2026年5月の給与明細を見たら、健康保険料が少し増えていた。あるいは、明細の控除欄に「子ども・子育て支援金」という見慣れない項目が増えていた。独身なのに、なぜ払うのか。いくらなのか。
始まったのは4月分からだ。2026年5月の給与から、健康保険料に0.23%が乗った。額と、上がり方と、独身でも払う理由を、こども家庭庁の資料どおりに書く。
先に一文で。子ども・子育て支援金は医療保険の仕組みで全世代から集めるもので、会社員は標準報酬月額×0.23%(令和8年度)の半分を本人が負担し、年収400万で月384円・600万で575円、賞与からも引かれ、令和10年度には年収400万で650円前後まで上がる見込みで、独身でも子どもがいなくても払う。
この記事の要点
- 2026年4月分(5月の給与)から天引き開始
- 率は全国一律0.23%(令和8年度)。労使折半なので本人はその半分
- 本人の月額|年収200万 192円/400万 384円/600万 575円/800万 767円/1,000万 959円
- 賞与からも引かれる。健康保険料と一体で徴収される
- 令和9年度・10年度と段階的に上がる(平均 250円 → 350円 → 450円)
- 独身でも、子どもがいなくても払う
いくら引かれるか(会社員・令和8年度)
| 年収(給料+賞与) | 本人の月額 |
|---|---|
| 200万円 | 192円 |
| 400万円 | 384円 |
| 600万円 | 575円 |
| 800万円 | 767円 |
| 1,000万円 | 959円 |
こども家庭庁の試算。計算は年収×0.23%を12で割り、その半分。残りの半分は会社が負担する。天引きが始まったのは令和8年4月分の保険料=5月に払われる給与からだ。
明細のどこに出るか
支援金は健康保険料と一体で徴収される。だから明細の「健康保険料」の額が増えて見えるか、別の行に「子ども・子育て支援金」と出るかは、会社の給与システム次第だ。
| 明細の欄 | 令和8年度の中身(協会けんぽ東京の例) |
|---|---|
| 健康保険料 | 健康保険料率 9.85% + 支援金率 0.23% = 10.08%(本人はその半分) |
| 介護保険料(40歳以上) | + 1.62%(本人はその半分。介護保険料はいくら引かれるかの記事) |
| 厚生年金保険料 | 18.3%(本人はその半分。支援金とは無関係) |
明細全体の読み方は給与明細の見方と控除の記事で書いた。協会けんぽの健康保険料率は令和8年度に多くの都道府県で下がった(東京は9.91%→9.85%)ので、支援金が乗っても明細上の健康保険料の合計は前年とほぼ同じ、という人もいる。
段階的に上がる
| 年度 | 加入者一人当たりの平均月額(本人分) |
|---|---|
| 令和8年度(2026年度) | 250円 |
| 令和9年度(2027年度) | 350円(見込み) |
| 令和10年度(2028年度) | 450円(見込み) |
令和10年度の被用者保険の年収別の参考値(こども家庭庁の機械的な試算。本人拠出0.2%で計算)は次のとおり。
| 年収 | 令和10年度の本人の月額(参考) |
|---|---|
| 200万円 | 350円 |
| 400万円 | 650円 |
| 600万円 | 1,000円 |
| 800万円 | 1,350円 |
| 1,000万円 | 1,650円 |
賃上げで総報酬が伸びれば数字は下がる、と注記されている。令和8年度の額で「大したことない」と判断せず、令和10年度の額で見ておく。
国民健康保険の人
フリーランス・自営業など国保の人は、市町村の条例で世帯や所得に応じて決まる。こども家庭庁の試算(令和8年度、夫婦と子の世帯で一方だけに給与収入)は次のとおり。
| 年収 | 世帯の月額 |
|---|---|
| 100万円 | 50円 |
| 200万円 | 400円 |
| 300万円 | 650円 |
