病気で働けない。休職の傷病手当金は1年6ヶ月で終わる。その後はどうなるのか。障害年金という制度があると聞いたが、身体の障害の人のものだと思っていた。

うつ病も対象で、月7万から出る。障害年金は身体だけじゃない。うつ病も対象で、月7万から出る。額と、3つの要件と、働きながら受け取れるか、申請の手順を書く。

先に一文で。障害年金は令和8年度で基礎年金1級88,260円・2級70,608円(子の加算あり)、厚生年金加入中の初診なら報酬比例が上乗せで3級は最低保障52,958円、うつ病など精神の障害も対象、要件は初診日の加入・保険料納付・障害認定日の状態の3つ、働きながらでも受け取れ、申請は初診日の証明と診断書と病歴・就労状況等申立書で行う。

この記事の要点

  • 額|基礎1級88,260円、2級70,608円。子の加算は第1・2子 各年243,800円
  • 厚生年金|3級は報酬比例のみ、最低保障 月52,958円
  • 対象|うつ病・双極症など精神の障害、がん・糖尿病など内部疾患も
  • 要件|初診日に加入・保険料納付(未納を作らない)・認定日の状態

令和8年度の額

等級障害基礎年金(月)障害厚生年金(上乗せ)
1級88,260円(年1,059,125円)報酬比例部分×1.25+配偶者加給
2級70,608円(年847,300円)報酬比例部分+配偶者加給
3級なし報酬比例部分のみ。最低保障 月52,958円(年635,500円)
障害手当金(一時金)なし報酬比例部分×2年分(最低保障 1,271,000円前後)

子の加算(18歳到達年度末まで、障害のある子は20歳未満)|第1子・第2子は各年243,800円、第3子以降は各年81,300円。

報酬比例部分は、加入月数が300月(25年)に満たなくても300月で計算されるので、20代・30代で初診日があっても額が極端に小さくならない。平均年収500万・加入10年でも、300月みなしで月約6.9万円になる。老齢年金の平均額は年金は平均いくらもらえるかのデータ記事で書いた。

対象になる病気

区分
精神うつ病、双極症、統合失調症、発達障害、知的障害、認知症、高次脳機能障害(受給者の多い区分
内部がん、糖尿病、心疾患、腎疾患(人工透析は原則2級)、肝疾患、呼吸器疾患、HIV
外部肢体の障害、視覚・聴覚・音声の障害、人工関節・ペースメーカー(3級)

障害者手帳の等級とは別で、手帳がなくても申請できる。手帳3級でも年金2級になることがある。神経症(適応障害・パニック障害など)は原則対象外だが、統合失調症やうつ病の病態を示す場合は対象になる。

3つの要件

  1. 初診日|その病気で初めて医師の診療を受けた日に、国民年金か厚生年金に加入していること(20歳前の傷病は例外)
  2. 保険料納付|初診日の前々月までの被保険者期間の3分の2以上が納付か免除。または直近1年間に未納がないこと
  3. 障害認定日|初診日から1年6ヶ月経った日(それ以前に症状が固定した日)に、障害の状態にあること

2の要件があるので、退職後に国民年金を未納にすると障害年金を受けられなくなる恐れがある。払えない時は必ず免除を申請する(退職後の年金の切り替え手続きの記事国民年金の免除の記事)。

傷病手当金との関係

傷病手当金障害年金
出どころ健康保険(会社員)国民年金・厚生年金
月給の3分の21級88,260円、2級70,608円+厚生年金
期間通算1年6ヶ月障害の状態が続く限り(更新あり)
併給同一の傷病で障害厚生年金を受けると、傷病手当金は調整(差額のみ)

傷病手当金の1年6ヶ月と、障害認定日の1年6ヶ月はほぼ重なる。傷病手当金が切れる前に、障害年金の申請を準備する(休職中の給与と手当の記事うつで退職を考えた時の順番の記事)。

働きながらでも受け取れる

受け取れる。特に精神の障害では、就労していても、支援を受けながら制限のある働き方をしている実態(短時間勤務、障害者雇用、上司の配慮、休みがち、就労移行支援の利用)を病歴・就労状況等申立書に書くことが重要になる。3級は就労している人が多く、2級でも就労している受給者はいる。ただし、一般就労でフルタイムに戻ると更新時に等級が下がることがある。

申請の手順

  1. 初診日を特定する|最初にかかった病院で受診状況等証明書をもらう(転院している場合は最初の病院)
  2. 年金事務所か市区町村で書類を受け取る|納付要件の確認もここでできる
  3. 診断書|現在の主治医に、障害の種類ごとの様式で書いてもらう。認定日から1年以上経っているなら、認定日当時の診断書も
  4. 病歴・就労状況等申立書|発症から現在までの経過と、日常生活・就労の困りごとを自分で書く。ここが審査の分かれ目になる
  5. 提出|審査は3〜4ヶ月。認定されれば認定日の翌月分から(遡及は最大5年分)
  6. 不支給・等級に不服|3ヶ月以内に審査請求

