退職日は12月末、最終出社は11月末で、12月は丸ごと有給消化。ここで気づく。ボーナスの支給日は12月10日。消化中の自分は、もらえるのか。
先に答えを言う。もらえる。有給消化中も在籍は続いているから、支給日在籍の要件は満たしている。ただし満額かどうかは規程次第で、退職予定者への減額という論点が別にある。確認の順番ごと書く。
この記事の要点
- 有給消化中は在籍中。支給日在籍要件は消化中でも満たされる
- 確認する規程は2つ。支給日在籍の条文と、査定・減額の条文
- 退職予定者への減額は、程度によって有効にも不当にもなりうる
- これから日程を組む人は、支給日を退職日の内側に入れる形で組む
大前提。消化中は「在籍」に含まれる
賞与でよくある規程が支給日在籍要件、つまり「支給日に在籍している者に支給する」という条文だ。ここで消化中の扱いを心配する人が多いが、答えは明快で、有給消化中も雇用契約は継続しているので、在籍に含まれる。
最終出社日がいつかは関係ない。11月末に最後の出社をして、12月10日の支給日を有給消化中に迎えても、12月末の退職日まであなたは社員だ。支給日在籍の要件は満たしている。この理屈は賞与の支給日在籍要件の仕組みで書いた通りで、消化中かどうかで変わらない。
だから会社が「消化中だから対象外」と言ってきたら、それは規程の読み違いか、意図的なごまかしのどちらかだ。規程の条文を見せてもらえば、たいてい話は終わる。
満額かどうかは、別の話。査定の論点
もらえるかどうかと、いくらもらえるかは別の問題だ。賞与は法律上の支給義務がある賃金ではなく、金額は会社の査定に委ねられている部分が大きい。
確認すべきは評価期間だ。多くの会社の冬賞与は、上期(4月〜9月など)の勤務実績を評価して支給する。評価期間を普通に勤務していたなら、査定の土台は既に完成している。支給日直前の有給消化は、評価期間の外の話であり、査定を下げる理由として筋が通らない。
一方、評価期間の一部が消化や欠勤と重なっている場合、その分の按分減額は規程次第でありうる。ここは感情でなく、規程の計算式で判定する話になる。
退職予定者への減額。どこまでが有効か
一番揉めるのがここだ。「辞める人間に満額は出せない」という減額は、法的にはグレーゾーンの中に段階がある。
- 一定の減額は、賞与に「将来への期待」の性質を認める立場から、有効とされた裁判例がある
- 極端な減額・不支給は、評価期間の労働の対価という性質を無視するもので、争う余地が出てくる
実務の動き方はこうだ。減額されたら、規程の根拠条文と減額理由を書面で求める。根拠なく気分で減らしている会社は、書面を求められた段階で修正することがある。根拠があっても程度が著しく不合理なら、労働基準監督署や弁護士への相談材料になる。最後の給料まわりの控除の確認と同じ発想で、最後の給料が少ない時の明細の見方とセットで点検するといい。
なお、退職の意思表示を支給日の後にずらすのは、この問題の一番シンプルな予防策だ。査定にも心理にも影響させない。支給後に切り出す段取りはボーナスをもらってから辞める段取り、支給後いつ言うかの間合いは支給後の切り出しタイミングが担当になる。
これから日程を組む人へ。組み立ての順番
まだ退職日を決めていないなら、順番はこうだ。
- 賞与の支給日と評価期間を規程で確認する
- 退職日を支給日の後に置く。支給日を退職日の内側に入れれば、在籍要件は自動で満たされる
- 最終出社日と消化期間を逆算する。計算は退職日からの有給逆算でやれる
- 切り出しは支給後、消化は退職日とセットで出す。言い方は有給を使い切る言い方の型がそのまま使える
支給日・退職日・消化期間の3つを1枚のカレンダーに置いてから切り出すと、ボーナスと有給の両方を取りこぼさない。
よくある誤解
「消化中にもらうのは、もらい逃げでずるい」。評価期間に働いた対価を、規程の要件を満たして受け取るだけだ。ずるさの要素はどこにもない。同じ期間働いた人が、退職するかどうかで対価が変わる方が筋の通らない話になる。
「賞与をもらった直後に辞めると、返還を求められる」。支給済みの賞与の返還請求は、明確な規程がある場合を除きまず通らない。「返せ」は感情の言葉であって、法的な請求権ではないことが大半だ。
よくある質問
支給日の3日前が退職日です。数日の差でも本当にもらえませんか?
支給日在籍要件がある会社では、残念ながらもらえない可能性が高い。この要件は裁判でも有効とされてきた。数日の差なら、退職日を支給日の後ろへずらす交渉の方が現実的だ。退職日の変更は会社との合意でできるので、「退職日を◯日に変更させてください」と申し出る価値はある。
有給消化中の給料と、ボーナスは両方もらえるのですか?
両方もらえる。消化中の有給は通常の賃金として支払われ、賞与はそれと別の支給だ。片方をもらうともう片方が減る関係にはない。
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賞与・退職日・有給の3点カレンダーのテンプレを公式LINEで無料配布している。もらえるものを全部もらってから出る。それは強欲ではなく、段取りだ。


