求人票の月給は悪くない。だが内訳を見ると、基本給が低く、手当が多い。同じ額面なら同じではないのか。何が違うのか。違法ではないのか。

先に言う。額面が同じでも、基本給が低いと4つで損をする。賞与、退職金、残業代の単価、昇給。損の中身、変わらないもの、違法になる線、求人票での見抜き方を書く。

先に一文で。基本給が低く手当が多い給与体系は、賞与・退職金・昇給が基本給を基礎に決まり残業代の単価も家族・通勤・住宅手当を除いて計算されるので額面が同じでも損をし、それ自体は違法でないが最低賃金割れと固定残業代の内訳の曖昧さは違法なので、求人票で基本給の額と割合を確認し7割を切るなら面接で内訳を聞くのが正解だ。

この記事の要点

  • 損は4つ。賞与、退職金、残業代の単価、昇給。どれも基本給を基礎にする
  • 変わらないのは、社会保険料と手取り(額面が同じなら)
  • 違法は、最低賃金割れ・固定残業代の内訳なし・手当を残業代の代わりにする
  • 求人票で基本給の額を見る。7割を切るなら面接で聞く

損をする4つ

項目基本給が低いとどうなるか理由
賞与減る基本給×◯ヶ月で計算する会社が多い
退職金減る基本給×勤続年数の係数で計算する会社が多い
残業代の単価下がる家族手当・通勤手当・住宅手当・別居手当などは残業代の基礎から除外される
昇給小さい基本給に対する率で決まることが多い

給与計算の解説サイトが揃って書くのは、賞与と退職金は基本給を基礎にする会社が多く、基本給が低いとそこで差がつくことだ。額面30万円で基本給20万円の会社と、基本給28万円の会社では、賞与が年で数十万円違うことがある。基本給の中身は基本給とはに書いた。

残業代の基礎に入る手当、入らない手当

残業代の基礎に入る入らない(法律で除外)
基本給家族手当・扶養手当
役職手当・職務手当・資格手当通勤手当
地域手当住宅手当(家賃に応じて支給するもの)
皆勤手当別居手当・子女教育手当
臨時の手当、1ヶ月を超える期間の手当(賞与)

除外されるのは、個人の事情で決まる手当だ。役職手当や職務手当は残業代の基礎に入るので、そこに寄せた会社なら残業代の単価は下がらない。求人票で手当の種類を見る理由はここにある。

変わらないもの

項目基本給が低くても
社会保険料変わらない。手当込みの総額(標準報酬月額)で決まる
所得税・住民税変わらない。総額で決まる
手取り額面が同じなら、ほぼ同じ
将来の厚生年金変わらない。総額で決まる

月々の手取りだけ見ると差がない。差が出るのは賞与・退職金・残業・昇給の4つで、年単位、勤続単位で開く。

違法になる線

状態違法性
基本給が低く、手当が多い適法。内訳は会社が決められる
基本給が最低賃金を下回る違法(最低賃金の計算では、精皆勤・通勤・家族手当と残業代・賞与を除く)
固定残業代の時間数と金額が明示されていない違法の可能性が高い。固定残業代として認められない
固定残業の時間を超えた分を払わない違法
「◯◯手当」を残業代の代わりとして、割増を払わない違法(手当の名目では残業代にならない)

固定残業代の仕組みと限度はみなし残業とは、45時間の線はみなし残業45時間はやばいのかへ。

求人票で見抜く方法

求人票の記載読み方
月給30万円(基本給25万円+諸手当)基本給8割超。問題ない
月給30万円(基本給18万円+営業手当・固定残業代)基本給6割。賞与と退職金で損。固定残業代の時間数を確認
月給30万円(各種手当含む)基本給の額がない。面接で聞く
年収450万円(賞与含む)月給と賞与の内訳がない。賞与の計算基礎を聞く

基本給が月給の7割を切る会社は、賞与・退職金・残業代で損をする可能性が高い。求人票の給与欄の読み方の全体は求人票の給与欄の読み方、危険なサインは求人票でブラック企業を見分けるに書いた。

面接で聞く言い方

給与の内訳について確認させてください。基本給と手当の内訳、賞与の計算の基礎(基本給の何ヶ月分か)、固定残業代が含まれる場合はその時間数と金額を教えていただけますか。

3つを1回で聞く。答えが具体的に返る会社は、内訳を隠していない。

3分で診断年収計算ツール——額面と基本給の割合から、賞与と残業を含めた年収の差を先に数字にする。

通勤手当の上限と相場は通勤手当の上限と相場。超えた分は自腹かだ。

家族手当がなくなる流れは家族手当の廃止が進む理由と対応だ。

よくある質問

今の会社が基本給を下げて手当を増やすと言ってきました

総額が同じでも、賞与・退職金・残業代で不利になる変更で、労働条件の不利益変更にあたる。本人の同意が要る。同意する前に、賞与と退職金の計算基礎がどう変わるかを書面で確認する。

基本給が低くても、賞与が固定額なら問題ないですか?

賞与が固定額(基本給に連動しない)なら、賞与の損はない。退職金と残業代の単価と昇給は残る。退職金がない会社なら、残業代の単価と昇給だけを見る。

手当が多い会社は、全部避けるべきですか?

違う。役職手当・職務手当は残業代の基礎に入り、賞与を総額で計算する会社もある。避けるのは、基本給が7割を切り、賞与と退職金が基本給連動で、固定残業代の内訳が曖昧な会社だ。

出典(一次資料)

  • 労働基準法第37条・労働基準法施行規則第21条(割増賃金の基礎から除外する手当)
  • 最低賃金法第4条・最低賃金法施行規則第1条(最低賃金の計算から除外する賃金)

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