社会保険労務士に依頼する場合の相場は、着手金0〜3万円+成功報酬が初回入金額の10〜20%(遡及分を含む)。精神の障害と、初診日の証明が難しい事案は依頼したほうが通りやすい

生活費の全体で見る

障害年金2級(月70,608円)だけでは生活費に足りない。傷病手当金→障害年金→自立支援医療(医療費1割)→精神障害者保健福祉手帳(税の控除・公共料金)→就労移行支援、と重ねる。貯金の目安は貯金の中央値のデータ記事で書いた。

私は障害年金を受けた経験はないが、1社目のブラック企業で体を壊しかけた時、傷病手当金の存在すら知らなかった。その先に障害年金があることも、初診日と保険料の納付が要件になることも知らなかった。未納を作らないという一点だけは、健康な今のうちに効く。

よくある誤解

「障害年金は身体障害の人の制度」。うつ病・双極症・統合失調症などの精神の障害と、がん・糖尿病などの内部疾患も対象で、精神は受給者の多い区分だ。

「働いていたらもらえない」。3級・2級で就労している受給者はいる。実態を申立書に書く。

仕事中・通勤中のけがは労災

労災は治療費が全額給付で自己負担ゼロ、休業は給付基礎日額の8割(60%+特別支給金20%)が4日目から期間の上限なく出る。通勤災害は合理的な経路が対象で、日用品の購入なら経路に戻れば再び通勤。会社が渋っても本人が労基署に直接請求でき、フリーランスも2024年11月から特別加入できる。給付の一覧は労災の給付はいくらかの記事で書いた。

医療費控除はいくら戻るか

医療費控除は(医療費−補てん額−10万円、総所得200万未満は総所得の5%)×(所得税率+住民税10%)が戻る仕組みで、令和8年分では年収500万で15%・600万で20%・800万で30%。医療費30万なら年収500万で約3万、800万で6万。家族の分は税率の高い人にまとめ、5年遡れる。対象の一覧は医療費控除はいくら戻るかの記事で書いた。

高額療養費で医療費はどこで止まるか

1ヶ月の自己負担の上限は、年収370〜770万なら80,100円+(医療費−267,000円)×1%で、医療費100万でも約87,430円。限度額適用認定証(マイナ保険証なら不要)を先に取れば窓口の支払いが上限までで済み、12ヶ月に3回該当すれば4回目から44,400円。差額ベッド代と食事代は対象外。年収別の上限は高額療養費はいくら戻るかの記事で書いた。

遺族年金と2028年の改正

遺族基礎年金は子がいる配偶者に月約7.1万円+子の加算(2人で月約11.1万円)、遺族厚生年金は報酬比例の4分の3で年収500万・20年なら月約4.6万円。2028年4月から、子のない60歳未満の配偶者は原則5年の有期給付(額は約1.3倍)になり、男女差と年収850万円要件が撤廃される。額と影響は遺族年金はいくらか、2028年に何が変わるかの記事で書いた。

ねんきん定期便の見方

50歳未満の定期便の金額は「これまでの加入実績」で将来の見込みではなく、50歳以上は「60歳まで今の条件が続いた場合の見込額」。見るのは加入期間・納付額・年金額・直近1年の月別記録の4か所で、転職・退職・独立・改姓で記録の抜けが起きる。ねんきんネットで受給開始年齢を変えた試算ができる。手順はねんきん定期便の見方の記事で書いた。

住民税非課税世帯の条件

住民税非課税世帯は均等割も所得割もかからない世帯で、1級地の目安は単身で合計所得45万円以下(給与収入 約110万円)、扶養2人で141万円以下(給与収入 約216万円)。判定は前年の所得なので、退職した年でなく翌年度から該当する。該当すると国保料の7割軽減、高額療養費の上限 月35,400円、大学の授業料減免、給付金の対象になる。条件は住民税非課税世帯の条件はいくらかの記事で書いた。

よくある質問

障害者手帳がないと申請できませんか?

できる。障害年金と手帳は別の制度で、等級も別に判定される。手帳を持っていなくても、診断書と申立書で申請する。

初診日のカルテが残っていません

5年でカルテを廃棄する病院がある。その場合は、受診の記録(診察券、領収書、お薬手帳、健康保険の給付記録、第三者の証明)で初診日を証明する。年金事務所に相談すれば代替の方法を教えてもらえる。

退職と休職の資料をLINEで無料配布中

傷病手当金→障害年金の順番と、3つの要件のチェック、申請に要る書類(受診状況等証明書・診断書・申立書)を並べた記入表を公式LINEで無料配布している。未納を作らないことだけ、先にやっておこう。

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