営業の転職先を調べていると、SaaSという言葉がやたら出てくる。年収も高そうだ。でも実際のところ、何がそんなにいいのか、自分に向いているのかが分からない。

整理して渡す。SaaS営業の年収が高いのは、個人の能力の問題ではなく事業の仕組みの問題だ。そして向き不向きが、かなりはっきり分かれる仕事でもある。仕組みから書く。

この記事の要点

  • 年収が高い理由は、利益率の高い商品×毎月積み上がる課金という事業の仕組みだ
  • 仕事は分業制。SDR・フィールドセールス・カスタマーサクセスで中身が違う
  • 型を高速で回せる人に向き、一匹狼型の営業観の人には向かない
  • 経験者はハイクラス特化、異業界からはスカウト型で入口を作る

年収が高い理由。あなたの腕ではなく、事業の儲かり方

まず、SaaS営業の年収の正体から。

SaaSは、ソフトウェアを月額・年額で貸す商売だ。この事業には2つの特徴がある。商品の原価が極めて低いこと。そして一度売れたら、翌月も翌年も売上が積み上がることだ。

営業の給料の原資は、営業が生む粗利になる。原価が低く、売上が積み上がる事業は、この原資が太い。だから同じ営業力でも、メーカーの単発販売や薄利の商材を売るより、SaaSを売る方が高い給料が出る。営業で年収700万を狙う記事で書いた通り、営業の年収は商材の粗利で決まるという原則の、一番分かりやすい実例がSaaSだ。

これは軸ずらし転職の考え方そのものでもある。営業という職種を持ったまま、業界だけを儲かる側にずらす。経験の半分を持ち越せるから、未経験扱いにならずに年収の水準だけ変わる。

仕事の中身。分業を知らずに受けると失敗する

SaaS営業を受ける前に、絶対に知っておくべきことがある。分業制だ。多くのSaaS企業は、営業プロセスを役割で切り分けている。

  • インサイドセールス(SDR等)。電話・メールで見込み客と会話し、商談の約束を作るところまで。異業界からの入口になりやすい
  • フィールドセールス。作られた商談で提案し、契約を決める役。いわゆる「営業のクロージング」はここ
  • カスタマーサクセス。契約後の顧客の活用を支援し、解約を防ぎ、追加契約を作る役。売って終わりの営業観と一番遠い仕事だ

求人票の「セールス」がどの役割かで、日々の仕事はまるで違う。商談がしたいのにインサイドセールスに入って毎日電話だけ、という入り口のミスマッチが、この業界の退職理由の定番になっている。面接では、役割の範囲・次の役割への昇格の基準・1日の行動量の目安を必ず確認してほしい。

向き不向き。型の管理を合理と取るか窮屈と取るか

SaaS営業は、向き不向きがはっきりしている。

向いている人。行動量・商談数・受注率が数字で管理されることを合理的だと感じる人。決まった型(トークの台本・提案の流れ)を高速で回して、数字を見て改善するのが得意な人。学ぶことが苦にならない人(商材のアップデートが速い)。

向いていない人。気合と関係性と足で稼ぐ営業観を変えたくない人。数字での行動管理を監視と感じる人。自分の裁量で自由にやりたい一匹狼型の人。

今の営業がきつくて逃げたい気持ちが先行している人は、一度立ち止まってほしい。営業ノルマがきつい人への記事で書いた通り、きつさの原因が自分か商材か組織かの仕分けが先だ。SaaSに移っても数字の管理はむしろ厳しくなる。商材と組織を変えたいのか、数字の世界から出たいのかで、行き先はまるで違う。

入り方。経験の有無で経路が分かれる

SaaS・IT業界の経験が既にある人。この業界の転職市場は動きが速く、企業ごとの中身(商材の強さ・組織の消耗度・昇給の実際)の情報格差が大きい。業界に強いハイクラス特化の窓口で、内情込みの情報を取りながら動くのが効率的だ。

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異業界の営業から入る人。まず自分の営業経歴がSaaS市場でどう見られるかを、スカウトで測るのが早い。無形商材・法人営業・新規開拓の経験は、業界が違っても評価されやすい。

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どちらの経路でも、受ける前に企業の口コミでインサイドセールスの離職率と昇格の実際を裏取りすることだ。SaaSは会社間の格差が大きい業界で、業界を選んだ後の会社選びで、入社後の景色が決まる。

あわせて検索される疑問に、先に答えておく

SaaS営業はきついと聞くが実際どうなのか

きつさの種類が従来型営業と違う、が正確な答えになる。接待や足で稼ぐ消耗は少ない代わりに、行動量と数字の進捗が細かく可視化される緊張感がある。またSaaS業界全体が成長と効率を強く求める文化で、のんびりした職場を期待して入ると確実に消耗する。数字で詰める文化かどうかは会社によるから、面接での逆質問と口コミで確認してほしい。

30代・40代からでも入れるか

30代は現実的だ。マネジメント経験や業界知識(例えば製造業向けSaaSなら製造業の営業経験)が、そのまま武器になる。40代は、プレイヤー枠の未経験入社は狭くなるが、営業組織の立ち上げ・マネージャー枠なら経験次第で入口がある。年齢より、これまでの営業経験とSaaSの顧客層が重なるかで決まる。

カスタマーサクセスから入るのはありか

ありだ。売り込みより支援が好きな営業経験者には、むしろ本命の入口になる。契約を取る力より、顧客の業務を理解して使い続けてもらう力が問われる。営業のきつさから離れたいが、営業で培った対人スキルは活かしたい人の受け皿として、覚えておいて損はない職種だわ。

よくある質問

SaaS営業は未経験でも転職できますか?

営業経験があれば業界未経験でも狙える。インサイドセールスが異業界からの入口になっている。営業自体が未経験なら、まず1〜2年の実績が先だ。

SaaS営業はなぜ年収が高いのですか?

利益率の高い商品×積み上がる課金という事業の仕組みで、営業に払える原資が太いからだ。年収は腕より仕組みで決まる。

SaaS営業に向いていないのはどんな人ですか?

気合と足の営業観を変えたくない人だ。数字と型の管理を合理と取れる人に向き、窮屈と取る人には向かない。

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