子(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)の均等割は全額軽減されるので、子どもの数で額は変わらない。国保全体の負担と対策は国民健康保険が高い時の対策の記事で書いた。
独身でも払う
払う。支援金は、こどもや子育て世帯を社会全体で支えるという考え方で、医療保険に加入している全ての世代・全ての人から集める。独身かどうか、子どもがいるかどうかで免除されることはない。こども家庭庁のFAQに「支援金は独身税なのか」という問いが立てられているほどで、反発は織り込み済みの制度だ。
| 立場 | 支援金 |
|---|---|
| 会社員(本人) | 払う(標準報酬×0.23%の半分) |
| 会社員の被扶養者(配偶者・子) | 個別には払わない(保険料を払っていないため) |
| 国保 | 払う(条例で決定。子の均等割は全額軽減) |
| 産休・育休中(保険料免除の期間) | 免除(健康保険料と同じ扱い) |
| 後期高齢者(75歳以上) | 払う(広域連合の条例で決定) |
「実質負担ゼロ」の意味
政府は「社会保障の歳出改革等を行うことで、支援金による負担は相殺されるため、支援金導入に伴う実質的な負担は生じない」と説明している。これは社会保険料全体の伸びを抑える努力と相殺するという意味で、明細の控除額そのものがゼロになるという意味ではない。実際、令和8年度の協会けんぽの料率が下がった都道府県では、支援金が乗っても健康保険料の合計は前年並みという形になっているが、それを「負担がない」と感じるかは人による。
何に使われるか
支援金は、児童手当の拡充(高校生年代まで、第3子以降3万円、所得制限の撤廃)、出生後休業支援給付金(夫婦とも14日以上の育休で手取り10割相当)、育児時短就業給付金(時短中の賃金の10%)、こども誰でも通園制度などに充てられる。受け取る側の制度は男性の育休の取り方の記事、育児時短就業給付の記事、子ども1人の教育費はいくらかの記事で書いた。
払う側の話と、受け取る側の話は同じ制度の表と裏だ。払うだけで終わらせず、使える給付は取りにいく。
手取りへの影響
年収400万円で月384円、年約4,600円。令和10年度の見込みで月650円、年約7,800円。手取りが数千円動く話で、これ単体で生活が変わる額ではない。ただし、社会保険料は健康保険・介護・厚生年金・雇用保険の合計で年収の15%前後を占めていて、そのすべてが少しずつ上がっている(年収別の手取り早見表の記事)。
私はフリーランスで国民健康保険なので、支援金は市区町村の通知で来る。会社員の時は明細を見ずに済ませていたが、独立してからは保険料の内訳を1行ずつ見るようになった。何が、いつから、いくら増えたかを知っている人と知らない人では、制度が変わるたびの判断の速さが違う。
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よくある誤解
「子どもがいない人は払わない」。全員が払う。免除は被扶養者と、産休・育休中の保険料免除の期間だけだ。
「実質負担ゼロだから明細は増えない」。相殺は社会保険料全体の伸びの話。明細の控除欄には支援金の分が乗る。
健康保険料率の都道府県別一覧(令和8年度)
協会けんぽの令和8年度の保険料率は都道府県ごとに違い、最高は佐賀10.55%、最低は新潟9.21%、東京は9.85%。多くの県が引き下げで、引き上げはゼロ。これに全国一律の子ども・子育て支援金0.23%(40歳以上は介護1.62%も)が乗り、率は住所でなく勤務先の都道府県で決まる。47都道府県の一覧と月給30万の本人負担は健康保険料率の都道府県別一覧のデータ記事で書いた。
よくある質問
税金ですか、社会保険料ですか?
社会保険(医療保険)の仕組みで集める。だから健康保険料と一体で徴収され、社会保険料控除として所得から引かれる(年末調整で自動的に反映される)。
ボーナスからも引かれますか?
引かれる。年収(標準報酬総額)は毎月の給料と賞与の合計で、賞与にも同じ率がかかる。
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