いつかは自分で仕事をしてみたい。でも、起業という言葉は自分には大きすぎる気がする。店を出す資金もないし、失敗したら家族に迷惑がかかる。
その感覚のまま始められる方法を書く。起業は、大きく始める必要がまったくない。むしろ小さく始めた人の方が残る。いまの生活を壊さずに、最初の売上から月数万円までを作る順番だ。
この記事の要点
- 起業の最初の一歩は開業届ではなく、1人目の客を作ることだ
- 商品は、自分が金と時間を使って解決してきたことから作る
- 最大の壁は商品ではなく集客。届ける経路を先に育てる
- 開業届・扶養・青色申告は、売上が立ってから順に整えれば間に合う
大きく始めない。順番が逆の起業から潰れていく
起業の失敗パターンは、実はワンパターンだ。売れるかどうか分からないものに、先に金を投じる。店舗を借りる、在庫を仕入れる、高額の資格を取る、ホームページに数十万払う。売上ゼロの段階でやることではない。
小さく始める起業は、順番が逆になる。
- 商品を決める(原価ほぼゼロのものから)
- 1人に売る(知り合いでもSNS経由でもいい)
- 売れたものを増やす(値上げ・件数・仕組み化)
- 売上が立ってから整える(開業届・屋号・青色申告)
この順番なら、失敗しても失うのは時間だけだ。会社員でも、育児中でも、扶養内でも、今日から動ける。
商品の決め方。資格ではなく、解決してきたことから
「売れるものがない」が最初の詰まりだが、商品の在り処は決まっている。あなたが金と時間を使って解決してきたことだ。
- 片付け・収納を独学で極めた → 整理収納のオンライン相談
- 子連れの家計を立て直した → 家計簿の伴走サポート
- 職場の人間関係で消耗して回復した → 同じ状況の人の相談相手
- 手作りのものが褒められ続けている → 販売とワークショップ
注意点は2つ。新しく資格を取ることから始めないこと。資格は商品ではなく、あっても客は来ない。もう1つは、形のないサービスから始めること。相談・代行・制作は在庫リスクがゼロで、価格も自分で決められる。物販は在庫の分だけ難易度が上がるから、2歩目以降でいい。
最初の値付けは安くて構わない。1回1,000円のオンライン相談でも、知らない人があなたに金を払ったという事実が、この後のすべての土台になる。
最大の壁は集客だ。商品より先に、届ける経路を育てる
正直に言う。小さく始める起業で、ほぼ全員が詰まるのは商品ではなく集客だ。いい商品を作る力と、それを必要な人に届ける力は、完全に別の技術になる。
だから、商品を磨くより先に、届ける経路を育て始めてほしい。
- SNSの発信。あなたの解決してきたことを、同じ場所で困っている人に向けて発信する。伸ばし方はXのフォロワーの増やし方に書いた通りで、匿名でも構わない
- noteで過程を書く。学んだこと・やったことの記録が、そのまま信用と商品の種になる。noteの始め方の手順で始められる
- 知り合い経由の1件目。最初の1件は身近な紹介で作っていい。その実績と感想が、次の見知らぬ客への営業資料になる
集客を体系で学びたい段階に来たら、女性の起業に特化した講座もある。集まる集客総研は、女性起業家向けにWeb集客とAI活用を教えるカレッジだ。
*クリックすると公式サイトが開く。無料の情報発信と講座の案内を確認できる。講座は有料だから、まず無料の範囲で中身と相性を見てから判断すればいい。*
確認の流れ|① 公式サイトで発信内容を見る → ② 自分の商品と集客の詰まりに合うか確認する → ③ 回収の見込みが立つなら講座を検討する
講座でもサロンでも、金で学びを買う判断の基準は同じだ。オンラインサロンの判断基準の記事に書いた足切り3点を、そのまま当ててほしい。
手続きの現実。開業届・扶養・確定申告
事務まわりは、売上が立ってから順に整えれば間に合う。要点だけ並べる。
- 開業届は、事業を始めたら1ヶ月以内に出すのが建前だが、実務上は売上が立ってから出す人が多い。青色申告の特典(最大65万円控除)を使うなら開業届+青色申告承認申請が要る
- 扶養は、税の扶養(所得基準)と社会保険の扶養(収入基準・組合ごとに扱いが違う)の二本立てだ。売上が月数万円の段階では大きな問題になりにくいが、伸び始めたら配偶者の勤務先の組合に基準を確認する
- 確定申告は、会社員の副業なら所得20万円超、専業なら所得48万円超が目安になる。売上と経費の記録だけは最初から付けておく
会社員のまま始める人は、副業が会社にバレる経路の記事で防御を先に固めておいてほしい。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
40代・50代からでは遅くないか
遅くない。むしろ小さく始める起業は、経験の在庫が多い人ほど商品が作りやすい。20代にはない「解決してきたことの蓄積」が原資だからだ。体力勝負の事業ではなく、経験を売る形を選べば、年齢はそのまま強みになる。
起業と副業と何が違うのか
始め方の段階では、ほぼ同じだ。会社員のまま小さく売上を作る行為は、呼び方が副業でも起業でも中身は変わらない。違いが出るのは、事業を大きくする段階(法人化・雇用・融資)で、そこはまだ考えなくていい。呼び方より、1人目の客だ。
