自宅で仕事をしている。家賃や電気代を経費にできると聞いたが、何割にすればいいのか分からない。多く取れば税金は減るが、後で否認されるのが怖い。
数字より根拠だ。何%かより、なぜその%かを説明できるかだ。支出ごとの割り方と、残す記録を書く。
先に一文で。家事按分は生活と事業の両方に使う支出のうち事業分だけを経費にすることで、家賃は床面積、電気は面積か稼働時間、通信は使用実態、車は走行距離で割り、割合の数字より根拠(間取り図・稼働時間の記録・走行距離の記録)を残して一貫した方法を使うことが要る。
この記事の要点
- 決まった率はない。支出ごとに割り方を変える
- 家賃=床面積/電気=面積か稼働時間/通信=使用実態/車=走行距離
- 大事なのは根拠の記録(間取り図・稼働時間・走行距離・計算式のメモ)
- 毎年同じ方法を使う(去年は面積、今年は時間、は説明しにくい)
- 事業専用のものは按分せず全額経費
支出ごとの割り方
| 支出 | 割り方 | 例 |
|---|---|---|
| 家賃 | 仕事に使う床面積 ÷ 住居全体の床面積 | 40平米のうち10平米=25% |
| 電気代 | 面積 または 稼働時間(1日の時間÷24 × 週の日数÷7) | 1日8時間・週5日=8÷24×5÷7=約24% |
| 通信費(回線) | 使用時間か使用実態の割合 | 30〜50%が説明しやすい範囲 |
| 通信費(スマホ) | 仕事の通話・通信の割合 | |
| 車 | 走行距離 | 年1万kmのうち業務3,000km=30% |
| 水道代 | 業務の性質上使うと言えなければ按分しにくい | 飲食業などは別 |
ワンルームで部屋を分けられない場合は、面積で割ったうえで使用時間の割合を掛けるか、最初から使用時間で割る。
車は同じ率を全部に掛ける
走行距離で30%と決めたら、次の全部に30%を掛ける。
- ガソリン代
- 自動車保険料
- 自動車税
- 駐車場代
- 減価償却費(パソコンは一括で経費にできるのかの記事)
- 車検・修理代
- 高速道路料金(業務の分は全額)
持ち家の場合
家賃がないので、代わりに次を按分する。
| 按分できる | 按分できない |
|---|---|
| 住宅ローンの利息部分 | 住宅ローンの元本の返済部分 |
| 固定資産税 | |
| 火災保険料 | |
| 建物の減価償却費 | 土地 |
住宅ローン控除を受けている場合、事業割合が50%を超えると控除に影響が出ることがあるので注意する(住宅ローン控除と転職・独立の記事)。
残す記録
| # | 記録 | 作り方 |
|---|---|---|
| 1 | 間取り図 | 住居全体の面積と仕事スペースの面積を書き込む。手書きでよい。賃貸借契約書も保管 |
| 2 | 稼働時間の記録 | 1日何時間、週何日。日報、作業ログ、請求書の稼働時間 |
| 3 | 走行距離の記録 | 日付・行き先・距離 |
| 4 | 計算式のメモ | 「家賃 面積按分 10平米÷40平米=25%」の1行でよい |
聞かれた時に、この4つを出せれば説明は終わる。
一貫性が要る
去年は面積、今年は時間、というように毎年変えると説明が難しくなる。方法を1つ決めて、その方法を続ける。事業の実態が変わった(仕事部屋を増やした、稼働時間が変わった)なら、その理由と一緒に変える。
取りすぎない
家賃を80%、電気を90%といった数字は、生活の実態と合っているかを問われる。自宅である以上、生活にも使っている。実態から離れた割合は、指摘された時に説明できない。
逆に、明らかに事業専用のものは按分せず全額を経費にできる。
| 全額経費にできるもの |
|---|
| 事業専用に引いた回線 |
| 業務用のPC・機材(減価償却の記事) |
| 事業用の口座の手数料 |
| 事業用に借りた別の場所(コワーキング、レンタルオフィス) |
口座とカードを事業用に分けておくと、按分の必要がないものが増えて、帳簿も自動になる(会計ソフトの比較の記事)。
会社員の副業でも使える
会社員の副業でも、同じ考え方で按分できる。ただし、副業が事業所得になるか雑所得になるかで使える制度が変わる。
| 事業所得 | 雑所得 | |
|---|---|---|
| 家事按分 | できる | できる |
| 青色申告65万円控除 | 使える | 使えない |
| 損益通算・赤字の3年繰越し | 使える | 使えない |
分かれ目は帳簿を付けているかどうか(副業の雑所得と事業所得の記事)。副業の確定申告が必要になる線は副業の確定申告はいくらからかの記事で書いた。
私の場合
私はフリーランス4年目で、沖縄でフルリモートで働いている。自宅の一室を仕事部屋にしていて、家賃は面積で、電気は稼働時間で按分している。この2つを別の方法で割っているのは、電気は仕事部屋以外でも使うからだ。方法が違っても、それぞれに理由があれば説明できる。割合を決めた日に、なぜその割合かを1行メモに残す。これだけで、翌年の自分が助かる。
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よくある誤解
「家賃の50%は経費にできる」。決まった率はない。面積と実態で決める。
「多く取ったほうが得」。説明できない割合は、指摘された時に修正になる。実態に合わせるのが結局早い。
よくある質問
領収書がない支出も按分できますか?
家賃も電気代も、契約書や請求書・引き落としの記録が根拠になる。現金払いのものは領収書を保管する。
按分の割合は途中で変えられますか?
事業の実態が変わったなら変えられる。その理由をメモに残しておく。
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家賃・電気・通信・車の按分の割合と根拠を、そのまま埋められる記入表を公式LINEで無料配布している。数字より、理由を残そう。

