転職して数ヶ月。前の会社で崩した体調が、また悪化した。休職を考えているが、入社1年未満で傷病手当金はもらえるのか。前の会社でもらっていた分は、どう扱われるのか。

先に言う。在職中なら、1年未満でも出る。退職後が別だ。そして同じ病気の支給期間は、転職してもリセットされない。3つの線を整理する。

先に一文で。傷病手当金は健康保険の被保険者なら入社1年未満でも在職中は受給でき、1年以上の加入は退職後に継続して受ける場合の条件で、同一傷病の通算1年6ヶ月は転職してもリセットされず、転職後1年未満の申請では保険者間の前歴照会で前職の受給が確認される。

この記事の要点

  • 在職中の受給に加入期間の条件はない。1年未満でも待期3日の後から出る
  • 1年以上の条件は、退職後に続けて受ける継続給付だけ
  • 同じ病気の支給期間は通算1年6ヶ月。転職してもリセットされない
  • 転職後1年未満の申請は前歴照会が入る。空白期間があると前職の期間は通算されない

在職中と退職後で、条件が違う

場面加入期間の条件中身
在職中に休職して受けるなし被保険者なら入社直後でも対象。待期3日(連続)の後、4日目から
退職後も続けて受ける(継続給付)退職日までに継続1年以上の被保険者期間退職日に受給中か受給できる状態で、退職日に出勤していないこと
退職後に新たに申請不可退職後に発症した病気は対象外

入社1年未満で崩した人が心配するのは、大半が1つ目だ。在職している限り、加入期間は関係ない。退職後の継続給付の2条件は傷病手当金は退職後ももらえるかに書いた。

同じ病気の1年6ヶ月は、転職してもリセットされない

2022年1月から、傷病手当金の支給期間は「支給開始日から暦で1年6ヶ月」ではなく、支給された日を通算して1年6ヶ月になった。途中で復職して支給が止まった期間は数えず、その分だけ後ろに延びる。

ただし通算されるのは同じ病気(同一傷病)に限られ、この通算は転職しても、保険者が変わってもリセットされない

前職での受給転職後の同じ病気での残り
なし1年6ヶ月
6ヶ月1年
1年6ヶ月(使い切り)0。同じ病気では受けられない
別の病気新たに1年6ヶ月

同じ病気かどうかは、医師の診断名と保険者の判断で決まる。「適応障害」と「うつ病」のように診断名が変わった場合、関連があれば同一傷病と扱われることがある。

前歴照会。転職後1年未満の申請で入る

転職後1年未満で申請すると、保険者は前の保険者に前歴照会を行う。目的は、同じ病気で前職の保険者から支給を受けていないか(通算の確認)だ。申請書に前の保険者の情報を書く欄があり、同意の上で照会される。

心配実際
前職の受給が転職先の会社に細かく伝わる照会は保険者間の手続きで、結果が人事に開示される仕組みではない
休職自体が会社に分かる分かる。申請書に会社(事業主)の証明欄があるため、休職と申請は会社を通す
前職の病名が伝わる通算の確認に必要な範囲で保険者が把握する。会社への開示とは別

隠して申請することはできない。申請=会社を通すなので、休職の相談と申請は一体で考える。休職中の給与と社会保険の扱いは休職中の給与と手当へ。

空白期間があると、前職の期間は通算されない

退職後の継続給付に必要な「継続1年以上」は、前職と今の会社の間に1日も空白がなければ前職の加入期間と通算できる。1日でも国民健康保険や扶養に入る空白があると、前職の期間はリセットされ、今の会社の加入期間だけで数える。

転職後1年未満で退職も視野にある人は、この点が重い。在職中は受けられるが、退職すると継続給付の条件を満たさない。退職の判断は、在職中に受け切る期間と、退職後の生活費を見比べてからにする。金額の目安は傷病手当金はいくらもらえるかへ。

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よくある質問

転職後1年未満で休職したら、会社に何か言われますか?

試用期間中の休職は、就業規則で休職制度の対象外にしている会社がある。その場合、休職ではなく欠勤扱いになり、長引けば退職を求められることがある。傷病手当金は欠勤でも受けられるが、在籍の扱いは就業規則で決まる。先に就業規則の休職の条を読む。

前職で傷病手当金を受けたことを、面接で言う必要はありますか?

ない。病歴の告知義務はなく、聞かれない限り言わなくていい。ただし聞かれた時に嘘をつくと、後で分かった場合に問題になる。答え方は適応障害と転職に書いた。

傷病手当金と失業保険は、同時にもらえますか?

もらえない。傷病手当金は働けない人、失業保険は働ける人への給付で、両立しない。退職後に傷病手当金を受ける間は失業保険の受給期間を延長しておき、回復してから失業保険に切り替える。

出典(一次資料)

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」(支給要件・待期・支給期間の通算化)
  • 全国健康保険協会「資格喪失後の継続給付」(退職後に受ける条件)
  • 厚生労働省「傷病手当金の支給期間の通算化について」(2022年1月施行)

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