れたエージェントが速い。求人・書類・制度の確認まで、無料で伴走してもらえる。
人生の変数ごと整理したいなら、エージェントは噛み合わない。エージェントの面談で出産の想定や結婚の迷いを話しても、返ってくるのは求人の提案だ。窓口の仕組み上、そうなる。担当が悪いのではない。
人生全体の変数を並べて整理する相談は、求人を紹介しない型が合っている。
*クリックすると公式サイトが開く。求人紹介をしないキャリアコーチングで、初回の相談は無料だ。*
相談の流れ|① 無料相談を申し込む → ② 絡まっている変数をそのまま話す → ③ 続けるかは内容と料金を聞いてから決めればいい
求人を紹介されないから、転職ありきで話が進まない。整理した結果が「今の会社で制度を使いながら積む」でも、「動くのは2年後」でも構わない場所だ。転職を強要されないことが、変数の多い相談では特に価値になる。本編は有料なので、無料相談で合うかを判断すればいい。
全部は取れない。でも、順番なら取れる
最後に、私が相談を受け続けてきて一番伝えたいことを書く。
キャリアも、パートナーとの生活も、出産も、全部を満点で取ろうとすると、どの選択肢も減点に見えて動けなくなる。
だが、同時に満点を取る必要はない。30代は10年ある。前半で専門性を固めて後半で生活の変数に備える人もいれば、先に家庭の変数を進めて後から専門性を積み直す人もいる。順番をつければ、時期をずらして両方取れるものは多い。
私は4社目で、あえて年収を下げてリモートと制度で会社を選んだ。その時点では損に見えた選択が、育休と移住という形で後から回収された。一度に全部ではなく、この5年で何を取るか。問いをそう変えるだけで、動ける形になるんよ。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
妊娠の可能性があるうちは、転職しない方がいいですか
一律にそうとは言えない。確かに転職直後は、育休の取得要件(入社1年未満は労使協定で対象外にできる定めがある)や職場での信頼の積み上げの点で、タイミングの制約が生まれる。ただし「可能性があるから動けない」を続けると、可能性がある期間はずっと動けないことになる。産む場合の時期の想定を幅で置いて、逆算でいつまでなら動けるかを計算する方が実際的だ。計算の仕方はワーママの転職のタイミングに書いた。
パートナーと、キャリアの話がうまくできません
話がまとまらない理由の多くは、お互いの変数を知らないまま結論だけをぶつけていることにある。あなたの昇進の希望も、相手の転勤の可能性も、出産の想定も、テーブルに載っていない状態で「どうする」を話しても決まらない。この記事の手順1(変数を紙に分けて書く)を、二人でやるのが一番効く。結論を出す会議ではなく、変数を並べる会議から始めると、話が前に進むわ。
独身のままキャリアに全振りするのも、ありでしょうか
ありだ。それも1つの正当な配分になる。ただし1つだけ助言しておくと、全振りと決めた場合も、決め直す権利は残しておいていい。30代前半の決意が30代後半で変わることは普通にあるし、変わったときに「決めたのに」と自分を責める必要もない。変数が動いたら配分を見直す。それは一貫性のなさではなく、多変数の問題への正しい対応なんだわ。
よくある質問
30代女性のキャリアの悩みは、なぜこんなに複雑なのですか?
仕事・パートナー・出産・体力の変数が相互に影響しながら同時に来るからだ。問題そのものが多変数で、能力の問題ではない。
結婚や出産の予定が決まっていないのに、キャリアを決められますか?
未確定の変数は幅で扱う。どちらの未来でも損にならない選択(制度のある会社・専門性・貯蓄)を優先すればいい。
誰に相談すればいいのか分かりません。
実務はエージェント、人生の変数ごとの整理は求人を紹介しないコーチング、と中身で分ける。1人に全部を求めない。
変数の書き分けシートをLINEで無料配布中
4つの変数を分けて書く整理シートを、公式LINEで無料配布している。全部同時ではなく、この5年で何を取るかだわ。

