フリーランスで妊娠が分かった。会社員なら産休も育休も手当もあるのに、自分には何もない。休めば収入がゼロになる。でも、本当に何もないのか。

3つある。産休も育休もない。だから免除と一時金を全部取りにいく。使える制度と、休む前にやる準備を書く。

先に一文で。フリーランスには産休・育休がなく出産手当金も育児休業給付も出ないが、出産育児一時金50万円、国民年金保険料の産前産後4か月免除(納付したものとして扱われるので年金が減らない)、2024年1月に始まった国民健康保険料の産前産後免除の3つが使え、いずれも届出が要る。

この記事の要点

  • 出産育児一時金 50万円(産科医療補償制度に未加入の機関での出産は48.8万円)
  • 国民年金保険料の産前産後免除|前月から4か月(多胎は6か月)。納付扱いなので年金が減らない
  • 国民健康保険料の産前産後免除2024年1月から。前月から4か月分の所得割・均等割
  • 出産手当金・育児休業給付は出ない
  • どれも届出が要る。自動では適用されない

会社員との差

制度会社員フリーランス
産前産後休業ありなし
育児休業ありなし
出産手当金標準報酬日額の3分の2なし
育児休業給付180日まで67%、以降50%なし
出産育児一時金50万円50万円(国保からも出る)
社会保険料の免除産休・育休中は健保・厚年が免除国民年金と国保が産前産後に免除

会社員の育休の中身は男性の育休の取り方の記事、給付の額は育休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。この差が、そのまま準備すべき現金の額になる

使える3つ

1. 出産育児一時金

項目内容
子ども1人につき50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関等での出産は48.8万円)
出どころ加入している健康保険。国民健康保険からも出る
受け取り方直接支払制度なら医療機関に直接支払われ、窓口では差額だけ払う
手続き国保なら市区町村へ申請

2. 国民年金保険料の産前産後期間の免除

項目内容
期間出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間
多胎出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間
年金への影響免除された期間は保険料を納付したものとして扱われる(将来の年金が減らない)
届出出産予定日の6か月前から市区町村でできる

これは強い。通常の免除(全額免除・一部免除)は将来の年金が減るが、産前産後の免除は減らない(国民年金の免除の記事)。

3. 国民健康保険料の産前産後期間の免除(2024年1月〜)

項目内容
期間出産予定月の前月から4か月分(多胎は3か月前から6か月分)
免除される額所得割額と均等割額
届出市区町村へ

2024年1月に始まった新しい制度なので、知らずに払っている人がいる。国保が高い時の対策全般は国民健康保険が高い時の対策の記事で書いた。

休む前にやる5つ

#やること目安
1休む期間と生活費を決める産前1か月+産後2〜3か月+保育園に入るまで。現金で用意する
2取引先への伝え方と時期継続案件があるなら産前2〜3か月には伝える。復帰の予定時期まで含めて
3引き継ぎか外注の手配自分でないと回らない仕事を1つでも減らす
4保育園の申し込み就労証明書は自分で書く。開業届・確定申告書の控え・契約書・請求書を揃える
5免除と一時金の届出国民年金は予定日の6か月前から。国保も市区町村へ

2は黙って消えると次がなくなる。休むことより、いつ戻るかを伝えるほうが効く。

保育園の就労証明は自治体によって点数の付き方が違い、自営業は会社員より不利に扱われることがあるので、募集要項を早めに読む(フリーランスの保育園の就労証明書の書き方の記事)。

資金計画は2年で組む

収入が落ちた年は、翌年の国民健康保険料と住民税も下がる。逆に言えば、休んだ年は前年の所得で計算された高い保険料を払うことになる。

収入その年に払う国保・住民税
出産の前年通常前々年の所得ベース
出産の年落ちる前年(通常)の所得ベース=高い
翌年戻る前年(落ちた年)の所得ベース=安い

一番苦しいのは出産の年だ。ここに免除の届出を効かせる(住民税非課税世帯の条件の記事)。独立の資金計画の考え方は独立の資金はいくら要るかの記事で書いた。

病気やけがで働けない場合との違い

国民健康保険には傷病手当金がない(自治体が独自に設ける場合を除く)。だから、出産に限らず、働けない期間の収入は自分で備える形になる(フリーランスが病気で働けない時の備えの記事フリーランスに必要な保険5種類の記事)。

私の場合

私は男性で、会社員のときに1年の育休を取った。給付があって社会保険料が免除されるという前提で1年休めたのは、会社員だったからだ。フリーランスになった今、同じことはできない。だから、収入が止まる可能性のある期間の現金を先に置くようになった。制度の差は、そのまま現金の差になる(フリーランス4年目の収支のリアルの記事)。

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よくある誤解

「フリーランスには何の制度もない」。出産育児一時金50万円と、国民年金・国保の産前産後免除がある。

「免除は自動で適用される」。届出が要る。忘れると払うことになる。

よくある質問

産前産後の免除は、扶養に入っている人も使えますか?

国民年金の第1号被保険者(自分で保険料を払っている人)が対象。第3号被保険者(会社員の配偶者の扶養)は、もともと保険料の負担がない。

出産の年に赤字になったら?

青色申告なら赤字を3年繰り越せる。翌年以降の黒字と相殺できる(青色申告と白色申告の違いの記事)。

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