家族が寝静まった夜、天井を見ながら「この歳で親のすねをかじっている」と考えて、眠れなくなる。誰にも責められていないのに、自分だけが自分を責め続ける。

私のDMにはフリーターの人からの相談が繰り返し届く。まとめるとこうだ。

「実家暮らしのフリーターです。同級生は正社員として働いていて、結婚の話も出てきています。自分だけ止まっている気がして、情けなくて仕方がありません。親にも申し訳ないです。でも何をどう始めればいいのか分からないまま、また1年が過ぎました」

届く相談の典型例として答える。まず、これだけは先に言っておく。私も同じ場所にいた。

  • 情けなさの正体は、他人との比較と、説明できない時間の蓄積だ
  • 実家暮らしは、動き出す時にはむしろ有利な条件になる
  • フリーター期間は、中身があれば経歴として説明できる
  • 1人で求人を探すのをやめると、市場の見え方が変わる

私もフリーターだった。あの時期の話をする

先に自分の話をする。私の1社目は美容業界のブラック企業だった。残業代は出ず、休日出勤が当たり前で、パワハラもあった。1年以内に辞めて、その後しばらくフリーターだった。

カフェのバイトをして、ポスティングもやった。同級生が正社員として働いている中で、自分だけが時給で働いている感覚は、正直きつかった。親には申し訳なかったし、将来の話をされるのが一番苦手だった。あの頃の「情けない」という感情は、いまでも思い出せる。

だから、あなたに「気にするな」とは言わない。あの感情は実在するし、消そうとしても消えない。ただ、あれは事実の指摘ではなく、比較から生まれた感情だということは言っておきたい。

情けなさの正体を分解する

この感情は2つの成分でできている。分けると扱いやすくなる。

1つ目。他人との比較。同級生の進度と自分の進度を並べて、遅れていると判定している。だが人生の進み方に共通の時刻表はない。20代の数年の差は、30代の数年で簡単にひっくり返る。私自身、未経験でWeb業界に入ったのは同級生より確実に遅かったが、そこからデザイナーになり、ディレクターになり、いまはフリーランス4年目だ。スタートの遅さは、致命傷ではなかった。

2つ目。説明できない時間の蓄積。こちらは感情ではなく事実の問題で、放置すると後で本当に響く部分だ。「この期間、何をしていましたか」に答えられないまま年数が増えると、選考での説明が難しくなる。

つまり、直すべきは1つ目ではなく2つ目だ。気持ちを立て直そうとするより、説明できる中身を作る方が早い。中身ができると、気持ちの方が後から付いてくる。

実家暮らしは、動き出す時に有利な条件だ

ここは誤解している人が多いので、はっきり書く。実家暮らしは、就職活動において不利な条件ではない。むしろ有利に働く場面が多い。

  • 生活費が抑えられる。焦って条件の悪い会社に決めなくて済む。ここが一番大きい
  • 学ぶ時間と金を確保できる。資格でもスキルでも、投資に回せる余力がある
  • 選考で住まいの形を問われる場面はほぼない。見られるのは経歴と、あなたが何を考えているかだ

一人暮らしで生活費に追われていると、目の前の内定に飛びつくしかなくなる。あなたにはその余裕がある。情けないと思っている条件が、実は選ぶ力を支えている。この見方の切り替えだけで、動き方が変わる。

フリーター期間を、説明できる期間に変える

私がフリーター期間中にやったことを書く。バイトをしながら、50万円払って渋谷のWebスクールに通った。HTML・CSSやPhotoshopを学んで、それを持って未経験でWeb業界に入った。

いま振り返って重要だったのは、スクールの中身そのものより、「この期間に何をしていたか」を一文で言えるようになったことだ。面接で「フリーターをしていました」ではなく「働きながらWebの勉強をして、この業界に入るために動いていました」と言えた。同じ期間でも、説明があるかないかで受け取られ方がまるで違う。

いまのあなたが今日からできることを並べる。

  • バイトの経験を業務の言葉に翻訳する。接客なら折衝と提案、シフト管理なら調整、新人教育なら指導。全部、職務経歴書に書ける
  • 学ぶものを1つ決めて、始めた日を記録する。資格でもスキルでもいい。進行中であること自体が説明になる
  • 応募を始める。準備が完璧になってからでは、また1年過ぎる

なお、学び直しに金をかけるなら、自腹の前に制度を確認してほしい。私は50万円を全額自分で払ったが、条件を満たせば費用の一部が国から戻る仕組みがある。詳細は教育訓練給付金を正しく使い倒せにまとめた。同じ扉が、安く開くこともある。

1人で求人を探すのをやめると、市場の見え方が変わる

最後が一番実務的な話だ。フリーターから正社員を目指す人が落ち続ける最大の理由は、能力ではなく応募先の選び方にある。

一般の求人サイトには、経験者を前提とした求人が大量に混ざっている。そこに応募すれば、当然通らない。通らない経験が積み上がると、「自分は市場に必要とされていない」という誤った結論に着地する。これが一番もったいない。

未経験・既卒・フリーターを前提とした採用枠は、別の場所に実在する。ハタラクティブは未経験可の求人を中心に扱っていて、書類や面接のサポートも付く。登録は無料で、まず自分の条件でどんな求人が届くかを事実として見るところから始めればいい。想像で自分の市場を決めないでほしい。

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よくある質問

実家暮らしのフリーターは就職で不利になりますか?

住まいの形は選考の評価軸ではない。見られるのは、その期間に何をしていたかを説明できるかどうかだ。実家暮らし自体がマイナスになる場面はほとんどない。

フリーター期間が長いと正社員になれませんか?

なれる。特に20代なら未経験を前提とした正社員求人は多い。問題は期間の長さより、期間の説明ができないことと、応募先を1人で探して落ち続けることだ。

何から始めればいいですか?

求人サイトを眺めるより、既卒・フリーター特化の支援に登録して、いまの自分にどんな求人が届くかを事実として見ることだ。想像で自分の市場を決めないこと。

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