転職先の求人に「住宅手当3万円」とある。今の会社は社宅で、家賃の半分を会社が持っている。どちらが得なのか、年収の額面ではどう比べればいいのかが分からない。

同じ3万でも、手取りは違う。家賃補助3万は課税、社宅の3万は非課税。同じ3万で手取りが年10万違う。税と保険料の扱いと、家賃8万の例と、社宅の注意と、転職での比べ方を書く。

先に一文で。家賃補助・住宅手当は全額が税と社会保険料の対象で月3万の手取りは約2.3万、借上げ社宅は賃料相当額の50%以上を本人が払えば会社負担分が非課税で保険料の対象にもならず、家賃8万の例で年20〜30万の差になり、社宅は標準報酬が下がる・退職で出る・物件が限られる点があり、転職では住宅手当を引いて手取りで比べる。

この記事の要点

  • 住宅手当|給与扱い。税15%+保険料15%で月3万→手取り約2.3万
  • 社宅|賃料相当額の50%以上を本人負担なら会社負担分は非課税・保険料対象外
  • 家賃8万の例|手当3万は年約28万の手取り増、社宅5万負担は年60万。差は年30万前後
  • 社宅の注意|標準報酬が下がる(年金・給付の基礎)、退職で出る、物件が限られる

税と保険料の扱いの違い

家賃補助・住宅手当借上げ社宅(会社が借りて貸す)
現金で給与に上乗せ会社が家賃を払い、本人負担分を給与から天引き
所得税・住民税全額課税賃料相当額の50%以上を本人が払えば会社負担分は非課税
社会保険料対象会社負担分は対象外
標準報酬月額上がる下がる
年収の額面入る会社負担分は入らない

賃料相当額は、物件の固定資産税の課税標準額から計算する額で、実際の家賃の10〜20%程度になることが多い。家賃8万の物件なら賃料相当額は1〜2万で、本人が月1万以上払えば非課税の条件を満たす。会社の規定で家賃の3〜5割を本人負担にしていれば、余裕で満たす。住宅手当の基本は住宅手当とは何かの記事で書いた。

家賃8万円の例

住宅手当3万社宅(会社負担5万・本人負担3万)
会社が出す額月3万月5万
課税・保険料3万×約30%=約0.7万が消える0
本人の手取り増(家賃を払った後の実質)月約2.3万月5万
年間約28万60万
年約32万

会社の負担が同じ3万で比べても、住宅手当は手取り2.3万、社宅は3万で、年約8万の差になる。年収別の税率は年収別の手取り早見表の記事で書いた。

社宅の注意点

  1. 標準報酬月額が下がる。社会保険料は安くなるが、将来の厚生年金と、傷病手当金・出産手当金・育休給付の基礎が下がる(育休の手当はいくらもらえるかの記事
  2. 退職・転勤で出る。退職後に住み続けるには名義の切り替えと敷金・礼金が要る。退職の時期と引っ越しが重なる(退職後の手続き完全ガイド
  3. 物件の選択が規定に縛られる。上限家賃・エリア・間取り

独立を考えている人は、社宅に住んでいる間に賃貸を自分名義で契約しておくと、退職後の審査で困らない(フリーランスは賃貸の審査に通らないのかの記事)。

転職で住宅手当がなくなる時の比べ方

A社B社
年収(額面)500万520万
住宅手当月3万(年36万)なし
住宅手当を引いた額464万520万
B社が56万高い

住宅手当は年収に入るが、基本給でないので賞与(基本給×月数)と残業代の単価の基礎に入らない会社が多い。基本給が同じなら、住宅手当の有無は賞与に影響しない。社宅制度がある会社は年収が低く見えても手取りで逆転することがあるので、家賃・本人負担・会社負担の3つを聞いて手取りで並べる(年収交渉はいくらまで言えるかの記事)。通勤手当の扱いは通勤手当は課税されるのかの記事で書いた。

求人票の読み方

  • 「住宅手当あり」|額と条件(世帯主のみ・賃貸のみ・勤続年数・距離)を聞く。上限や打ち切りの年齢がある会社が多い
  • 「社宅制度あり」|借上げか社有か、本人負担の割合、上限家賃、対象者(独身・転勤者のみなど)、退職時の扱いを聞く
  • 「家賃補助」と「住宅手当」は同じ課税扱い。「社宅」だけが非課税になり得る

私は4社目で年収を下げて大阪の会社に入り、その後沖縄に移住した。年収の額面より、手当と制度を含めた手取りで会社を比べる癖は、この時に付いた。額面の20万の差は、住宅の制度ひとつで逆転する。

よくある誤解

「住宅手当も社宅も同じ福利厚生」。税と保険料の扱いが違う。住宅手当は課税、社宅は条件を満たせば非課税。

「社宅は額面が下がるから損」。額面は下がるが手取りは増える。下がるのは将来の年金と給付の基礎で、その差は社会保険料の減り分より小さいことが多い。

よくある質問

持ち家の住宅ローン補助は課税されますか?

課税される。会社がローンの一部を負担する形は給与扱いで、社会保険料の対象にもなる。

社宅の本人負担が賃料相当額の50%未満だとどうなりますか?

賃料相当額と本人負担の差額が給与として課税される。会社の規定で本人負担を決める時に、この線を満たしているかを人事に確認する。

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