求人票に「月給28万円(基本給20万円+職務手当8万円)」とある。手当が多いのは良いことなのか、それとも何かの代わりなのか。

答えは求人票だけでは出ない。名前でなく中身を見る。確認する点は2つだけだ。

先に一文で。職務手当とは特定の職務に対して払われる手当で、原則は基本給と別枠だが、固定残業代の名目に使われている場合と、賞与の算定基礎に入らない場合があるので、その2点を確認してから月給を比べるべきだ。

この記事の要点

  • 特定の職務・役割に付く手当。原則は基本給と別枠
  • 固定残業代の名目で使われていることがある
  • 賞与・退職金の計算に入らないことが多い
  • 確認は2点。残業代を含むか、算定基礎に入るか

職務手当とは何か

特定の職務や役割を担うことに対して支払われる手当だ。よくある形はこうなる。

  • 営業職に一律で付く手当
  • 資格が要る業務(有資格者)に付く手当
  • 責任の重い担当や、特殊な業務に付く手当

給与明細では基本給の下に手当として並ぶ。基本給に含まれるものではない。

似た名前の手当と混同しやすいので、線を引いておく。

手当何に対して払われるか
職務手当担当する職務・業務の内容
役職手当課長・部長などの役職
職能手当本人の能力・スキルの等級

役職手当は役職を外れると消え、職能手当は等級が下がらない限り残る。職務手当は担当が変わると変動する。異動で消えることがある、という点は知っておいたほうがいい。

確認する点1、残業代を含んでいないか

ここが一番大事だ。「職務手当(固定残業代30時間分を含む)」という形で、固定残業代を職務手当の名目で払っている会社は実在する

この場合、その手当は残業の対価だ。記載された時間を超えた分は別途支払う義務が会社にある。

見抜き方は2つある。

  1. 求人票や労働条件通知書に「◯時間分の時間外手当を含む」の記載があるか
  2. 職務手当の額が不自然に大きくないか。基本給の2〜3割を超えるなら要確認

名目が職務手当でも、残業代として扱われているかどうかで意味がまるで変わる。固定残業代の仕組みそのものはみなし残業とはの記事で書いた。

確認する点2、賞与・退職金の算定に入るか

賞与を「基本給の◯ヶ月分」で計算する会社は多い。この場合、職務手当がいくら厚くても賞与には反映されない。退職金も同じで、基本給を基礎にする規程が一般的だ。

具体例で見る。

  • A社|基本給25万円+職務手当3万円=月給28万円
  • B社|基本給20万円+職務手当8万円=月給28万円

月給は同じ。賞与が基本給の4ヶ月分なら、A社は100万円、B社は80万円になる。年収で20万円の差が、求人票の月給欄には出てこない。

基本給と手当の関係、手取りへの影響は固定給と手取りの違いの記事で整理した。

面接・オファー面談での聞き方

確認は一言で足りる。

「職務手当には、時間外手当が含まれていますか。また、賞与の算定は基本給ベースでしょうか」

これで2点とも分かる。答えを渋る会社のほうが、入社後に問題が出やすい。条件を聞く時の言い回しは面接で給料を聞く丁寧な言い方の記事にまとめた。

内定後は労働条件通知書で書面を確認する。手当の内訳が書かれていない場合は、内訳を書面でもらう(労働条件通知書の見方の記事)。

転職時の年収比較でどう扱うか

複数のオファーを比べる時は、月給の総額でなく基本給で並べる。そのうえで、手当の性質を分けて見る。

  • 残業代の代わりになっている手当|働いた分の対価。比較から外して考える
  • 純粋な職務手当|月給には入るが、賞与には入らない前提で見る
  • 通勤・住宅など生活系の手当|条件が変わると消える可能性を見込む

これで、「月給は高いのに年収が低い」という入社後の驚きは防げる。

よくある誤解

「手当が多い会社は待遇が良い」。手当は会社側が調整しやすい部分で、基本給を抑えて手当で見せている場合がある。良し悪しは基本給の水準で判断する。

「職務手当は一度もらえば固定」。担当業務が変わると見直される。異動や配置転換で減ることがある点は、就業規則の手当の項で確認できる。

相場はいくらか。看護師など職種で違う

一律の相場はないが、目安として月1〜5万円の範囲に収まる会社が多い。基本給の1〜2割が上限の目安で、それを超えて厚い場合は固定残業代が混ざっていないかを疑う。

職種で名前と中身が変わる。看護師なら「職務手当」に加えて夜勤手当・資格手当が別に付くのが通常で、職務手当だけが突出して高い求人は内訳を確認する。営業職なら職務手当に営業活動の対価が含まれ、インセンティブとは別枠になる。工場・技能職では特定の機械や作業の担当に対して付く。

同じ名前でも会社ごとに中身が違うので、「相場より高いか低いか」より、何に対して払われているかを求人票と面接で確認するほうが実用的だ。

よくある質問

職務手当がなくなると言われました。減給ですか?

担当職務が変わったことに伴う手当の消滅は、規程に沿っていれば直ちに違法な減給にはならない。ただし職務が変わっていないのに手当だけ外すなら、労働条件の不利益変更にあたる可能性がある。規程と、変更の理由を書面で確認するといい。

求人票の「職務手当あり」だけで金額が書かれていません

金額と条件を確認しないまま進めない。面接かオファー面談で、金額・対象者・残業代を含むかの3点を聞く。答えが曖昧なら、労働条件通知書に明記してもらってから承諾する。

転職の資料をLINEで無料配布中

求人票の給与欄チェックリスト(基本給・手当の性質・固定残業の3項目つき)を公式LINEで無料配布している。手当の名前に惑わされず、中身で比べよう。

LINEで無料の資料を受け取る