退職を決めた。だが今住んでいるのは会社の社宅だ。いつまでに出なければいけないのか。退去費用は誰が払うのか。入社1年で辞めるので、違約金を請求されないか。
先に言う。猶予は1ヶ月が目安で、即日退去は求められない。費用と違約金は社宅規程と契約で決まるが、線はある。期限、費用、違約金、住所変更に伴う手続きを書く。
先に一文で。退職時の社宅の退去期限は社宅規程で決まり退職日から1ヶ月程度の猶予が一般的で即日退去の強制は難しく、原状回復費用は故意・過失の分だけ本人負担で、借り上げ社宅の短期解約違約金は規程と契約に定めがある場合だけ請求され得るので、規程と契約書を先に読んで人事と退去日を合意するのが正解だ。
この記事の要点
- 退去期限は社宅規程。1ヶ月の猶予が一般的で、即日退去の強制は難しい
- 原状回復は、故意・過失による傷や汚れだけ本人負担。通常の損耗は会社
- 借り上げ社宅の短期解約違約金は、規程と契約に定めがある時だけ
- 住所が変わるなら、失業保険のハローワークと住民税の手続きも動く
退去の期限。規程と、実務の線
| 規程の書き方 | 実務 |
|---|---|
| 退職日から◯日以内に退去 | 30日が多い。1〜2週間の規程もあるが、転居の準備を考えると短い |
| 退職日当日に退去 | 規程にあっても、即日退去を強制するのは実務上も法的にも難しい。人事に猶予を相談する |
| 定めなし | 会社と相談して退去日を決める。1ヶ月を目安に提案する |
社労士や転職エージェントの解説も揃っているが、猶予は1ヶ月程度が一般的だ。退職を伝える時に、退去日もセットで合意する。「◯月◯日に退職、社宅は◯月◯日までに退去します」と書面で残す。
猶予の間の家賃は、社員の負担額(相場より安い)から、相場の賃料か会社の実費に変わる規程がある。1ヶ月分の差額がいくらかを、退去日を決める前に聞く。
退去費用。負担の線
| 費用 | 負担 |
|---|---|
| 通常の損耗(日焼け・家具の跡・経年の汚れ) | 会社(または貸主)。本人には請求できない |
| 故意・過失による傷や汚れ(たばこのヤニ、壁の穴、ペット、水漏れの放置) | 本人 |
| ハウスクリーニング | 規程と契約次第。借り上げ社宅なら会社負担が多い |
| 鍵の交換 | 原則、貸主か会社 |
| 残した私物の処分 | 本人。退去日までに全部出す |
通常の損耗と故意・過失の線は、一般の賃貸と同じ考え方(国土交通省の原状回復のガイドライン)が目安になる。入居時の写真があれば、争いにくい。なければ、退去の立ち会いで傷の経緯を説明し、負担の根拠を文面で求める。
借り上げ社宅の短期解約違約金
会社が賃貸を借りて社員に貸す借り上げ社宅では、賃貸契約に短期解約違約金(1年未満の解約で賃料1〜2ヶ月分が相場)がついていることがある。入社1年未満で辞めると、会社がこの違約金を払うことになり、規程で本人に負担させる会社がある。
| 確認 | 見るところ |
|---|---|
| 違約金の有無 | 賃貸契約書の解約条項(会社が持っている。見せてもらう) |
| 本人負担の定め | 社宅規程の「退職時の費用負担」の条 |
| 金額の上限 | 契約の違約金の額。それを超える請求は根拠がない |
規程に本人負担の定めがなければ、払う根拠はない。定めがあっても、違約金の実費を超える額は請求できない。給与からの一方的な天引きはできないので、請求は別に来る。納得できなければ、根拠の書面を求める。
退去に合わせて動く手続き
社宅を出て住所が変わると、退職後の手続きの窓口が変わる。
- 失業保険。受給資格の手続きは住所地のハローワーク。引っ越し先で手続きするか、引っ越し前に今のハローワークで受給資格を決定してから住所変更で移す。認定日の扱いは認定日に行けない時へ
- 住民税。1月1日時点の住所の市区町村に払う。年の途中で引っ越しても、その年度の納付先は変わらない
- 国保・国民年金。引っ越し先の市区町村で、転入の手続きと同時に加入する
- 郵便の転送。離職票・源泉徴収票など、前の会社からの書類が旧住所に届かないように転送届を出す
退職後の手続きの全体は退職後の手続きガイドに書いた。社宅を出て自分で賃貸を借りる場合の費用は転職の引っ越し費用、社宅と家賃補助の税の違いは社宅と家賃補助の課税の違いへ。
次の住まいが決まらない時
退職後は収入が途切れ、賃貸の審査が通りにくい。対処は3つ。
- 在職中に次の賃貸を契約する。退職前の収入証明で審査を通す
- 転職先が決まっているなら、内定通知で審査を通す。受け入れる不動産会社は多い
- 猶予の延長を会社に頼む。1ヶ月でなく2ヶ月にしてもらえることはある。家賃は実費負担になる
3分で診断:辞めるコスト診断——社宅を出た後の家賃と引っ越し費用を含めて、辞めるコストを先に数字にする。
よくある質問
退職を伝えたら、社宅を2週間で出るよう言われました
規程に2週間の定めがあっても、転居の準備に現実的でない期間なら、猶予の延長を人事に相談する。即日や極端に短い退去の強制は、実務上も法的にも通りにくい。家賃の実費負担を条件に、1ヶ月の猶予を提案する。
社宅の家賃が給与から引かれています。退職月はどうなりますか?
退職月の家賃は、最後の給与から日割りか月額で引かれることが多い。猶予期間の家賃は、別に請求されるか退職金から引かれる。規程の「退職時の家賃」の条で確認する。
退職代行を使って辞めます。社宅の退去はどうなりますか?
代行業者を通じて退去日と鍵の返却方法を会社と調整する。私物の搬出は自分でやる必要があるので、代行に依頼する前に搬出の日程を決めておく。
社宅退去のチェックリストをLINEで無料配布中
規程で確認する項目(期限・家賃・費用負担・違約金)、退去日の合意の文面、住所変更に伴う手続きの一覧を公式LINEで無料配布している。猶予は1ヶ月が目安だ。規程を読んで、書面で合意してほしい。


