求人票に「客先常駐」とあって、手が止まったはずだ。ネットで調べると「やめとけ」が並ぶ。でもその理由まで書いてある記事は少ない。
結論を先に言う。常駐という形が悪いのでなく、条件の悪い会社が混ざっている。切り分けないと、まともな求人まで捨てることになる。
先に一文で。客先常駐とは自社に雇われたまま客先で働く形態で、給与が上がりにくい・現場で経験が偏るという難点は会社の運用次第であり、案件を選べるか・単価と評価の話が通じるかで見極めるのが現実的だ。
この記事の要点
- 雇用は自社、勤務は客先。指揮命令は自社経由が原則
- 「やめとけ」の中身は単価不透明・現場ガチャ・評価者不在の3つ
- 経験が積める常駐もある。見分けるのは会社の運用
- 抜けたいなら、現場での実績を言語化してから動く
言葉の整理
- 客先常駐|自社に雇われたまま、客先のオフィスで働く。給与は自社から出る
- 派遣|派遣先から直接指示を受けられる。派遣法のもとで期間や待遇のルールがある
- 請負|成果物を完成させる責任を負う。働く場所は問われない
- 準委任(SESの多く)|業務の遂行に対して報酬が出る。完成責任は負わない
現場で問題になりやすいのが、準委任なのに客先の社員から直接細かい指示が飛ぶ状態だ。これは偽装請負として指摘されうる。入る前に確認できないことも多いが、「誰の指示で動くのか」を面談で聞いておく価値はある。
「やめとけ」の中身は3つだ
1、単価と給与の差が見えない
客先が払う単価から、自社の取り分を引いた残りが給与になる。この割合を開示する会社と、しない会社がある。聞いて答えない会社は、それが答えだと思っていい。
2、現場ガチャ
配属先で身につくものが決まる。要件を詰める工程まで入れる現場と、テストだけ数年という現場では、3年後の市場価値がまるで違う。
3、評価者が現場を見ていない
自社の上長は現場にいない。だから自己申告で実績を出せる人だけが評価される。逆に言えば、報告の習慣がある人は常駐でも普通に上がる。
経験が積める常駐の見分け方
面談で確認できることに絞る。
- 案件を選べるか|「希望を出せる」でなく「断れるか」を聞く
- 現在の社員がどの工程にいるか|テスト中心か、要件定義や開発に入れているか
- 単価の話が通じるか|「単価はどう決まりますか」に答えられる会社は運用が整っている
- 1人常駐か、チーム常駐か|1人配属は孤立しやすく、質問できる相手がいない
- 平均の在籍年数|短ければ理由がある
未経験からIT職を目指す場合、入口が常駐しかないことは実際にある。その現実と選び方は未経験から自社開発へ移る難しさの記事で書いた。
抜けたい時にやること
常駐から自社開発や事業会社へ移りたいなら、順番がある。
- 現場の実績を自分の言葉にする|「◯◯システムの結合テスト」でなく「△△の不具合を◯件検出、再発防止の手順を作成」
- 使った技術を具体名で書く|言語・フレームワーク・規模・チーム人数
- 在籍中に動く|辞めてからだと、経験の説明が薄くなる
派遣から正社員を目指す時の考え方は派遣から正社員になれた人の記事と共通する部分が多い。形態でなく、やったことで見られるという点は同じだ。
よくある誤解
「客先常駐=スキルが身につかない」。現場による。大手の開発現場に入れれば、自社開発の中小より濃い経験になることもある。
「常駐は正社員でない」。雇用は自社の正社員だ。雇用契約と勤務場所を混同しないほうがいい。
現場で消耗している場合
制度の話とは別に、席や情報やイベントの扱いで削られている人は多い。その感覚の正体と、抜けるまでにやることは客先常駐が惨めに感じる時の記事で書いた。
よくある質問
客先常駐の会社を1年で辞めるのは早すぎますか?
現場が明らかに合わない(工程が固定、質問できる相手がいない、指示系統が不透明)なら、早い判断が正解になることもある。ただし職務経歴書に書ける実績を1つ作ってから動くほうが、次の説明が楽になる。
面接で常駐の経験をどう説明すればいいですか?
会社名でなく、工程・規模・自分の担当範囲で語る。客先の社名は守秘で出せないことが多いので、「金融系の基幹システム、約30名の開発チームで、結合テストと不具合分析を担当」のような書き方が通る。
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