屋号や肩書きはどう決めればいいか
最初は決めなくていい、が答えになる。屋号・肩書き・ロゴ・名刺は、商品と客がいて初めて意味を持つ飾りで、先に整えたくなるのは、売る怖さから逃げる回り道であることが多い。1人目の客に売れてから、その客に何と呼ばれたかを元に決めれば、実態に合った名前になる。形から入る時間を、商品の1行を磨く時間に回してほしい。
夫や家族に反対されたら
反対の多くは、金額の不安から来る。だから「初期投資ゼロ・在庫ゼロ・失っても時間だけ」という始め方そのものが、一番の説得材料になる。売上の数字が出てから改めて話せば、反対は応援に変わりやすい。順番を守ることが、家族との関係でも防御になるんよ。
ここまでのまとめ
・起業の最初の一歩は開業届ではなく、1人目の客を作ることだ
・商品は、自分が金と時間を使って解決してきたことから作る
・最大の壁は商品ではなく集客。届ける経路を先に育てる
副業とフリーランスの割合(公的データ)
総務省の就業構造基本調査(2022年)では、副業がある人は305万人で4.8%、正社員では2.5%、副業をしたい人は7.8%、本業がフリーランスの人は209万人で3.1%、45〜54歳が最多で20代は1%台だった。年代別・業界別・都道府県別の表は副業とフリーランスの割合の記事で書いた。
独立とお金の入口
独立の資金は生活費6ヶ月+前年の税と保険料の後払い(年収500万で約88万)+初期費用で、退職翌月に国保と年金、6月に住民税が来る(独立の資金はいくら要るかの記事)。国保が高い時の5つの対策は国民健康保険が高い時の対策の記事、青色申告の65万控除は青色申告とはの記事、インボイスの判断はインボイスをフリーランス向けに分かりやすくの記事、老後の積立はフリーランスの老後資金の記事で書いた。
独立・副業・お金の全体像
副業の申告→独立の資金と手続き→初年度の税と保険→稼ぎ方と手取り→将来の積立の5段階で、今いる段階の記事だけ読めばいい。全体は独立・副業・お金の完全ガイドにまとめた。
独立前に会社員のうちにやること
会社員の信用は辞めた瞬間に消える。クレジットカード・賃貸・ローンの契約、副業での受注実績、生活費6ヶ月+税と保険料の後払い分の貯金、健康診断、有給消化と6月以降の退職、企業型DCの移換先、在職中の給付、就業規則の競業避止の10個を1年前から順に進める(独立前に会社員のうちにやること10個の記事)。フリーランス1年目は賃貸の審査に落ちやすく、在職中の契約が最も確実だ(フリーランスは賃貸の審査に通らないのかの記事)。
産休の出産手当金はいくらか
産休98日の出産手当金は標準報酬日額の3分の2で、月給30万なら約65万、40万なら約87万。非課税で社会保険料は免除され、出産育児一時金50万は別に出る。退職後も1年以上の加入・産休中の退職・退職日に出勤しないの3条件で受け取れ、国保の人には出産手当金がない。月給別の早見表と育休給付との1年の合計は産休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。
フリーランスの保育園の申込
フリーランスも就労の事由で保育園に申し込め、就労証明書は自分で書いて開業届・確定申告書・請求書・入金記録を添える。点数は多くの自治体で会社員と同じで、差が付くのは就労時間と在宅の扱い。1年目は開業届と請求書で代え、申込前に開業届を出す。書き方はフリーランスは保育園に入れるかの記事で書いた。
著作権を全部譲渡してはいけない
著作権法61条2項により、27条(翻案権等)と28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)は譲渡の目的として特掲されていなければ譲渡した者に留保されると推定される。だから発注側の契約書には必ず「27条及び28条を含む」が入る。著作者人格権は譲渡できないので、不行使条項が置かれる。取りにいくのは利用許諾化・範囲の限定・二次利用の追加報酬・実績公開・氏名表示の5つだ。書き方は著作権を全部譲渡してはいけない理由の記事で書いた。
フリーランスの出産で使える制度
フリーランスには産休も育休もなく、出産手当金も育児休業給付も出ない。その代わり、出産育児一時金50万円、国民年金保険料の産前産後4か月免除(納付したものとして扱われるので年金が減らない)、2024年1月に始まった国民健康保険料の産前産後免除の3つが使える。いずれも届出が要り、自動では適用されない。中身はフリーランスの出産で使える制度の記事で書いた。
よくある質問
女性の起業は何から始めればいいですか?
開業届でも店舗でもなく、1人目の客からだ。解決してきたことを商品にして、まず1人に売る。売れたものを増やすのが起業になる。
主婦の起業でも集客はできますか?
できるが、集客が最大の壁だ。SNSやnoteでの発信を早めに始めて、届ける経路を商品より先に育てておく。
扶養内で起業できますか?
できる。ただし税と社会保険で扶養の基準が違う。売上が伸び始めたら、配偶者の勤務先の健康保険組合に基準を確認する。
小さく始める起業の資料をLINEで無料配布中
商品の決め方シートを含む資料を、公式LINEで無料配布している。起業は度胸ではなく順番だ。



